以下の書籍
4. 数列
前節で実数の連続性を導入した。これを用いることで数列の収束・極限を厳密に定義することが出来る。
4.11 初等関数の定義
以上を用いて、初等関数を定義する。
4.11.1 冪関数
まずに対してを考えると、において狭義単調増加な連続関数である。したがって
が定まる。ここでを入れ替えることで狭義単調増加な連続関数が定まる。
次に、とおき、との合成関数を考えることで
を定義できる。
4.11.2 指数関数
のときはとすればよい。またのときはによって定めればよい。そこでとしても一般性を失わない。
とするとと表される。そこで冪関数と同様の議論からを定義できる。またについて
を満たす。またであるようなについてを満たす。
次にが無理数である場合、
により定義する。実際、を満たすような有理数を取れば、を満たすようなすべてのに対してである。したがってにおいて上限を定義する集合は有界となり、が有限値として確定し、が定まる。上限の定義からおよび
を満たすような単調増加列が存在する。
を満たすような任意の単調増加列についてもが成立する。これを示すべく、とおく。
に対してであるから、を十分に大きく取ればを満たすようにを取ることが出来る。これよりが成り立つから、とすればが成立し、を入れ替えることでも導かれる。したがって
で指数関数を定義すると、実数の範囲内でを定義できる。
この連続性を考える。とおくとき、任意のにおいて、の単調性から
およびが成り立つ。
今示したいのは、である。有理数の稠密性からを満たすようなを取れば、単調性から
が成り立つ。であり、任意のに対してを満たすようなが取れる。しかもであるから、をの充分近くに取れば、はどれだけでも小さく取ることが出来る。したがってを示すことが出来る。以上から連続性も成り立つ。
4.11. 対数関数
ならば指数関数は狭義単調増加な連続関数である。この値域はである。またのときは狭義単調減少な連続関数であり、この値域はである。したがってに対してより逆関数が定まる。を入れ替えて
と定義し、を底とする対数関数が定まる。