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マクロ経済学(8/17)経済成長の理論I:ソロー・モデル

8.  経済成長の理論I:ソロー・モデル

8.1 GDPの成長をどのように説明するか

 GDPは国内総所得に等しいため、ある国の住民の豊かさを表す指標と言える*1。そのデータを見るにつれて経済成長に関する諸問題が論点となる。
 ここで扱う経済成長を考えるモデルでは、

  1. 2期間以上の多期間でGDPの成長率を分析する
  2. 生産要素は資本と労働である
  3. 家計の行動は外生的に決定される

と仮定する。

8.2 基本的なソロー・モデル

 経済成長を扱う最も基本的なモデルとしてソロー・モデルがある。ソロー・モデルは①生産関数②資本蓄積式の2つを中心に構成される。
 これらに加えて、家計の貯蓄行動資本市場の均衡人口成長GDPの水準及び成長率を決定する。このモデルにおける変数は、

  • 外生変数:貯蓄率s, 資本減耗率\delta, 人口成長率n
  • 内生変数:資本ストックK, GDP Y

 更に生産関数に対して2つの仮定を置く。

  1. 生産要素は資本ストックと労働の関数である:Y_t=F(K_t,L_t)
  2. 生産関数が規模に関して収穫一定である:\lambda Y_t=F(\lambda K_t,\lambda L_t ),\ \lambda \gt0

 ここでK_t,L_tはそれぞれ時点tにおける資本ストックおよび労働人口である。

 仮定から、\lambda=1/L_tとおけば



\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{Y_t}{L_t}}=F\left(\frac{K_t}{L_t} ,1\right)\Leftrightarrow y_t=F(k_t,1)=f(k_t ),y_t\equiv \displaystyle{\frac{Y_t}{L_t}} ,k_t\equiv \displaystyle{\frac{K_t}{L_t}}
\end{aligned}


が成り立つ。この関数fを1人当たり生産関数という。ここでy_t,\ k_tは1人当たりGDPおよび1人当たり資本ストックを表す。

8.2.1 Cobb-Douglas型生産関数

 上記仮定を満たす典型的な生産関数としてCobb-Douglas型生産関数



\begin{aligned}
Y_t={K_t}^{\alpha}{L_t}^{1-\alpha},\ 0\lt\alpha\lt1
\end{aligned}


がある。ここで\alphaは資本分配率に相当するパラメータである。
 1人当たりの生産関数は



\begin{aligned}
y_t={k_t}^{\alpha}
\end{aligned}


で表される。
 この1人当たり生産関数について



\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{dy_t}{dk_t}}=&\alpha{k_t}^{\alpha-1}\gt0,\\
\displaystyle{\frac{d^2 y_t}{d{k_t}^2}}=&\alpha(\alpha-1){k_t}^{\alpha-2}\lt0
\end{aligned}


が成り立つ、すなわちこの関数は単調増加(ただし増加率は逓減する)である。

8.3.2 資本蓄積式

 資本蓄積式は



\begin{aligned}
K_{t+1}-K_t=I_t-\delta K_t
\end{aligned}


で表される。すなわち1期における資本ストックの増減分はその期における設備投資額から同期に減耗した資本ストック分を控除した分である。

8.3.3 家計の貯蓄行動

 家計は、実際には現在と将来の可処分所得、利子率、時間選好率に依存して根気の消費や貯蓄を決定する。ただしここでは可処分所得の一定割合を貯蓄すると仮定する。すなわち



\begin{aligned}
S_t=sY_t,\ 0\lt s\lt 1
\end{aligned}


と仮定する。

8.3.4 資本市場の均衡

 政府部門と海外部門を考えないこととすれば、資本市場の均衡条件として以下が成り立つ:



\begin{aligned}
S_t=I_t
\end{aligned}

8.3.5 人口成長率

 労働人口は一定率nで成長すると仮定する、すなわち



\begin{aligned}
n=\displaystyle{\frac{L_{t+1}-L_{t}}{L_t}} 
\end{aligned}

8.4 ソロー・モデルの分析

 資本蓄積式に各変数の定義式を代入すれば、



\begin{aligned}
K_{t+1}-K_t=I_t-\delta K_{t}=S_t-\delta K_t=sY_t-\delta K_t
\end{aligned}


