「大人の教養・知識・気付き」を伸ばすブログ

一流の大人(ビジネスマン、政治家、リーダー…)として知っておきたい、教養・社会動向を意外なところから取り上げ学ぶことで“気付く力”を伸ばすブログです。

MENU

金融工学でのモンテカルロ法(14/22):リスク・パラメータの算出(3)

 金融工学におけるシミュレーションについて学んでいく。テキストとして以下を使う。今回はP.109-111まで。

7. Monte Carlo法を用いたオプション・リスクの計算

7.5 密度関数を微分する方法

 原資産価格の満期における分布が陽に分かっているならば、バイアスのないリスク・パラメータをオプション価格と同時に算出できる。またこの方法はペイオフの形に依存しないため、デジタル・オプションやバリア・オプションも利用可能である。
 コールオプションを例に考える。原資産価格が


\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{dS(t)}{S(t)}}=r dt+\sigma dZ(t),\ S(0)=S_0
\end{aligned}

に従うとするとき、満期において株価S(T)は確率密度


\begin{aligned}
g(x)=\displaystyle{\frac{1}{x\sigma \sqrt{2\pi T}}}e^{-\frac{z^2}{2}},\ z=\displaystyle{\frac{\log{\left(\displaystyle{\frac{x}{S_0}}\right)}-\left(r-\displaystyle{\frac{\sigma^2}{2}}\right)T}{\sigma\sqrt{T}}}
\end{aligned}

に従う。すると、ヨーロピアン・コール・オプション価格c


\begin{aligned}
c=\displaystyle{\int_{0}^{\infty}e^{-rT}\max[x-K,0]g(x)dx}
\end{aligned}

と表現できる。
 確率密度関数g(\cdot)S_0に関して滑らかな関数であるから、微分積分の順序が交換できる。その結果、


\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{\partial c}{\partial S_0}}=&\displaystyle{\frac{\partial}{\partial S_0}}\left(\displaystyle{\int_{0}^{\infty}e^{-rT}\max[x-K,0]g(x)dx}\right)\\
=&\displaystyle{\int_{0}^{\infty}e^{-rT}\max[x-K,0]\left(\displaystyle{\frac{\partial g(x)}{\partial S_0}}\right)dx}\\
=&\displaystyle{\int_{0}^{\infty}e^{-rT}\max[x-K,0]\left(\displaystyle{\frac{\partial \log{g(x)}}{\partial S_0}}\right)g(x)dx}\\
=&E\left[e^{-rT}\max[x-K,0]\left(\displaystyle{\frac{\partial \log{g(x)}}{\partial S_0}}\right)\right]
\end{aligned}

が成り立つ。ここで


\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{\partial \log{g(x)}}{\partial S_0}}=&\displaystyle{\frac{\partial}{\partial S_0}}\left\{-\displaystyle{\frac{z^2}{2}}-\log(x\sigma\sqrt{2\pi T})\right\}\\
=&-z\cdot\displaystyle{\frac{\partial z}{\partial S_0}}\\
=&z\cdot\displaystyle{\frac{1}{\sigma\sqrt{T}}}\displaystyle{\frac{1}{S_0}}\\
=&\displaystyle{\frac{\log{\left(\displaystyle{\frac{x}{S_0}}\right)}-\left(r-\displaystyle{\frac{\sigma^2}{2}}\right)T}{S_0 \sigma^2T}}
\end{aligned}

であるから、


\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{\partial c}{\partial S_0}}=&E\left[e^{-rT}\max[x-K,0]\left(\displaystyle{\frac{\partial \log{g(x)}}{\partial S_0}}\right)\right]\\
=&E\left[e^{-rT}\max[x-K,0]\displaystyle{\frac{\log{\left(\displaystyle{\frac{x}{S_0}}\right)}-\left(r-\displaystyle{\frac{\sigma^2}{2}}\right)T}{S_0 \sigma^2T}}\right]
\end{aligned}

となるので、これでMonte Carlo法により算出すればよい。

(1) あるiに対して株価サンプルパス\boldsymbol{S}_{i}を生成する。
(2) 満期の株価をx_i=S_{iM}として
\begin{aligned}Y_i=e^{-rT}\max\{x_i-K,0\}\displaystyle{\frac{\partial \log[g(x_i)]}{\partial S_0}}\end{aligned}
を計算する。
(3) i=2,\cdots,Nについて(1)~(2)を繰り返して
\begin{aligned}\displaystyle{\frac{1}{N}\sum_{i=1}^{N}Y_i}\end{aligned}
によりデルタを計算する。

7.6 Monte Carlo法によるリスク・パラメータ計算方法のまとめ

手法
特徴
差分商近似(標準的方法) ・リスク・パラメータを増やすたびにシミュレーションをやり直す必要がある。
・差分商近似の解析的誤差がパス数Nを増やしても小さくならず、リスク・パラメータにバイアスがある。
ペイオフ関数に依存しない。
差分商近似
(共通の乱数セットを用いる方法)
・リスク・パラメータを増やすたびにシミュレーションをやり直す必要はない。
・差分商近似の解析的誤差がパス数Nを増やしても小さくならず、リスク・パラメータにバイアスがある。
ペイオフ関数に依存して一部オプションには活用できない。
サンプル・ペイオフ
微分方法
・リスク・パラメータを増やすたびにシミュレーションをやり直す必要はない。
・差分商近似の解析的誤差を考慮する必要が無い。
ペイオフ関数に依存して一部オプションには活用できない。
・サンプル・ペイオフ微分が陽に求められ、ペイオフ関数がなめらかであるという条件が必要である。
密度関数を微分する方法 ・リスク・パラメータを増やすたびにシミュレーションをやり直す必要はない。
・差分商近似の解析的誤差を考慮する必要が無い。
ペイオフ関数に依存しない。
・原資産価格の満期における密度関数が陽に既知であり、これが滑らかであることが必要である。
プライバシーポリシー お問い合わせ