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4. 数列
前節で実数の連続性を導入した。これを用いることで数列の収束・極限を厳密に定義することが出来る。
4.12 無限級数の導入
数列が与えられたときに、
を無限級数という。
として、数列の収束性を以て無限級数の収束を判定する。数列の判定条件を利用すると、数列が収束する必要十分条件は、について
が成り立つことである。
またとすることで、以下が得られる。
4.13 級数の収束判定
4.13.1 正項級数
各項についてがなりたつような級数を正項級数という。この収束性を考える。各項が正であるから、部分和は単調増加列である。したがって数列は有界であるか、発散する。
この収束性について以下が成り立つ。
4.13.2 比較判定法
( 仮定より、を大きく取ることでについてが成り立ち、となる。
(a) とする。このとき
である。したがって左辺にを加えることで
が成り立つから、も収束する。
(b) が発散するならば、
の左辺であるから、が成立する。 )
比較判定法の実例を扱う。
であるから、
が成り立つ。したがって
である。またについて、
であるから、に対して部分和に関し
が成り立つ。したがってであるから、 は収束する。
( とする。をを満たすように充分小さく取ると、極限の定義よりを十分大きく取ればについてが成り立つ。ここでは収束するから、級数は収束する。
(b) であるから、充分大きいについてっである。したがってとはならないから、級数は発散する。 )
(
(a) とする。をを満たすように取ると、を十分に大きく取れば、
が成り立つ。特にならばとなる。公比がよりも小さい等比級数の収束性から級数は収束する。
(b) であるから、充分大きいを取ればのとき、すなわち
が成り立つ。したがってとはならないため、級数は発散する。 )
Cauchyの判定法やd'Alembertの判定法が使えない場合がある。たとえばのときにの収束・発散を考える。このときとおくと、
が成り立つ。しかし、
であるから、Cauchyの判定法およびd'Alembertの判定法の適用範囲外にある。
最後に積分を用いた収束判定法を扱う。
- 級数は、で収束し、で発散する。
収束を議論すべく、部分和を考える。このときは単調減少であるから、
が成り立つ。他方で
である。
のとき積分はのときに収束し、のときに発散する。したがって
より級数ものときに収束し、のときに発散する。