が成り立つ。両辺をL_tで割ることで



\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{K_{t+1}}{L_t}}-\displaystyle{\frac{K_t}{L_t}}=s\displaystyle{\frac{Y_t}{L_t}}-\displaystyle{\frac{\delta K_t}{L_t }}
\end{aligned}


を得る。これは



\begin{aligned}
&\ \displaystyle{\frac{K_{t+1}}{L_t}}-\displaystyle{\frac{K_t}{L_t}}=\displaystyle{\frac{s Y_t}{L_t}}-\displaystyle{\frac{\delta K_t}{L_t}}\\
\Leftrightarrow &\ \displaystyle{\frac{L_{t+1}}{L_t}}\displaystyle{\frac{K_{t+1}}{L_{t+1}}}-\displaystyle{\frac{K_t}{L_t}}=\displaystyle{\frac{s Y_t}{L_t}}-\displaystyle{\frac{\delta K_t}{L_t}}
\end{aligned}


と同値である。



\begin{aligned}
(1+n)k_{t+1}-k_t=s y_t-\delta k_t
\end{aligned}


 これに生産関数y_t=f(k_t)を代入することで



\begin{aligned}
(1+n) k_{t+1}-k_t=sf(k_t)-\delta k_t
\end{aligned}


が得られる。これをk_{t+1}について整理することで



\begin{aligned}
k_{t+1}=\displaystyle{\frac{sf(k_t)+(1-\delta)k_t}{1+n}}
\end{aligned}


を得る。資本ストックの時間変化をこの式を通じて分析することが出来る。まず



\begin{aligned}
k_{t+1}-k_t=\displaystyle{\frac{sf(k_t)-(n+\delta)k_t}{1+n}}
\end{aligned}


が成り立つため、1期間を経ての資本ストック変化を定式化でき、ここから資本ストックが翌期に増減するかはs f(k_t)-(n+\delta)k_tの符号に一致することが分かる。
 貯蓄率sが増大するとき、それに伴い1人当たり資本ストックは上昇し、1人当たりGDPも併せて増加する。

8.4.1 定常状態

 時点tに依存せず、経済変数が一定の値を維持する状態を定常状態という。

8.5 黄金律

 貯蓄率sを外生変数と見なすとき、それは家計の生涯効用が最大になる、定常状態における1人当たり消費c^*が最大になるように定められる消費と定常状態の定義から、



\begin{aligned}
c^{*}=(1-s)y^{*}=y^{*}-(n+\delta) k^{*}=f(k^{*})-(n+\delta) k^{*}
\end{aligned}


が成り立つので、これを最大化するようなsを得ればよい。定常状態での1人当たり消費を最大にするような1人当たり資本ストック水準k_g^{*}黄金律という。
 他方で、これを最大化するk^*k^*に関するc^*微分の方程式



\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{\partial c^{*}}{\partial k^{*}}}=f^{\prime}(k^{*})-(n+\delta)=0
\end{aligned}


を解けばよい。

8.6 GDP成長率

 1人当たりGDP成長率の時間経過による変化を分析する。1人当たりGDPy_tについてy_t=f(k_t )が成り立つから、1人当たり資本ストックk_tが決まれば自動的にy_tが成り立つ。
 1人当たり資本ストック成長率g_t^kは以下で定義できる:




\begin{aligned}
g_t^k=\displaystyle{\frac{k_{t+1}-k_t}{k_t}} 
\end{aligned}


 このとき



\begin{aligned}
g_t^k=\displaystyle{\frac{k_{t+1}-k_t}{k_t}}=&\displaystyle{\frac{1}{k_t}}\displaystyle{\frac{sf(k_t)+(1-\delta)k_t}{1+n}}-1\\
=&\displaystyle{\frac{s}{1+n}}\displaystyle{\frac{f(k_t)}{k_t}}+\displaystyle{\frac{1-\delta}{1+n}}-1\\
=&\displaystyle{\frac{s}{1+n}}\displaystyle{\frac{f(k_t)}{k_t}}+\displaystyle{\frac{n-\delta}{1+n}}
\end{aligned}


が成り立つ。これは、g_t^k\displaystyle{\frac{f(k_t )}{k_t}}=\displaystyle{\frac{y_t}{k_t}}に依存して決定することを意味する。
 ではK_tおよびY_tはどのように変化するか。定常状態において



