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今日のまとめ
4. 数列
前節で実数の連続性を導入した。これを用いることで数列の収束・極限を厳密に定義することが出来る。
4.3 極限の基本的性質
4.3.4 極限の計算例
(1)のときを求めよ。
であるからとおけば、である。
二項定理より
であるから、はさみうちの原理よりである。
(2) の極限を求めよ。
に対してであるから
4.3.5 極限の大小関係
収束列に対してならば、
が成り立つ。( 収束列に対してそれらの極限をそれぞれとおく。このとき、極限の定義から、
したがって
が成り立つ。
より
であり、は任意の正数であったから
4.4 単調列
数列が与えられたときにその収束性を判定することを考える。その簡単な例として、単調列を導入する。
任意のについて
が成り立つような数列を単調増加列という。
逆に任意のについてが成り立つような数列を単調減少列という。単調増加列と単調減少列を併せて単調列という。
4.4.1 単調列の収束性
上に有界な単調増加列はその上限に収束する。また下に有界な単調減少列はその下限に収束する。
( 上に有界な単調増加列について収束性を証明する。が上に有界な集合であるから、が存在する。任意のを取るとはの上界でないから、あるについて
が成り立つ。また数列の単調性からであるようなすべてのについても
が成り立つ。このときが成り立つから、であるようなすべてのについても
である。これは
であることに他ならない。
単調減少列についてはとすれば単調増加列の議論に帰着できる。 )
4.4.2 単調列の収束性の例
について、単調性及び有界性を示したうえでその極限を求めよ。
関数とおくとが成り立つ。また
が成り立つので、はにおいて単調増加である。まず単調性を示す。について
であるから、単調増加性が成り立つ。
次にについて単調増加性が成り立つと仮定する。すなわち
と仮定すると、関数の単調増加性から
が成り立つ。したがってについても単調増加性が成り立つ。
次にが上に有界であることを示す。すなわちが成り立つことを示す。このとしての解、すなわちを取る。
まずのとき、であるから
とが成り立つ。
次ににおいてが成り立つと仮定する。このときの単調増加性より
が成り立ち、
である。したがって
が成り立つ。したがっては上に有界であり、はその有界である。
前節において示したとおり、上に有界な単調列は収束する。この極限値をとおけばにおいてとすることで
が成り立つ。これをについて解くことでを得る。したがって
が成り立つ。 )