10. ベクトル解析
本節ではベクトル値写像を扱う。
10.3 曲面の曲面積と関数の線積分・面積分
10.3.3 ベクトル値関数の線積分・面積分
としてを曲線とし、上の点に対して単位接ベクトルをが連続となるように選ぶ。このときの近傍で与えられたベクトル値関数に対して積分を計算する。
写像によりとパラメータ表示できるものと仮定する。このときはでない接ベクトルであるから、
が成り立つ。これを踏まえて計算すれば
が得られる。したがってのパラメータ付けの向きとの方向が一致する場合、
が成り立つ。
計算例
とし、をの外周とする。上の単位ベクトルを2次元座標平面上で以下の図のように取る。このときにに対してを求める。
まずがと書けることから、
である。
次にについて、4つの部分に分ける。これらをそれぞれとパラメータ表示できることから、
である。
次に面積分を考える。において表裏を考えられる有界な曲面上での積分を考える。上の表向きの単位法ベクトルをとし、これを正の向きの単位法ベクトルと呼ぶ。の近傍において定義された値関数に対して積分を計算したい。
を有界閉領域としによりとパラメータ表示されているものとする。はの法ベクトルであるから、
が成り立つ。したがって
が成り立ち、また実数値関数に対して
も成立する。符号はとが同じ向きを持つとき、正となる。このとき
はの正のパラメータ付けという。
計算例
を円柱の側面だとし、その単位法ベクトルを外向きに取る。とするときを考える。
はとおけば、でのの外向き単位法ベクトルはで与えられる。
とと同じ方向を持つから、
である。