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統計学のための線形代数(037/X)

 統計学に習熟するには線形代数の習得が不可欠である。が、初等的な線形代数ではカバーしきれないような分野も存在する。そこで以下の参考書

を基により高等な線形代数を学ぶ。

5. 一般化逆行列

5.3 行列積のMoore-Penrose形一般逆行列


定理5.9 \mathrm{Moore}-\mathrm{Penrose}型一般化逆行列の積が可換な十分条件 次数がそれぞれm\times p,p\times nであるような行列A,B


\begin{aligned}
\mathrm{rank}\ A=\mathrm{rank}\ B=p
\end{aligned}

であるならば(AB)^{+}=B^{+}A^{+}が成り立つ。

(\because Aは最大列階数でBは最大行階数であるから、A^{+}=\left(A^{\prime}A\right)^{-1}A^{\prime}で、B^{+}=B^{\prime}\left(BB^{\prime}\right)^{-1}である。したがって


\begin{aligned}
ABB^{+}A^{+}AB&=AB\left(B^{\prime}\left(BB^{\prime}\right)^{-1}\right)\left(\left(A^{\prime}A\right)^{-1}A^{\prime}\right)AB\\
&=A\left(BB^{\prime}\right)\left(BB^{\prime}\right)^{-1}\left(A^{\prime}A\right)^{-1}\left(A^{\prime}A\right)B\\
&=AB\\
B^{+}A^{+}ABB^{+}A^{+}&=B^{\prime}\left(BB^{\prime}\right)^{-1}\left(A^{\prime}A\right)^{-1}A^{\prime}ABB^{\prime}\left(BB^{\prime}\right)^{-1}\left(A^{\prime}A\right)^{-1}A^{\prime}\\
&=B^{\prime}\left(BB^{\prime}\right)^{-1}\left(A^{\prime}A\right)^{-1}\left(A^{\prime}A\right)\left(BB^{\prime}\right)\left(BB^{\prime}\right)^{-1}\left(A^{\prime}A\right)^{-1}A^{\prime}\\
&=B^{\prime}\left(BB^{\prime}\right)^{-1}\left(A^{\prime}A\right)^{-1}A^{\prime}\\
&=B^{+}A^{+}
\end{aligned}

が成り立つ。更に


\begin{aligned}
ABB^{+}A^{+}&=ABB^{\prime}\left(BB^{\prime}\right)^{-1}\left(A^{\prime}A\right)A^{\prime}\\
&=A\left(A^{\prime}A\right)^{-1}A^{\prime}\\
B^{+}A^{+}AB&=B^{\prime}\left(BB^{\prime}\right)^{-1}\left(A^{\prime}A\right)^{-1}A^{\prime}AB\\
&=B^{\prime}\left(BB^{\prime}\right)^{-1}B
\end{aligned}

であるから、これらの行列は対称である。したがってB^{+}A^{+}AB\mathrm{Moore}-\mathrm{Penrose}型一般化逆行列である。 \blacksquare)


 定理5.9は有用ではあるものの、(AB)^{+}の分解のための十分条件した与えないという欠点がある。以下の定理はこの分解が成り立つための必要十分条件を与える。


定理5.10 \mathrm{Moore}-\mathrm{Penrose}型一般化逆行列の積が可換な必要十分条件 Am\times p行列、Bp\times n行列とする。このとき(AB)^{+}=B^{+}A^{+}のための必要十分条件は以下のそれぞれである。

  • A^{+}ABB^{\prime}A^{\prime}=B^{\prime}A^{\prime}およびBB^{+}A^{\prime}AB=A^{\prime}ABが成り立つこと。
  • A^{+}ABB^{\prime}およびA^{\prime}ABB^{+}が対称行列であること。
  • A^{+}ABB^{\prime}A^{\prime}ABB^{+}=BB^{\prime}A^{\prime}Aであること。
  • A^{+}AB=B(AB)^{+}ABおよびBB^{+}A^{\prime}=A^{\prime}AB(AB)^{+}であること。


 更に積ABが定義できるようなすべての行列A,Bに対して成立するような(AB)^{+}の一般表現を求める。そのためにAB=A_1B_1,(A_1B_1)=B_1^{+}A_1^{+}を満たすように、A,BA_1^{+},B_1^{+}に変換することを考える。


定理5.11 積(AB)^{+}の一般表現 Am\times p行列、Bp\times n行列とする。このときB_1=A^{+}ABかつA_1=AB_1B_1^{+}ならばAB=A_1B_1かつ(AB)^{+}=(B_1A_1)^{+}である。
(\because 与えられた行列A,B


\begin{aligned}
AB=AA^{+}AB=AB_1=AB_1B_1^{+}B_1=A_1B_1
\end{aligned}

であるから、1つ目は成り立つ。
 2つ目を示すべく、定理5.10の1番目、すなわち


\begin{aligned}
A^{+}ABB^{\prime}A^{\prime}&=B^{\prime}A^{\prime},\\
BB^{+}A^{\prime}AB&=A^{\prime}AB
\end{aligned}

が成り立つことを示す。
 まず


\begin{aligned}
A^{+}A_1&=A^{+}AB_1B_1^{+}=A^{+}A(A^{+}AB)B_1^{+}\\
&=A^{+}ABB_1^{+}=B_1B_1^{+}\\
A_1^{+}A_1&=A_1^{+}AB_1B_1^{+}=A_1^{+}A(B_1B_1^{+}B_1)B_1^{+}\\
&=A_1^{+}A_1B_1B_1^{+}
\end{aligned}

である。これらのうち2つ目の式の転置を取り、\mathrm{Moore}-\mathrm{Penrose}型一般逆行列の定義および上の1つ目の式より


\begin{aligned}
\left(A_1^{+}A_1\right)^{\prime}&=A_1^{+}A_1\ \ (\because\ \mathrm{Moore}-\mathrm{Penrose}型一般逆行列の条件式)\\
&=\left(B_1B_1^{+}\right)^{\prime}\left(A_1^{+}A_1\right)^{\prime}\ \ (\because\  2つ目の式)\\
&=B_1B_1^{+}A_1^{+}A_1\ \ (\because\  1つ目の式)\\
&=A^{+}\left(A_1A_1^{+}\right)A_1\\
&=A^{+}A_1\ \ (\because\ \mathrm{Moore}-\mathrm{Penrose}型一般逆行列の定義)\\
&=B_1B_1^{+}\ \ (\because\  1つ目の式)
\end{aligned}

であり、したがって


\begin{aligned}
A_1^{+}A_1B_1B_1^{\prime}A_1^{\prime}&=B_1B_1^{+}B_1B_1^{\prime}A_1^{\prime}=B_1B_1^{\prime}A_1^{\prime}
\end{aligned}

が成立する。これは定理5.10の1番目の恒等式に他ならない。同定理の2番目の恒等式


\begin{aligned}
A_1^{\prime}&=(AB_1B_1^{+})^{\prime}=(AB_1B_1^{+}B_1B_1^{+})^{\prime}\\
&=(A_1B_1B_1^{\prime})^{\prime}=B_1B_1^{+}A_1^{\prime}
\end{aligned}

に注目し、この式の両辺にA_1B_1を右から掛けることで


\begin{aligned}
A_1^{\prime}A_1B_1&=(A_1B_1B_1^{\prime})^{\prime}=B_1B_1^{+}A_1^{\prime}A_1B_1\\
\end{aligned}

が得られる。 \blacksquare)

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