\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{k_{t+1} }{k_t} }=\displaystyle{\frac{\displaystyle{\frac{K_{t+1} }{L_{t+1} } } }{\displaystyle{\frac{K_t}{L_t} } } }=\displaystyle{\frac{K_{t+1}}{K_t}}\displaystyle{\frac{L_t}{L_{t+1}}}=\displaystyle{\frac{1+g_t^K}{1+n}}=1
\end{aligned}


が成立する。ここで



\begin{aligned}
g_t^K=\displaystyle{\frac{K_{t+1}-K_t}{K_t}} 
\end{aligned}


である。したがってg_t^K=nとなり、資本ストックとGDPの成長率は人口成長率nに帰着する。

8.7 技術進歩を考慮したソロー・モデル

 ソロー・モデルが正しいならば、定常状態における1人当たり実質GDP成長率は0のはずである。しかし実際にそれが観測されたことはない。これは未だ定常状態に至ったことが無いか、これまでで述べたソロー・モデルが不十分だという可能性を示唆する。ここでは後者の可能性を想定し、定常状態でも1人当たり実質GDP成長率を正にするような項を追加する。具体的には、技術進歩の項を追加する。
 生産関数に技術水準を表す変数A_tを導入し、



\begin{aligned}
Y_t=F(K_t,A_t L_t )
\end{aligned}


とする(A_t L_tを効率労働と呼ぶ。)。ここでA_tは一定の成長率で変化すると仮定し、この成長率(技術進歩率)g^A



\begin{aligned}
g^A=\displaystyle{\frac{A_{t+1}-A_t}{A_t}} 
\end{aligned}


で定義する。更にこれは外生的に与えられているものとする。
 この生産関数が1次同次だと仮定すると、



\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{Y_t}{A_t L_t}}=F\left(\displaystyle{\frac{K_t}{A_t L_t}},1\right),\ \tilde{y}_t:=\displaystyle{\frac{Y_t}{A_t L_t}}=f\left(\tilde{k}_{t}\right):=F\left(\displaystyle{\frac{K_t}{A_t L_t}},1\right)
\end{aligned}


である。

8.7.1 定常状態

 定常状態では、



\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{K_{t+1}}{A_t L_t}}-\displaystyle{\frac{K_t}{A_t L_t}}=
\displaystyle{\frac{K_{t+1}}{A_{t+1} L_{t+1}}}\displaystyle{\frac{A_{t+1}L_{t+1}}{A_t L_t}}-\displaystyle{\frac{K_t}{A_t L_t}}
=s\displaystyle{\frac{Y_t}{A_t L_t}}-\displaystyle{\frac{\delta K_t}{A_t L_t}}
\end{aligned}


が得られる。これを更に書き換えると、



\begin{aligned}
(1+g^A )(1+n)\tilde{k}_{t+1}-\tilde{k}_t=s\tilde{y}_t-\delta \tilde{k}_t=sf(\tilde{k}_t )-\delta \tilde{k}_t
\end{aligned}


が得られる。
 これを\tilde{k}_{t+1}に関して整理することで



\begin{aligned}
\tilde{k}_{t+1}=\displaystyle{\frac{sf(\tilde{k}_t)+(1-\delta)\tilde{k}_t}{(1+g^A)(1+n)}}
\end{aligned}


が成り立つ。以上から、効率労働当たりの資本ストックの時間変化は



\begin{aligned}
\tilde{k}_{t+1}-\tilde{k}_t=\displaystyle{\frac{sf(\tilde{k}_t)+(1-\delta)\tilde{k}_t}{(1+g^A)(1+n)}}-\tilde{k}_t=\displaystyle{\frac{sf(\tilde{k}_t)+\left\{1-\delta-(1+g^A)(1+n)\right\}\tilde{k}_t}{(1+g^A)(1+n)}}
\end{aligned}

で与えられる。
 定常状態における効率労働当たりの資本ストック\tilde{k}^{*}は以下の条件を満たすような\tilde{k}_tである:



\begin{aligned}
sf(\tilde{k}^{*})=-\{1-\delta-(1+g^A)(1+n)\}\tilde{k}^{*}
\end{aligned}

