8. 多変数関数の積分
8.6 逐次積分
( の分割を任意に取る。軸の分割を、軸の分割をとおく。
を考える。ここでである。一方で
とおくとのときであるから
が成り立つ。最後の等式ではが上で積分可能なのでを用いた。について下限を取ることで
を得る。以上から
を得た。こうして左辺でについての上限を取ることで
である。
次に
を考える。ここでである。一方でとおくとのときであるから
である。ここで最後の等式はが上で積分可能だからであることを用いた。について上限を取ることで
である。以上から
を得る。こうして左辺でについての下限を取ることで
である。
以上をまとめることで
である。いまはで二重積分可能であるから、
であった。したがって直上の不等式においてすべて等号が成り立つ、すなわち
である。これによりは上積分可能であって
である。 )
( 必要であればの代わりにをを満たすように取ってに対して定理が成立することを示せば、元の場合も定理が成立することを示すことができる。したがってはじめからと仮定してもよい。
いま軸上の区間の分割軸の区間の分割の分割を勝手に取る。このときに対応するの分割をとする。であるから
が従う。したがってを得る。以上により
である。ここでについてそれぞれ上限、下限を取ることで
が成り立つ。はそれぞれ上で積分可能であるから
が成立する。そのため、
であるから、
が成り立つ。したがって
を得る。 )
実際の計算には、上述の定理よりも次の定理が用いられることが多い。
二重積分の計算(置換)
(1)を上で定義された連続関数でが成り立つものとする。を考える。このときを上の連続関数とすれば
が成り立つ。
(2) を上で定義された連続関数でが成り立つものとする。を考える。このときを上の連続関数として以下が成り立つ。
が成り立つ。
( (2)の証明は(1)と全く同様であるため、(1)のみ示す。を取り、
とおく。このとき別定理より
が成り立つ。いまを定めるごとには、
であるから、上で積分可能であり
である。以上から
である。 )