9. 関数列の収束
本節では関数の数列(関数列)に関する収束概念を扱う。
9.3 極限関数の微分・積分
極限を取る操作と微分、積分の可換性について議論する。すなわちをで連続な関数列でを満たすものとするとき、
が成立するかを扱う。
まず積分と極限操作は、以下の例からも明らかなように、自明には成り立たない。
例:
まずにおいてに注意すればであり、であるから、である。
他方でであるから、を得る。以上から
である。
これに対して、以下の定理が成り立つ。
( 関数列は上で連続であり、また一様収束性を有することからは連続関数である。したがっても上で積分可能であるから、が成り立つ。の一様連続性から、のときである。したがって
が成り立ち、
である。 )
次に微分と極限操作も、以下の例からも明らかなように、自明には成り立たない。
例:
であるから、はにおいてに一様収束する。
他方でである。であるから、である。
これに対して、以下の定理が成り立つ。
( は上で連続であり、に一様収束するから、は上で連続である。ここでとおき、とおくと
が成り立つ。したがって
が成立する。
いまは上においてに一様収束するから
である。仮定からであるから、
が成り立つ。これによりは上でに一様収束する。他方で各に対してのときであるからを満たす。したがっては上でに一様収束し、更に
が成立する。は上で連続であるから、は上で微分可能かつである。または上で連続であるから、は上で級である。 )