8.7.2 資本ストックとGDP成長率

 定常状態における資本ストックおよびGDP成長率を考える。定常状態の定義から、



\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{\tilde{k}_{t+1}}{\tilde{k}_t}}=
\displaystyle{\frac{\displaystyle{\frac{K_{t+1}}{A_{t+1}L_{t+1}}}}{\displaystyle{\frac{K_t}{A_t L_t}}}}=
\displaystyle{\frac{k_{t+1}}{k_t}}\displaystyle{\frac{A_t}{A_{t+1}}}=\displaystyle{\frac{1+g_t^k}{1+g^A}}=1
\end{aligned}


が成立する。したがってg^A=g_t^kが定常状態では成り立つ。
 また



\begin{aligned}
\tilde{y}_t=\displaystyle{\frac{y_t}{A_t}}
\end{aligned}


であるから、



\begin{aligned}
\tilde{y}_t=\displaystyle{\frac{Y_t}{A_t L_t}}=f(\tilde{k}^{*})\Leftrightarrow y_t=A_t f(\tilde{k}^{*})
\end{aligned}


すなわち1人当たりGDP成長率もまた技術進歩率に等しい。資本ストックK_tおよびGDP Y_tの成長率はともに(1+g^A )(1+n)-1である。

8.8 経済成長に関する実証研究

 ソローが考案した成長会計を用いて経済成長を実証的に研究する。Cobb-Douglas型生産関数を用いて技術進歩を加味した生産関数を用いると、



\begin{aligned}
Y_t={K_t}^{\alpha}(A_t L_t )^{1-\alpha}={A_t}^{1-\alpha}{K_t}^{\alpha}{L_t}^{1-\alpha}=B_t{K_t}^{\alpha}{L_t}^{1-\alpha}(B_t:={A_t}^{1-\alpha})
\end{aligned}


と書ける。このB_t全要素生産性(TFP)という
 両辺の対数を取ると



\begin{aligned}
\log{Y_t}=\log{B_t}+\alpha\log{K_t}+(1-\alpha)\log{L_t}
\end{aligned}


 またt\rightarrow t+1としてその辺々から引くことで



\begin{aligned}
\log\left(\displaystyle{\frac{Y_{t+1}}{Y_t}}\right)=\log\left(\displaystyle{\frac{B_{t+1}}{B_t}}\right)+\alpha\log\left(\displaystyle{\frac{K_{t+1}}{K_t}}\right)+(1-\alpha)\log\left(\displaystyle{\frac{L_{t+1}}{L_t}}\right)
\end{aligned}


が得られる。
 ここでx\in\mathbb{R}に対してTaylor展開から



\begin{aligned}
\log{⁡x}\approx 1-x
\end{aligned}


が成り立つから、



\begin{aligned}
\log\left(\displaystyle{\frac{Y_{t+1}}{Y_t}}\right)\approx 1-\displaystyle{\frac{Y_{t+1}}{Y_t}}=\displaystyle{\frac{Y_t-Y_{t+1}}{Y_t}} 
\end{aligned}


となるから、



\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{Y_{t+1}-Y_t}{Y_t}}=\displaystyle{\frac{B_{t+1}-B_t}{B_t}}+\alpha\displaystyle{\frac{K_{t+1}-K_t}{K_t}}+(1-\alpha)\displaystyle{\frac{L_{t+1}-L_t}{L_t}} 
\end{aligned}


が得られる。



\begin{aligned}
g_t^B=\displaystyle{\frac{B_{t+1}-B_t}{B_t}}
\end{aligned}


は、それ以外がデータから計算できることから、計算することが出来る。ここから



\begin{aligned}
g_t^B=g_t^Y-\alpha g_t^K-(1-\alpha)g_t^L
\end{aligned}

と書け、これをソロー残差という。

8.9 ソロー・モデルを超えて

 ソロー・モデルは、現実の経済成長を説明することに成功している。しかしある特定の要因がなぜ経済成長に貢献したのかを説明することはできるとは限らない。
 ソロー・モデルが仮に現実の経済成長を上手く説明しているならば、技術進歩率が外生変数であること、財市場及び労働市場などの各市場が完全競争市場だと仮定していることのため、経済政策は経済成長に何ら影響を与えないことになる。したがって、ソロー・モデルは経済成長率の相違が偶然の結果だと言わざるを得ない。これにより、技術進歩は内生的に記述しなければならない。

補論 コブ・ダグラス型生産関数と資本分配率、労働分配率

 生産物の価格を1と仮定した場合、企業の利潤最大化問題は以下で書ける:



\begin{aligned}
\displaystyle{\max_{K_t,L_t}\{F(K_t,A_t L_t)-r_t K_t-w_t L_t\}}
\end{aligned}


