今日のまとめ
8. 多変数関数の積分
8.8 n重積分の変数変換
重積分における変数変換の公式を示す。
変数変換の公式 有界な領域の間に写像
がで与えられているとする。は上へ1対1の写像で各は上で定義された級関数、さらにそのJacob行列は
をすべてのに対して満たすとする。であるような次元体積確定な集合を考える。このときも次元体積確定であり
が成り立つ。さらに上の重積分可能な関数に対しては上で重積分可能であり、
が成り立つ。
例:
を求める。とおくと、Jacobi行列は
である。したがって
8.9 広義積分
関数の定義域が非有界の場合、または関数が非有界な場合の重積分を考える。正負を取る場合、議論が複雑になるのと応用上は正の値を取る場合を考えれば十分であるから、以下、関数は常に非負であると仮定する。
はにおいてその境界の次元体積はであるとする。はで定義された関数でだとする。の部分集合で体積確定かつ有界閉集合だとする。このような全体の集合をとする。は上で有界かつ重積分可能だとする。
定義:近似列 の集合列がの近似列であるとは次の性質を持つ数列をいう:
広義積分は以下の定理を用いると簡単に計算できる。
( 簡単のため、の場合を考える。とおく。よりである。したがっては収束する単調増加列である。とおく。更に仮定よりは有限である。さてより
である。したがって
が成り立つ。
他方で近似列の定義からに対してを満たすようなを取る。より
である。以上から
であり、したがって
が成立する。
次にをの任意の近似列とする。とおくとは単調増加列である。任意のに対して、であるような番号が存在する。したがってが成り立つ。以上からは上に有界な体調増加列であるから収束する。
以上からとおくとである。の役割を変えることでも言える。したがって
である。 )
例:
広義積分
を計算する。とすればはの近似列である。
である。したがって
を得る。
一方でとすると、は近似列である。したがって
である。いま
であるから、
である。以上から
である。