はじめに
グローバル人材になるならば英語くらいはできなければ、とよく言われる。だったら、一流の、本当の英語を学びたいと個人的に思っている。ということで、本当の「大人のための英語」として英文法を学んでいく。ここではそのメモを書いていきたい。
参考図書として
を読んでいく。今日は第27章を扱う。
27. 接続詞
27.1 等位と従位
接続詞の用法を記述するに当たり、まずは等位の概念を確認しておく。
語・句・節が対等な文法関係で接続されていることを等位(coordination, parataxis)という。等位は以下の2種類に分類できる:
(1) | 連辞的等位 | 等位接続詞で連結されるもの。 | |
(2) | 非連辞的等位 | 接続詞なしで連結されるもの。 |
等位で連結されるものは、基本的に名詞句と名詞句、前置詞句と前置詞句のように同一の統語範疇でなければならない。
被連結語が異なった階層にあり、一方が他方に従属する関係は従位(subordination, hypotaxis)という。
27.1.1 句接続と文接続
たとえば以下のは以下の2通りの解釈が可能である。
John and Mary sang. | ||
=Both John and Mary sang. | ||
=John sang with Mary. |
前者は「ジョンは歌い、メアリーも歌った」(John sang + Mary sang)という意味になる一方で、後者は「ジョンとメアリーが一緒に歌った」という意味である。この場合、前者のandは文接続と呼ばれ、後者は句接続と呼ばれる。
たいていの場合、このような2通りの解釈が可能であるものの、状態動詞や性質形容詞(tall, youngなど)では「文接続」しかあり得ない。これらが第一義として「個人」について用いられる述語であるからである。これに対してdiffer, collide, agree, similarなどの対称的述語では「句接続」しか成立しない。これらが1つの実態の実では意味を成さないためである。
27.2 接続詞
等位接続詞には、and, or, but, forの4語がある。
27.2.1 and
A and Bという形態で利用される場合、文法上、AおよびBは対等の語・句・節である。しかし意味的にはBがAに対して従属的な場合もある。
3つ以上の等位項がある場合、最後の等位項にのみandが置かれ、他はカンマでつなぐ。
等位項は通常、口調の関係から、短い(=音節数の少ない)方が先に置かれる。
E.g. a black and yellow insect.
- しかし慣用表現の中には語順が固定されているものがある。
E.g. | hands and knees | |
a knife and fork |
- また文化的な優先関係が存在するものもある。
E.g. | heaven and hell |
- さらに語順が固定されており、かつBがAの付属物であることを示す場合もあり得る。
E.g. | bread and butter | バター入りパン |
- 等位項で同じことばを反復する場合、瞬時的動詞では反復、非完結動詞では継続を表す。名詞の場合は「種々様々」の意味を成す
E.g. | They knocked and knocked. | 彼女はノックし続けた。 | |
E.g. | She ran and ran. | 彼女は走りに走った。 | |
E.g. | There are books and books. | 本にもいろいろある。[良書もあれば悪書もある。] |
- 等位節で文と文がつながる場合は、2つの文の論理的な関係から複数の意味が生じ得る:
(1) | 同時 | =while | John sang and Mary played the piano. | |
(2) | 時間的継起 | =and then | I woke up and got out of bed. | |
(3) | 因果関係 | =therefore | She was sick and took some medicine. | |
(4) | 対比*1 | - |
John is candid and Mary is secretive. | |
(5) | 条件*2 | - |
Move and I'll shoot. | |
(6) | 評言*3 | - |
You doubt his ability and with reason. |
- 名詞句と文がつながる場合は2つの意味があり得る:
(1) | 名詞句が命令文相当語になる | Another step, and I'll shoot. | |
(2) | 名詞句が時間や事象表現で、時点の経過・事象の発生とその後を表す | Ten days, and no letter came. |
27.2.2 or
通常、A or Bで語・句・節を基本的に二者択一の関係で結びつける。ただし節の内容次第で両立的に解される場合がある*4。
- S1 or S2と語・句・節をつないでいる場合にS2がS1の訂正になる場合がある
E.g. | He came home late last night, or early this morning. | |
彼は昨夜遅く、というよりも今朝早く帰宅した。 |
- 否定的条件(if not)を表す。andとは異なりAは命令文でなくてもよい。
E.g. | Wear your coat or you'll be cold. | |
E.g. | It's true or I am a Dutchman. |
- 「or was he?」を付与することで前言を疑って「いや(そうだろうか)」という意味を表す。
E.g. | He was lying―or was he? | 彼はうそをついていた―いや、そうだったろうか。 |
27.2.3 but
butは語・句・節を反対・対立の関係で連結する。
E.g. | He is an [intelligent] but [lazy] man. | |
E.g. | It was not [in London] but [in Paris] that he met Mary. | |
E.g. | [I'd like to go], but [I'm busy]. |
27.2.4 for
直前の文・語句を使用した訳を解説する節を導く。語や句を導くことはしない。格式体で話し言葉では滅多に用いない。