ここでr_tは資本の貸借費用、w_tは実質賃金率を表す。生産関数がCobb-Douglas型であることを仮定するとK_tおよびL_tに関する利潤最大化条件は、



\begin{aligned}
\displaystyle{\max_{K_t,L_t}⁡\{{K_t}^{\alpha}(A_t L_t)^{1-\alpha}-r_t K_t-w_t L_t\}}
\end{aligned}


であり、このとき



\begin{aligned}
\begin{cases}
\displaystyle{\frac{\partial }{\partial K_t}}\left\{{K_t}^{\alpha}(A_t L_t )^{1-α}-r_t K_t-w_t L_t\right\}=&\alpha      {K_t}^{\alpha-1} (A_t L_t )^{1-\alpha}-r_t=0\\
\displaystyle{\frac{\partial }{\partial L_t}}\left\{{K_t}^{\alpha}(A_t L_t )^{1-α}-r_t K_t-w_t L_t\right\}=&(1-\alpha){K_t}^{\alpha    } (A_t L_t )^{-\alpha} A_t-w_t=0
\end{cases}
\end{aligned}


\begin{aligned}
\therefore\ 
\begin{cases}
\alpha{K_t}^{\alpha-1}(A_t L_t )^{1-\alpha}=\alpha \displaystyle{\frac{{K_t}^{\alpha}(A_t L_t )^{1-\alpha}}{K_t}}=\alpha\displaystyle{\frac{F(K_t,A_t L_t)}{K_t}}=\alpha \displaystyle{\frac{Y_t}{K_t}}=r_t\\
(1-\alpha){K_t}^{\alpha}(A_t L_t )^{-\alpha} A_t=(1-\alpha)\displaystyle{\frac{{K_t}^{\alpha}(A_t L_t )^{1-\alpha}}{L_t}} =(1-\alpha)\displaystyle{\frac{F(K_t,A_t L_t)}{L_t}}=(1-\alpha)\displaystyle{\frac{Y_t}{L_t}}=w_t
\end{cases}
\end{aligned}


である。これを更に変形すると、



\begin{aligned}
\alpha=\displaystyle{\frac{r_t K_t}{Y_t}},\ 1-\alpha=\displaystyle{\frac{w_t}{Y_t}}
\end{aligned}


である。これらの右辺はそれぞれ資本分配率および労働分配率の定義に他ならない。

問題*2

1. Cobb-Douglas型生産関数

1人当たり生産関数としてCobb-Douglas型生産関数


\begin{aligned}
y_t={k_t}^{\alpha}
\end{aligned}

を仮定する。このとき以下の問いに答えよ。
(a) 資本減耗率\deltaが上昇した場合、定常状態における1人当たり資本ストック{k_t}^{*}および1人当たりGDP{y_t}^{*}がどのように変化するかを答えよ。
(b) 黄金律における1人当たり資本ストックを答えよ。
(c) 黄金律を達成可能な貯蓄率s_gを求めよ。
(d) 貯蓄率がsからs^{\prime}まで上昇した場合、1人当たりGDP成長率はどのように変化するか。

2. 技術進歩を考慮したソロー・モデル

 技術進歩を考慮したソロー・モデルとして生産関数を


\begin{aligned}
Y_t={K_t}^{\alpha}(A_t L_t )^{1-\alpha}
\end{aligned}

だと仮定する。このとき以下の問いに答えよ。
(a) 効率労働当たりの生産関数を求めよ。
(b) 定常状態における効率労働当たりの資本ストックとGDPを求めよ。
(c) 定常状態における1人当たりの資本ストックとGDPを求めよ。
(d) 定常状態における資本ストックとGDPを求めよ。
(e) 技術進歩率がg^Aからg^{A\prime}へと上昇した場合、1人当たりGDPの成長率がどのように変化するか説明せよ。

