以下の書籍を参考に、改めて微分積分を復習していく。
10. ベクトル解析
本節ではベクトル値写像を扱う。
10.1 ベクトル値写像とその微分
ベクトル値写像の定義 に対して、
上で定義された
個の実数値関数
が与えられたとする。このとき
に対して
内の点
を対応させる
写像を定義できる。この
を
値
写像(もしくはベクトル値関数、ベクトル場)という。
もしすべてのがで連続であるときは上の連続値写像といい、各が上で級()であるとき、は上の級値写像であるという。
例:線形写像
行列
に対して、
をにより定まる線形写像という。
また以下のとおり記号を定義する。
- ベクトル値関数の各成分をある1つの成分について偏微分すること
- Jacobi行列:ベクトル値関数のにおける微分
例:
- について
10.1.1 ベクトル値写像の微分に関する諸性質
ベクトル値写像の微分の諸性質 を
級
写像とし、
と仮定する。このとき、
行列の性質 を領域とし、
をそれぞれ
級
写像とする。さらに
と仮定する。このとき
は
級
写像であり
が成立する。
(
写像をそれぞれ
とおけば、合成写像は
と表される。したがっての成分は
が得られる。この右辺は定義式の右辺における成分に等しい。 )
次にベクトルのノルムおよび内積を定義する。
に対して、
でノルムおよび内積を定義する。