E.g. | It may rain, for the barometer is falling. | ひと雨来るかもしれない、バロメーターが下がっているから*5。 | |
E.g. | I went into the shop, for a shop it was. | 私はその店―というのは、そこは店だったのだ―に入って行った*6。 |
becauseとの相違は2点ある:
- forは等位接続詞であるから「節+for+節」の語順しか許さない。これに対してbecauseは従位接続詞であるから、主節の前・後のいずれにも置くことができる。
- becauseは「原因・理由」を述べるのに対して、forは前言への「解説」を付与する。
27.2.5 still less, let alone, not to mention
(1) | still less(略式)/ | 否定文のあとに用い、後続文が一層真であることを表す。 | |
let alone | |||
E.g. I’ve not even read the first chapter, still less/let alone finished the book. | |||
(2) | not to mention | 同意味。ただし名詞句のみ従う。 | |
E.g. The weather here is gorgeous, not to mention the wonderful food. |
27.3 相関接続詞
(1) | both A and B | I can both knit and sew. | |
(2) | either A or B | You can contact us either by letter or by phone. | |
(3) | neither A nor B | Neither his son nor his daughter was/were at the funeral. |
bothと違い、eitherおよびneitherは動詞の前に置くことができる。neither A nor Bの場合、Bが主語を含む文の場合、語順転倒が生じる。
27.4 名詞節を導く従位接続詞
名詞節を導く接続詞には以下がある:
that, lest, whether, if, but (that), but what
27.4.1 that
that節は文中で以下の機能を果たす:
(1) | 主節 | thatは原則として省略されない。 | |
E.g. That John is honest is obvious. | |||
(2) | 他動詞の目的語 | say,tellなどの日常語の後ではthatは省略されることが多い。 | |
E.g. I know (That) he is here. | |||
(3) | 前置詞の目的語 | except, save(古語)などに限られる。 | |
E.g. I know nothing except That he was found dead. | |||
(4) | 主語補語 | おもにitやthe trouble/questionなどを主語とする。 | |
E.g. It is just That he has not a great deal of tact or imagination. | |||
(5) | 前の名詞句と同格 | thatが落ちることもある。 | |
E.g. The fact That it had a happy ending was immaterial to me. |
27.4.2 ifとwhether
普通語ではifの方が一般的だが、いくつかの場合ではwhetherしか利用不可である。
(a) | 疑問詞節が主節の前にある場合 | |
E.g. Whether he will succeed is not certain. | ||
(b) | 疑問詞節が主語補語の場合 | |
E.g. The question is whether he will agree or not. | ||
(c) | 補文標識がor notを伴っている場合 | |
E.g. I’m going to see her whether you like it or not. | ||
(d) | 補文標識の前に前置詞がある場合 | |
E.g. It depends on whether he will support us or not. | ||
(e) | 補文標識がto不定詞を伴っている場合 | |
E.g. John wondered whether to wait or them or go on. |
27.4.3 thatとwhether
thatとwhetherのいずれが使えそうと思える場合、話者が補文内容を不確かに思っている場合はwhetherを用いる。補文内容が事実であることを前提とする場合はthatを用いる。したがって…
(a) | certain, sure, knowなどの話し手の確信を表す述語はthatを取り、whetherを取ることはできない。 | |
(b) | thatとwhtherを取るかで意味が変わる。 | |
E.g. Do you know whether the plane has landed? | ||
=実際に着陸したか、話者には不明である。 | ||
E.g. Do you know whether the plane has landed? | ||
=実際に着陸したか、話者に既知である。 |
(b)について典型的な例はdoubtの使い方である。ここまでの議論に則れば、
doubt | whether | 補文の内容がそうであるとの確信が話者にない(=「疑わしい」)という主旨になる。 | |
E.g. | I doubt whether it will rain.:きょう雨が降るかどうか怪しい[=どうも降らないのではないか] | ||
doubt | that | 補文の内容がそうであるとの確信を持った上で、それが「疑わしい」(=不信感がある)という主旨になる。 | |
E.g. | Do you doubt that I can do it?:ぼくにそれができないと思っているのか[=できないと疑っているのか] | ||
I don't doubt that John will succeed.:ジョンはきっと成功すると思う[=ジョンが成功することへの不信感はない=成功することを疑わない] |
27.4.4 lest