3. 政府部門を加えたソロー・モデル

 政府支出G_tが一括固定税、すなわち家計所得から一定額T_tが税金として徴収される税金のよってのみ賄われるものと仮定する。すなわちG_t=T_tとする。1人当たりの政府支出および租税をそれぞれg,\tauと表し一定だと仮定するとき、以下に答えよ。
(a)定常性条件
 定常状態を決定する条件


\begin{aligned}
s\cdot f(k^{*})=\left(n+\delta\right)k^{*}
\end{aligned}
がどのように変化するか答えよ。
(b)一人当たり政府支出と資本蓄積の関係
 一人当たり政府支出の恒常的な増加が資本蓄積にどのような影響を与えるか説明せよ。

4. 全要素生産性の成長率の計算

 ある国の実質GDPが10年間で50\%成長したと仮定する。この間に同国の資本ストックは50\%労働人口5\%成長した。労働分配率70\%であったとするならば、全要素生産性の成長率は何\%か。

解答

1. Cobb-Douglas型生産関数

1人当たり生産関数としてCobb-Douglas型生産関数


\begin{aligned}
y_t={k_t}^{\alpha}
\end{aligned}

を仮定する。このとき以下の問いに答えよ。

(a)資本減耗率\deltaが上昇した場合、定常状態における1人当たり資本ストック{k_t}^{*}および1人当たりGDP{y_t}^{*}がどのように変化するかを答えよ。

 定常状態では


\begin{aligned}
{k_t}^{*}=\left(\displaystyle{\frac{s}{n+\delta}}\right)^{\frac{1}{1-\alpha}},\ {y_t}^{*}=\left(\displaystyle{\frac{s}{n+\delta}}\right)^{\frac{\alpha}{1-\alpha}}
\end{aligned}

が成り立つ。したがって資本減耗率\deltaが上昇した場合、1人当たり資本ストック{k_t}^{*}および1人当たりGDP{y_t}^{*}はいずれも減少する。

(b) 黄金律における1人当たり資本ストックを答えよ。

 定常状態における消費c^*


\begin{aligned}
c^{*}\left(k^{*}\right)=f(k^{*})-(n+\delta)k^{*}
\end{aligned}

であり、黄金律ではこれが最大になる。そのときのk^{*}=k_g^{*}とすれば


\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{\partial c^{*}\left(k_g^{*}\right)}{\partial k^{*}}}=&f^{\prime}(k_g^{*})-(n+\delta)=\alpha (k_g^{*})^{\alpha-1}-(n+\delta)=0\\
\therefore \ k_g^{*}=&\left(\displaystyle{\frac{\alpha}{n+\delta}}\right)^{\frac{1}{1-\alpha}}
\end{aligned}

(c) 黄金律を達成可能な貯蓄率s_gを求めよ。
 1人当たり資本ストックをsの関数k_t^*=k_t^* (s)と見たときに、黄金律が達成可能ならば、このときの貯蓄率をs=s_gとして


\begin{aligned}
k_t^{*}(s_g)=k_g^*
\end{aligned}

が成り立つ。したがって


\begin{aligned}
s_g=\alpha
\end{aligned}

(d) 貯蓄率がsからs^{\prime}まで上昇した場合、1人当たりGDP成長率はどのように変化するか。

貯蓄率がsからs^'にまで上昇したと仮定する。1人当たりGDP成長率g_t^k (s)は


\begin{aligned}
g_t^{k}(s)=\displaystyle{\frac{k_{t+1}-k_t}{k_t}}=\displaystyle{\frac{1}{1+n}}\{s k_t^{\alpha-1}-(n+\delta)\}
\end{aligned}

であり、このときにはg_t^y=g_t^kであるから短期的には


\begin{aligned}
\Delta g_t^{y}=g_t^{k}(s^{\prime})-g_t^k(s)=\displaystyle{\frac{k_t^{\alpha-1}}{1+n}}(s^{\prime}-s)
\end{aligned}

だけ上昇するものの、長期的にはg_t^y=0となる。

2. 技術進歩を考慮したソロー・モデル

 技術進歩を考慮したソロー・モデルとして生産関数を


\begin{aligned}
Y_t={K_t}^{\alpha}(A_t L_t )^{1-\alpha}
\end{aligned}

だと仮定する。このとき以下の問いに答えよ。
(a) 効率労働当たりの生産関数を求めよ。


\begin{aligned}
\tilde{k}_{t+1}-\tilde{k}_{t}=\displaystyle{\frac{s \tilde{k}_{t}^{\alpha}-(\delta+n+g^A+n g_A)\tilde{k}_{t}}{(1+g^A)(1+n)}}
\end{aligned}

