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深くわかる金融(その02):預金とは何ですか?

今日のまとめ

  • 預金は銀行が独占的に行えるビジネスである。
  • 預金は要物契約なので、口座開設時にお金を渡さないといけない。
  • 1,000万円よりも多い預金を持っていて、利息よりも預金の保護が大事ならば、普通預金(無利息型)として持ちましょう。

1. 預金とは何ですか?

1.1 銀行にとっての預金

 預金とは銀行のみが特権的に扱うことのできる業務である。したがって銀行の活動を見て考えてみよう。

1.1.1 銀行の主要三大業務

 銀行に許される業務の中で以下の三つは固有かつ根幹となる:

  1. 預金業務:後日同額の金銭の返還を受ける約束のもとで他人から金銭を預かる業務。他の債権とは異なり債権者保護が課されるため、一般人が業として預金業務を行うことはできない。
  2. 貸付業務:金銭を貸与して利息を得ることを目的とする業務。
  3. 為替業務:隔地者間において、直接現金を送達せずに資金授受を行う業務。

ということで、預金とは、「後日同額の金銭の返還を受ける約束のもとで他人から金銭を預かること」を指す。

1.1.2 銀行のビジネスモデルと預金業務

 銀行の伝統的なビジネスモデルは、預金業務にて融資原資を調達し貸出を行い預金金利との利鞘を自身の利益とするというものである。したがって預金業務はビジネスの根幹を担う重要業務である。

1.2. 預金の法的性質(1)

 預金は銀行法上に定義規定が置かれているわけではない。取引慣行を基とした預金業務の特徴は、

  • 不特定多数の相手に対する営業であること、
  • 金銭の預け入れであること、
  • 元本保証があること(預けたお金が全額返ってくる保証があること)、
  • 預け主の便宜のためになされるものであること。

である。

1.3. 預金の法的性質(2)

 預金に関する法的に重要な条件が3つある:

  • 預金は消費寄託契約であること:これにより銀行は預金を融資等で消費でき、返還時は同種・同額・同等の金銭での返還でよい*1。返還時期を定めていない場合、預金者はいつでも返還請求ができる。
  • 預金は要物契約である:預金者は当事者としての意思表示のみならず元本となる金銭等を実際に銀行に給付することで初めて法律上預金が成立する*2
  • 預金は指名債権である:特定の人を債権者とし、かつ証券化されていない債権である。したがって預金通帳、預金証書は有価証券ではなく単なる証拠証券でしかならない。

2. 預金の分類


図表1 預金の分類
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2.1 当座預金

 手形、小切手を利用した資金決済のための専用の預金を当座預金という。

  • 1円単位で自由に預入、払出(お金を引き出すこと)が可能である。
  • 要求払預金(預金者の要求でいつでも払い戻しができる預金)であるものの手形・小切手でのみ引出しが可能な点が特徴である*3
  • また、銀行においては、当座預金口座を持つことで、手形・小切手が振出可能となる。
  • 手形・小切手の利用には信用力が必要とされることから、当座口座開設時の信用調査は他の口座よりも厳しい。
  • 当座預金口座を受払いに用いることで、経理処理を銀行に行わせる効果が発生する点が利用者のメリットの1つである。
  • 昭和19年以降、無利息とされている。

2.2 普通預金

 いわゆる「預金」は通常、普通預金を指す。

  • 1円以上の単位で預入、払出のできる要求払流動性預金
  • 払出は原則、銀行の交付した預金通帳と事前に届け出た印鑑又は暗証番号の呈示により行う。
  • 給与振込等、決済サービスの利用が可能。
  • 有利息型と無利息型がある。前者の場合、毎年2月・8月に預金利息を得ることができる。
  • 解約をしない限り、残高が0円でも、口座は存続する。
  • 預金保険制度の対象である。利息が発生するものである場合、全預金口座を合算して預金者一人当たり元本10,000,000円+その利息等が保証される。無利息型の場合、全額が保証対象になる。

 銀行にとっては、2点留意点がある:

  • 銀行は、普通預金口座開設の申入れに対して応答義務があるわけではない。つまり口座の用途などに問題・疑問があれば、開設を拒否することができる。
  • 銀行は、相応の注意を払って印鑑照合等の事務手続きを行っていれば、免責される。

