今日のまとめ
- Taylorの定理(多変数版):は領域上で回連続微分可能でとする。さらにを結ぶ線分がに含まれているとする。このときを満たすようなが存在する。
7. 多変数関数の微分
2つ以上の変数を持つ関数(多変数関数)の微分およびその応用を取り扱う。まずは2変数関数を中心に扱い、その後に一般の変数関数の場合を扱う。
7.6 Taylorの定理
( の関数を考える。は1変数関数のTaylorの定理が求める条件を満たし、である。したがって適当なに対して
が成立する。このとき
が成り立つ。 )
7.7 極値問題、条件付き極値問題
領域で定義された関数がの点の近傍で最大値を取るとき、すなわち適当にを選ぶと点の近傍に属するすべての点においてが成り立つとき、は点において極大であるといい、をの極大値という。点と異なるすべての点に対してを満たすとき、は点において狭義の極大であるという。これと同様に極小、狭義の極小を定義する。極大および極小を総称して極値という。
極値を取る条件 は点の近傍において2回連続微分可能とする。このとき
(2) (1)の必要十分条件を満たし、更に
ならば、においては極値を取り、ならば点において狭義の極小、ならば点において狭義の極大を取る。
である。同様にはにおいて極値を取るから
である。
次にかつと仮定する。Taylorの定理および(1)の条件式から
が成り立つ。上式の右辺第2項をとおき、の符号を調べる。
と書ける。ここで
である。いまとおくと、に対して
なおである。仮定よりでである。したがって
である。単位円は有界閉集合だから連続関数は上で最小値を取る。
であるから、を適当に取ると原点の近傍に属するすべてのに対して
とできる。したがって近傍に属するすべてのに対して
が成り立つ。
これによりについてが成り立つとき
が成立する。このため、では狭義の極小を取る。の場合に点においてが狭義の極大を取ることも同様に示すことができる。
(3) と仮定する。このときは単位円上において正の値と負の値の両方を取り得る。
とする。であるから適当にを取ると、近傍に属するすべてのに対して
とできる。任意に与えたに対してであるときにであり、
が成り立つ。したがっては点において極値を取らない。 )
条件式
を満たすような点を停留点または臨界点と呼び、であるような停留点は鞍点と呼ばれる。