(b) 定常状態における効率労働当たりの資本ストックとGDPを求めよ。
 定常状態では\tilde{k}_{t+1}=\tilde{k}_{t}が成り立つから


\begin{aligned}
\tilde{k}_{t}^{*} =&\left(\displaystyle{\frac{s}{\delta+n+g^{A}+n g_A }}\right)^{\frac{1}{1-\alpha}},\\
\tilde{y}_{t}^{*} =&\left(\displaystyle{\frac{s}{\delta+n+g^{A}+n g_A }}\right)^{\frac{\alpha}{1-\alpha}}
\end{aligned}

(c) 定常状態における1人当たりの資本ストックとGDPを求めよ。


\begin{aligned}
k_{t}^{*} =&A_t \left(\displaystyle{\frac{s}{\delta+n+g^{A}+n g_A }}\right)^{\frac{1}{1-\alpha}},\\
y_{t}^{*} =&A_t \left(\displaystyle{\frac{s}{\delta+n+g^{A}+n g_A }}\right)^{\frac{\alpha}{1-\alpha}}
\end{aligned}

(d) 定常状態における資本ストックとGDPを求めよ。


\begin{aligned}
K_{t}^{*} =&A_t L_t \left(\displaystyle{\frac{s}{\delta+n+g^{A}+n g_A }}\right)^{\frac{1}{1-\alpha}},\\
Y_{t}^{*} =&A_t L_t \left(\displaystyle{\frac{s}{\delta+n+g^{A}+n g_A }}\right)^{\frac{\alpha}{1-\alpha}}
\end{aligned}

(e) 技術進歩率がg^Aからg^{A\prime}へと上昇した場合、1人当たりGDPの成長率がどのように変化するか説明せよ。


\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{\tilde{k}_t^{\prime}}{\tilde{k}_t} }=s\tilde{k}^{\alpha-1}-(n+g^{A}+\delta+n g_A)
\end{aligned}

が成り立つ。したがって1人当たりGDP成長率は単調減少していく。

3. 政府部門を加えたソロー・モデル

 政府支出G_tが一括固定税、すなわち家計所得から一定額T_tが税金として徴収される税金のよってのみ賄われるものと仮定する。すなわちG_t=T_tとする。1人当たりの政府支出および租税をそれぞれg,\tauと表し一定だと仮定するとき、以下に答えよ。
(a)定常性条件

 定常状態を決定する条件


\begin{aligned}
s\cdot f(k^{*})=\left(n+\delta\right)k^{*}
\end{aligned}
がどのように変化するか答えよ。

 資本蓄積式およびY_t=F(K_t,L_t)+G_tから


\begin{aligned}
k_{t+1}(1+n)-k_t=&s(y_t-\tau)-\delta k_t\\
=&s(f(k_t)+g-\tau)-\delta k_t\\
\therefore\ k_{t+1}-k_t=&\displaystyle{\frac{s(f(k_t)+g-\tau)-(n+\delta) k_t}{1+n} }
\end{aligned}

 したがってg=\tauのとき


\begin{aligned}
s f(k_t)=(n+\delta)k_t
\end{aligned}

(b)一人当たり政府支出と資本蓄積の関係
 一人当たり政府支出の恒常的な増加が資本蓄積にどのような影響を与えるか説明せよ。

 G_t=T_tである場合、資本蓄積には影響を与えない。

4. 全要素生産性の成長率の計算

 ある国の実質GDPが10年間で50\%成長したと仮定する。この間に同国の資本ストックは50\%労働人口5\%成長した。労働分配率70\%であったとするならば、全要素生産性の成長率は何\%か。

 生産関数がCobb-Douglas型だと仮定する。g^Y=0.5, g^K=0.5, n=0.05, 1-\alpha=0.7を代入して


\begin{aligned}
\log Y_t=&\log B_t+\alpha\log K_t+(1-\alpha)\log L_t\\
\therefore \ g_t^Y=&g_t^B+\alpha g_t^K+(1-\alpha)n\\
\therefore \ g_t^Y=&0.5-0.3*0.5-0.7*0.05\\
\therefore \ g_t^Y=&0.315=31.5\%
\end{aligned}

*1:厳密には国民1人当たり実質GDPがそれに該当する。

*2:二神孝一・堀敬一(2017)「マクロ経済学 第2版」有斐閣 PP.200-201参照

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