統計学に習熟するには線形代数の習得が不可欠である。が、初等的な線形代数ではカバーしきれないような分野も存在する。そこで以下の参考書
を基により高等な線形代数を学ぶ。
5. 一般化逆行列
5.2 Moore-Penrose形一般逆行列の性質
-型逆行列は、(1935)により初めてなされたもので、それは従前に示したものとは異なる。この定義は、射影行列を基にしている。
この定義が、による定義と等価であることを以下に示す。
まずによる定義を満たすがによる定義を満たすことを示す。定義から射影行列は対称であるから、による定義のうち
が直ちに成り立つ。
次にの列は内に含まれるため、
が成り立ち、同様に
が成立する。以上から1つ目および2つ目の条件
を満たす。
逆にが型逆行列を満たすと仮定する。このとき、
を得る。これはが冪等行列かつ対称行列であることを意味し、これによりは射影行列である。がの列空間の射影行列であることは、積の定義できる任意の行列について、が成り立つことから、
が得られる。以上から、であり、が成立する。についても同様の議論をすればよい。 )
行列の階数と-型逆行列の階数には、以下の関係がある。
定理5.5 行列の階数と-型逆行列の階数の関係 任意の行列に対して以下が成り立つ:
が成り立つ。同様に条件より、
が成り立つ。これらをまとめて題意を得る。 )