前回
今日のまとめ
- 実数値関数
に対して勾配を
で定義する。値関数
に対して発散を
で定義する。- ベクトル値関数
に対して回転を
により定める。の定理:
を区分的に滑らかな曲線
で囲まれた
の有界閉領域とする。
の近傍の上で定義された
級
値関数
に対して
が成り立つ。ここでは
の単位接ベクトルで、その向きは領域
の内部を左手に見るように選ぶ。
10. ベクトル解析
本節ではベクトル値写像を扱う。
10.4 Gaussの発散定理、Stokesの定理
10.4.1 勾配、発散、回転
を領域とし、
値関数
に対する様々な微分演算を導入する。
まず勾配を定義する。実数値関数に対して勾配を
で定義する。
次に発散を定義する。値関数
に対して発散を
で定義する。
最後に回転を定義する。ベクトル値関数に対して回転を
により定める。
10.4.2 Greenの定理
はとおけば、
と書き換えられるから、
を示せばよい。
まずは1つ目の
を示す。
領域を
と分割する。ここでは
を満たす
級関数である。
の境界
が4つの曲線
(
に対応する境界を
に対応する境界を
とする。)で囲まれているとすると、
では
であるから、
を示せばよい。のパラメータ表示およびそこでの外向き単位法ベクトルは
で与えられる。ここでである。また
において線素
および
で与えられるから、
であり、他方で
が成り立つ。したがって
が示された。
以上で示したことから、
が成立する。ここでを分割した際に生じた境界について考える必要がある。ここで
上の
から見た外向き単位法ベクトル
と
から見た外向き単位法ベクトル
は逆向きであるから、
が成り立つ。したがって
に関連する2つの積分の和は
であるから、の境界のうち
を細分した際に新たに生じた
の内部にある境界に関する積分の和は
である。したがって
であり、これにより
が成立する。
2つ目の
は分割方法を変えつつも1つ目と同様の議論を行うことで示すことができる。 )
今示した定理は以下のの定理の言い換えと見なすことができる。
(
に注意すれば、
は
より成り立つ。 )