統計学に習熟するには線形代数の習得が不可欠である。が、初等的な線形代数ではカバーしきれないような分野も存在する。そこで以下の参考書
を基により高等な線形代数を学ぶ。
5. 一般化逆行列
5.5 和に関するMoore-Penrose形一般化逆行列
行列の和に関する-型一般化逆行列に関するいくつかの結果を導く。
定理5.15はの行がの行に直交するときにの表現を与える。加えての列がの列に直交する場合、より簡潔に表現できる。
( 定理5.3より
が成り立つから、
である。したがって
が得られる。これらはいずれも対称で、-型逆行列の3つ目および4つ目の条件を満たす。そこで
と-型一般化逆行列の1番目および2番目の条件も満たす。2つ目の恒等式
の左辺について、2番目の条件を用いることで
を得る。 )
この定理5.16は一般化することができる。
過去の章で示したようにおよびが正則である場合に
が成立することを確認した。以下ではこれを拡張する。
定理5.17 正則な次正方行列およびについて、とが正則であることは同値で、が正則ならば、
が成り立つ。ここで
である。
であるから、前半の必要十分条件が導かれる。
もしならば、に注意して
を得る。これによりであり、この両辺にを引き整理することで
を得る。また同様の議論から、の対称性に注意して
を得る。これを用いることで
が得られる。また
より
を得る。これにより、-型一般化逆行列の定義における3番目および4番目の条件が満たされる。同定義の1番目の条件は、
の両辺に左からを乗じることで
により成り立つ。2番目の条件も同様に得られる。 )