今日のまとめ
10. ベクトル解析
本節ではベクトル値写像を扱う。
10.4.3 Stokesの定理
次にの定理を扱う。
区分的に滑らかな曲線を境界に持つ表裏のある有界な曲面の上での積分を考える。上の表向きの単位法線ベクトルを、上での単位接ベクトルをを定める。
の定理 を区分的に滑らかな曲線を境界に持つ表裏のある有界な曲面、また
をの近傍で定義された級写像だとする。このとき
が成立する。ここではの正の向きの単位法ベクトル、はの正の向きの単位方向ベクトルである。
を示す。
を区分的に滑らかな曲線によって囲まれた有界な閉領域とし、のパラメータ表示が級写像によって行われ、更にそれはに正のパラメータ付けを行われている、すなわちはと同じ向きを持っていると仮定する。このときの境界のパラメータ付け
を進行方向に向かっての内部を左側に見るように取ると、
はの境界にパラメータ付けを与える。このとき、
- はの接ベクトルであり、それはの内部を左に見る向き付け(正の向き付け)を持つ、
- はの接ベクトルであり、から定められたと同じ向きを持つ
という点に注意する。
以上の前提の下でがのように書けるとき
を示す。
まず左辺について
においても同様にすることで、を用いて示すべき式の右辺について
と書き換えられる。これにの定理より
が成り立つ。
次に示すべき式の左辺についてであることから、
である。ここで
であるから、示すべき式がに対して成立する。この式が
に対しても成り立つことを同様に示すことができる。これらを合算することで
に対して成り立つことが分かる。
これをについて総和を取ることで、内部の境界に関する積分の和がになることは別の定理の過程で示したようにであるから、元の示すべき式が成り立つことが分かった。 )