「…しはすまいかと、…ではないかと」という意味で、afraid, fearfulなど心配や恐れを表す語句の後で従属文を導く語句である。雅語(がご)であり、今日ではthatを用いるのが普通である。
E.g. She was afraid lest she had revealed too much. |
27.4.5 but that/but what
「…ということ」を表し、否定語+deny, doubt, question, wonderの後で用いる。but that*7は格式体でbut whatは略式体であるものの、今日ではthatが普通に用いられる。
E.g. There was no doubt but that the poor girl had committed suicide. | |
哀れな少女が自殺したことは、疑いの余地はなかった。 |
27.5 副詞節を導く従位接続詞
27.5.1 時の副詞節
(a) | 同時性 | when, while, as, as/so long as, whenever, now (that), if and when | |
(b) | 前後関係 | until, till, before, after, since*8, as and when, unless and until, next time, the first/last time | |
(c) | 即刻 | as soon as, immediately (that), directly (that), the instant (that), the moment (that), the minute (that), (no sooner) ... than, (hardly/scarecely) ... before/when, once | |
(d) | 常時・反復 | any time, each time, every time*9 |
27.5.3 譲歩の副詞節
譲歩にはさまざまな表現様式がある。
(a) | although/though, (even) if, even though, whether ... or/ whether or not ...などの従位接続詞によって導かれる。 | |
E.g.If he is young, he is learned. | ||
(b) | 古い、または古語文であれば叙想法現在が用いられた。 | |
E.g. You'll have to pay, whether you want to or not/ whether or not you want to. | ||
(c) | 主節と従属節の主語が同一指示的な場合は、短縮節も生じる。 | |
E.g.Though she be dead, yet let me think she lives. | ||
(d) | A, if not B(「Bとは言えないまでも、Aである」)はBに力点を置いた譲歩表現である。 | |
E.g. He spoke ungraciously, if not rudely. | ||
(e) | X as/though I wasはかなり格式的なスタイルで、as/thoughに導かれる譲歩節において述語が文頭に移動している場合がある。 | |
E.g. Genius, though she was, she was quite unassuming. |
27.5.4 理由の副詞節
理由節を導く主な接続詞はbecause, since, asでこの順番に意味が強い。
- becauseは通例「理由」が文の最も重要な部分(=新情報)であるときに用いられる。そのため、because節は通例文末に置かれる。またこのために分裂文の焦点にもなれる。
E.g. | 〇People dislike me because I'm handsome and successful. | |
×People dislike me as I'm handsome and successful. | ||
×People dislike me since I'm handsome and successful. | ||
E.g. | 〇It's because he helped you that I am prepared to help him. | |
×It's as he helped you that I am prepared to help him. | ||
×It's since he helped you that I am prepared to help him. |
- since, seeingは、事実だと分かっている事柄(=旧情報)についてのみ用いる。
E.g. | Since I have no money, I can't buy it. | |
E.g. | Seeing the ground is wet, it must have rained during the night. |
- in thatは格式体で、「…という理由で」という意味で用いられる。
E.g. | She was fortunate in that she had friends to help her. |
- in caseは英国英語において「…ということになるかもしれないので」という「偶然性+理由」を表す*13。
E.g. | Take your umbrella in case it rains. |
- inasmuch asは「…だから」という意味で、いま言ったことを解説するのに用いる。
E.g. | He was a very unusual musician inasmuch as he was totally deaf. | |
彼は極めて非凡な音楽家であった。まるで耳が聞こえなかったのだから。 |
- now (that)は「もう…だから」という意味で、「時間+理由」を表す。
E.g. | Now (that) I've got my own car I don't get as much exercise as I used to. | |
もう自分の車があるので、以前のように運動をしていない。 |
- 「with+分詞節/不定詞節」も状況的理由を表す。
E.g. | With the exams coming next week, I have no time for a social life. |
- 時・譲歩の副詞節とは異なり、理由の副詞節は短縮されることは無いため、分詞構文を用いて文を短縮する。
