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今日のまとめ
- 関数の極限:としてで定義される関数について、任意のについて適当にを選べばであるような任意のについてが成り立つとき、と表す。
4. 数列
前節で実数の連続性を導入した。これを用いることで数列の収束・極限を厳密に定義することが出来る。
4.6 関数の極限と連続性
数列と同様に、関数についても極限
を、以下で定義する。
としてで定義される関数について、任意のについて適当にを選べば
であるような任意のについて
が成り立つとき、
と表す。
なお、でのみ成り立つときには、
と書き、を右極限という。また
でのみ成り立つときには、
と書き、を左極限という。
についてで定義される関数について、任意のについて十分大きなを選べばであるような任意のについて
が成り立つとき、
と表す。
例:を既知としてを示せ。
のときを考える。とおくと、であるから
であり、
が成立する。に注意すれば、
が得られる。のときであるから、はさみうちの原理より
が得られる。
4.6.1 関数の極限の性質
- 関数がで定義されているとき、を満たすような全ての数列に対してが成り立つ。
- 関数がもしくはにおいて定義されているとき、またはまたはを満たすような全ての数列に対してが成り立つ。
( (について)
定義から任意のに対して充分に小さいが存在し、を満たすような全てのについてが成り立つ。このとき、数列はであるから、充分に大きなを取れば、を満たすような全てのについて
が成り立つ。したがって
が成立する、すなわちである。
(について)
を上手く取ることで任意のに対してもかつを満たすようなが存在すると仮定する。このとき、特にとすれば、とおいて
が成り立つことになる。これは数列がを満たしつつもが決してに収束しないことになるがこれは仮定に矛盾する。2つ目も同様に示すことが出来る。 )
4.6.2 Cauchyの判定法
関数の極限の存在に関する有用な判定法を述べる。
- 関数がで定義されているとき、極限が存在する任意のに対してを充分小さく取ればを満たすような全てのについて
- 関数がで定義されているとき、極限が存在する任意のに対してを十分大きく取ればを満たすような全てのについて
( をを満たすような数列とすれば、仮定よりはCauchy列となり、このときが存在する。一方でをを満たすような数列とすれば、仮定より仮定よりはCauchy列となり、このときが存在する。
ここで任意のに対してを仮定内に現れる整数だとする。を十分大きく取れば、を満たすような全てのについて
を満たすから、仮定より
となる。
ここでとすればである。は任意の正数であるからであり、これはすなわちを満たすような任意の数列については同一の極限を満たすことになり、直前に示した定理よりである。
逆に任意のに対してを充分小さく取ればを満たすような全てのについてと仮定する。このときはCauchy列であることを意味するからの極限が存在する。2つ目も同様に示せばよい。 )
4.6.3 関数の連続性
区間で定義された関数を考える。
(定義1)
関数がで連続であるとは、が成り立つときをいう。
(定義2)
を満たすときをいう。
関数がで連続であるとは、任意のに対してを適当に選べば、であるような全てのについて
4.6.4 連続性の存在と同値な定理
関数で連続となるとなるような全ての点列についてが成立する