定番書
を基に線形代数を学び直していく。
今日のまとめ
- 内積の定義
2. 行列と線形写像
2.5 内積とユニタリ行列・直交行列
2.5.2 ノルムを巡る不等式
ノルムについて以下の2つの不等式が成り立つ:
( まず(1)を示す。ならば示すべき不等式はとなり成立する。
の場合、について、内積の性質から
が成り立つ。ここでは任意に取ったから、特にとすれば上記した不等式は
次に(2)を示す。両辺を2乗した不等式を示す。
両辺の負でない平方根を取ることで(2)の成立を示すことが出来た。 )
2.5.4 行列を交えた内積の定義
型行列、の積はの元であるから、とで内積を定義できる。その内積に関し以下が成り立つ。
逆に任意のに対してならばである。
( まず前者について示す。
次に
が成り立つとする。このときに対して
が成立する。したがってに対してであり、これはを意味する。 )
2.5.5 対称行列と直交行列
行列に対してをの随伴行列といい、で表す。
随伴行列は以下を満たす:
正方行列がを満たすとき、をHermite行列という。特に実Hermite行列を対称行列という。すなわち
転置行列が元の行列に等しい、すなわち
を満たすような正方行列を対称行列と言う。
また
を満たすような正方行列をユニタリ行列といい、特に
を満たすような実数を成分に持つ正方行列を直交行列という。
ユニタリ行列に関する以下の命題はすべて同値である:
(1) はユニタリ行列である。
(3) に関して(4)の列ベクトルに関して
(2) に関して( まず(1)(2)について
より成り立つ。次に(2)(3)についてであり、
であるが、(2)よりが成り立つ。
したがってとの実数部分は一致している。他方でにを代入するとにより虚数部分も等しい。したがって
が成り立つ。
(3)(1)を示す。についてであるから、が成り立つ。
(1)(4)についてより成り立つ。 )