E.g. | Being ill, I stayed in bed. |
27.5.5 目的の副詞節
目的の副詞表現を使用するとき、主文の主語と補文の主語とが同一指示的である場合、to不定詞を用いることが多い。「目的」の意味を明示的にするためにはin order to, so as toを用いる。主節の主語と目的節の主語が異なる場合、for A to doの形式を用いてto不定詞の主語を明示しなければならない。格式体ではto不定詞ではなく、節形式を用いる。
節形式は、格式体ではso that/in order ... may/shallを用い、普通体ではso (that) ... will/can を用いる。
E.g. | She bought the book in order that she might learn English. | |
=She bought the book so that she could learn English. | ||
E.g. | Then please hurry, darling, and get dressed so we can start. |
否定の目的を表す場合、so as not to, in order not toのように不定詞節を用いる方法がまず存在する。定型節の場合は、in order that ... would/should might not, for fear (that) ... might/should would, lest ... (should)を用いる。
27.5.6. 結果の副詞節
結果の副詞節は、so (that), so ... that, such ... thatで導かれる。
(a) | so thatは主文のあとに置かれ、その前にコンマ(,)を置く。略式体ではthatを省略する*14。 | |
E.g. He held up the candle, so that the light fell strongly on his visitor. | ||
I took no notice of him, so he flew into a rage. | ||
(b) | 結果節は実際に起きた事実を述べるため法助詞を取らない。 | |
(c) | 結果節は分裂文の焦点にはなれない。 | |
(d) | 結果節は主文の前へ回すことはできない。 | |
E.g. ×So that he flew into a rage, I took no notice of him. | ||
C.f. 〇So that she could learn English, she bought the book. | ||
(e) | so ... thatでは形容詞・副詞が強調され、such ... thatでは名詞句が強調される*15。 | |
E.g. The box was so heavy that I couldn't lift it. | ||
She had such a fright that she fainted. | ||
(f) | such thatは格式体で「結果+様態」を表す。 | |
E.g. The damage was such that it would cost thousands to repair. |
27.5.7 様態の副詞節
様態の副詞節は、as/likeまたはas if/as thoughで導かれる。as/likeではjustまたはexactlyで修飾され得る。
E.g. Do it (just) as I tell you.
- 主語が長い場合、「操作詞+主語」の倒置が随意的に生じる。
E.g. He was a Catholic, as were most of his friends.
- 事実と異なる想像をしている場合、叙想法を用いる。
E.g. He looks looked as if he were ill.
27.5.8 比例の副詞節
比例の副詞節はas....(so)の形式で表される。
E.g. As rust eats iron, so care eats the heart.
27.5.9 比較の副詞節
比較の副詞節はas, thanで導かれる。人称代名詞はあとに動詞が続く場合は主格を用いる。動詞が無い場合は目的格を用いる。
E.g. | I like her better than he does. | 私は彼(が彼女を好いている)よりももっと彼女を好いている。 | |
I like her better than him. | 私は彼(を好いている)よりも彼女の方をもっと好いている。 |
格式体では、than節中の主語が名詞句である場合、倒置が随意的に生じる。
27.5.10 対比の副詞節
対比の副詞節はwhereasm whileにより導かれる。whileはwhereasよりも意味が弱い。
27.5.11 制限の副詞節
制限の副詞節は、as/so far as, insofar as, in thatなどの複合接続詞で導かれる。
(a) | as/so far as | 「…する限り(では)」の意味で用いられる。 | |
(b) | insofar as | 「…する限りにおいて」の意味で用いられる。 | |
(c) | in that | 「…という点で」の意味で用いられる。 |
*1:butで置き換えることができる。
*2:通常、will/wouldなどの法助詞を含み、未来指向的でないといけない。
*3:andがこの意味をもつわけではない。
*4:明示的に排反であることを示したければ、either ... orを用いる。
*5:バロメーターが下がったことが原因となって雨が降るわけではない。
*6:'shop'という語を用いた訳を解説している。
*7:thatはまれに省略される。
*8:普通の時制の組み合わせは、「完了形+since+過去/現在完了」である。
*9:副詞節の主語が主節の主語と同一指示的(同じ人・物について示していること。)な場合、節を短縮することが可能である。
*10:whereverの強調形。
*11:from whereの意。
*12:whereの古語。
*13:米国英語ではifの意味である点に注意。
*14:目的節ではコンマを普通は付けない。
*15:「~ほどそれほど…」という程度の意味にも捉えることができる。たとえば2つ目の例において、「失神するほど驚いた」としても「驚きのあまり失神した」としても誤りではない。ただし否定文の場合、<程度>の意味合いが強くなる。