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今日のまとめ
4. 数列
前節で実数の連続性を導入した。これを用いることで数列の収束・極限を厳密に定義することが出来る。
4.4 数列の収束判定法
次に一般的で単調とは限らない数列の収束判定方法を考える。を有界な数列だとする。これに対して数列を
と定義すると、数列は
を満たすため単調減少列である。単調減少列は収束するからであり、この値を数列の上極限といい、と書く。
同様に数列
を定義すると、これは単調増加列であり、単調増加列は収束するからであり、この値を数列の下極限といい、と書く。有界ならば必ず上極限・下極限を持ち、が成り立つ。
これらを基に以下が成り立つ:
単調とは限らない有界列について
ならばである。また逆も成り立つ。
( について、を踏まえると、充分大きなを適当に取るとに対してが成り立つ。したがって
が成り立つ。同様により、充分大きなを適当に取ることで
が成り立つ。
したがってを取れば、
であるから、である。
逆にあるについてが成り立つと仮定する。このときについて
が成り立つ。これらはいずれもに収束する。 )
4.5 Cauchy列
別の収束判定方法を述べるべく、そのための道具としてCauchy列を定義する。
数列がCauchy列であるとは、に対して
となるようにを選べることを言う。
Cauchy列は直感的に幅がであるような区間を取ったときにこの区間を数直線上で適当に移動させたとき、ある番号より先のではすべてこの区間内に収まるようにできることを述べている。
このCauchy列を用いた収束判定方法を述べる。
数列が収束するための必要十分条件はがCauchy列となることを言う。
( まずは十分条件を示す。Cauchy列の定義から、に対し充分大きなを取れば、のとき
となるから
が成り立つ。特にとおけばであるから、
が成り立つ。したがって数列は上に有界であり、同様に下に有界であることも示される。
次にを固定しておき、を満たすように集合の上限を取ると
が成り立つ。したがってのとき
が成立する。
更にを固定しの範囲での下限を取ると、とおくことで
が成り立つ。数列の上極限、下極限をそれぞれとおけば
であり、とすれば
である。が任意であるから、が成立する。したがって数列は収束する。 )
最後に、必ずしも極限値を持つとは限らない有界な無限数列に関するBolzano-Weierstraussの定理を扱う。
Bolzano-Weierstraussの定理
有界な無限数列は収束する無限部分列を含む。
( を無限個の要素からなる有界な数列だとする。有界であるため
が成り立つ。
この区間を2等分すると、区間またはの一方が無限個の要素を含む。その含む方をとおく。この操作を続けることで数列を構築すると、定義からいずれの数列も有界でかつは単調増加数列で、は単調減少である。したがって
が成り立つ。
またであるから
が成り立つため、が成立する。ここでに含まれるのうち最も番号が小さいものをとおけば
であるから、部分列は収束する。 )