2.3 通知預金

 一定期間の据置期間が置かれ、据置期間中は払出ができない預金を指す。

  • 据置期間は7日間である。
  • 預金者は払出の際には、その2日以前に払戻日を予告ないし通知しなければならない。
  • 短期間だが払出制限があることからその間、銀行は自由に運用できる。一方で普通預金よりも預金利率が高く設定されるため、預金者は一種の運用手段として利用できる。もっとも、これは高度経済成長期での話で、昨今の低金利下では事務コストの方が高く、利用はほとんどない*4

2.4 定期預金

 典型的な定期性預金であり、預入期限が到来するまで銀行は返還要求に応じる義務が無い。

  • 預金者、銀行双方にとって、最も安定性の高い資産運用先(資金)である。
  • 期限前に払出請求があった場合、銀行は中途解約に応じる。但し、その場合の適用金利は当初の契約金利ではなく、期限前解約利率という当初の利率よりも低い利率が適用される。


図表2 定期預金で選択できる項目

項目
内容
預入期間 1ヶ月~10年
適用金利種類 固定金利・変動金利
利息計算方法 単利・複利
満期時の取扱い 自動継続・自動解約
中間利息の支払 中間利払有り・中間利払無し
元金の一部解約の可否 一部解約可・一部解約不可
預金者の限定 個人のみ・個人及び法人とも可能

2.5 譲渡性預金

 払戻しに期限の定めがある預金で、譲渡禁止の特約がない預金。

  • 証券会社による債券現先取引市場への対抗を図るために導入された。
  • 経済効果上は、第三者への譲渡が可能な定期預金と理解できる。
  • 運用商品の一種であるため、預金保険制度による保護の対象外となっている。
  • 譲渡可能なので、取引先への支払のために譲渡することも無くはない。
  • 売戻条件付で一時的に買付ける現先取引*5が主流である。

2.6 外貨預金

 外国通貨を預け入れる預金。法律上は特定預金(「金利、通貨の価格、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動によりその元本について損失が生ずるおそれがある預金等として内閣府令で定めるもの」)と呼ばれる。

  • 満期に向かうにつれ円高方向に進行することで、元本割れ(満期時の元利金が元本よりも少なくなること)を起こすリスクがある。一方で、満期に向かうにつれ円安方向に進行することで、利息に加え為替差益を得ることができる。
  • 上述した為替変動リスク(為替差益・差損が出得ること)を受け入れていることから投資商品色が強いと見なされ、預金保険制度の保護の対象外となっている。

3. 単利と複利

 金利の計算方法には、単利と複利がある。

  • 単利:元金のみに対して利息が発生するような計算方法


\begin{aligned}
元利金額=元本\times\left(1+預金金利(年利)\times\displaystyle{\frac{預入からの経過日数}{1年の日数}}\right)
\end{aligned}

  • 複利:元金及び既に発生している利息に対して利息が発生。年にn回利払が発生するとすれば


\begin{aligned}
元利金額=元本\times\left(1+\displaystyle{\frac{預金金利(年利)}{n}}\right)^{n\times \displaystyle{\frac{預入からの経過日数}{1年の日数}}}
\end{aligned}


図表3 金利種類別の元利金額推移
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4. 外貨預金の元本割れ事例

 100万円を年2複利2年満期の米ドル外貨定期預金に預けたとする。

預金時点
満期時点
金利 0.002\%/ (変更なし)
米ドル金利 2.00\%/年 (変更なし)
適用円ドルレート
(手数料込)
106円/ドル 84円/ドル

 円金利よりも高い利息により米ドルのインカムゲインは大きかったものの、満期時の円ドルレートが預金時点よりも大きく円高に振れたためにキャピタルロスが大きく、最終的に元本割れが起きてしまった。

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*1:消費寄託でない場合、預けられた紙幣そのものを変換しないといけないため、それ自体を保管するか、仮に使ってしまったら当初預託を受けた紙幣を回収するコストが掛かるため、大変に不便になる。

*2:そのため、預金口座を新規開設する際、1,000円なりお金を要求される。

*3:当座預金から現金を引き出す際には小切手を切る。

*4:無くはないです。

*5:一定の期間後に、一定の価格で買戻す・売り戻すことを予め取り決めた短期の資金取引

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