以下の書籍
今日のまとめ
- 中間値の定理を用いると逆関数を構成できる。
- がで一様連続であるとは任意のに対してが存在し、が成り立つことをいう。
4. 数列
前節で実数の連続性を導入した。これを用いることで数列の収束・極限を厳密に定義することが出来る。
4.9 中間値の定理の応用:逆関数の構成
中間値の定理を用いると逆関数を構成できる。閉区間上の連続関数が狭義単調増加、すなわち
だとする。このとき中間値の定理より、任意のに対してを満たすようなが存在し、しかもが狭義単調増加であるからそれは一意に定まる。このような対応
がの逆関数であり、と表す。これは狭義単調減少でも成り立つ。
( の連続性を示せば十分である。が狭義単調増加であるとき、任意の点においてとしてを考える。
のとき、が狭義単調増加であることから
が成り立つ。のときは単調に減少し、しかも下に有界である。したがって極限が定まる。
またにおいてとすれば、の連続性より、すなわちであるから
が成り立つ。またのときも同様の議論が成り立つから、の連続性が示される。 )
4.10 一様連続性
が区間で連続であるとは任意のにおいてが連続であることをいい、具体的には、
任意のに対してあるが存在し
であった。ここではおよびに依存していることに注意して欲しい。
この連続の定義の特殊な場合として、がには依存せずにのみ依存する場合がある。このときを一様連続という。
定義:一様連続 がで一様連続であるとは任意のに対してが存在し、が成り立つことをいう。
一様連続は単なる連続よりも強い概念であるが、が有界閉区間であれば一様連続と普通の連続は同値になる。
( あるが存在し、任意のに対してと仮定する。
特にのとき、と書けば
を満たすことになる。
が有界であるから、Bozano-Weierstraussの定理よりの部分列で収束するような数列が存在する。は閉区間であるから、極限はに含まれる。したがって
が存在する。このとき
でもある。の連続性から、
が成り立つ。しかし、これは
に矛盾する。 )