今日のまとめ
- ベクトルにおける接線・接平面を議論する
10. ベクトル解析
本節ではベクトル値写像を扱う。
10.2 曲線および曲面
10.2.1 曲線および曲面
まずはにおける曲線および曲面のいくつかの表示方法を議論する。
- パラメータ(陽関数)表示:媒介変数を用いて表示する
- 陰関数表示:
以降、いくつかの条件を課す:
10.2.2 接線および接平面
曲線がでパラメータ表示されるとする。このときにおけるの微分は
と書ける。
このため点における接線は、パラメータをとして
と書く*1。
なお接線の方向を表すベクトルを曲線(曲面)の点における接ベクトルといい、その全体を接ベクトル空間という。
また曲面がによりパラメータ表示ないし陰関数表示されているとする。
における接平面は
もしくは
で与えられる。ここでは法ベクトルを与えている。
次に曲面のパラメータ表示を考える。とする。
であるから、が成立する。これをそれぞれについて偏微分しと置き直せば
が成立し、はおよびに直交する。
が一次独立であるという条件から、と直交ベクトルはの一次結合で表される。より接平面上の点はがと直交するものとして特徴づけられるから、接平面は
と表すことができる。
接平面と平行なベクトルをのにおける接ベクトルといい、その全体を接ベクトル空間という。
接平面の性質 を曲面、とする。このとき以下が成立する。
- を通る上の曲線を考える。のにおける接線はのにおける接平面に含まれる。
- をにおけるの接ベクトルとする。このときを通る上の曲線で、においてを満たすものが存在する。
が一次独立であるという条件を満たすパラメータまたは関数によりパラメータ表示または陰関数表示されるものとする。
- を上の曲線でを満たすものとする。このときが上にあることから陰関数表示を用いてを満たす。で微分してとおくとが成り立つから、はの接ベクトルであり題意は示された。
- とおく。におけるの接ベクトルはと表すことができる。このとき新たににより定める曲線を考えると、それは上にありが成り立つ。ここからが求めるものである。)
*1:と仮定している点に注意。