今日のまとめ
- 連続関数における零点の存在を示す。
10. ベクトル解析
本節ではベクトル値写像を扱う。
10.4 Gaussの発散定理、Stokesの定理
10.4.6 Brouwerの不動点定理
における
の不動点定理を議論する。前回示した以下の定理
を連続関数に拡張する。
これを示すべく以下の補題をまずは示す。
(
を満たすような連続写像だとする。このときを
で定義する。ここで級関数
を
を満たすような関数として、を取って
とする。
まずは積分記号下で微分でき、帰納的に
が
級であることが確認できる。
次にを満たすように
を取ると、
であるから、
が成り立つ。
したがってとすれば、
であるから、が成り立つ。
更に、は
以外では
であるから、
上で一様連続である。したがって所与の
に対してある
が存在し
が成立する。このとき
に注意すれば、
であるから、となるように
を取ると、
が成立する。は任意であるから、
も成立する。したがってとすれば
が求めるものに他ならない。
)
以上の補題を用いて、当初示すつもりであった定理を示す。
( 背理法により示す。
および
を満たすようなが存在すると仮定する。この
を基に
級写像
を、
を満たすように取る。
は有界閉集合であるから、その像
も有界閉集合である。したがって
より、
が成立する。
の定義域を拡張し
を
で定義する。
このときは連続であり、
を満たしている。
とおき、
の各成分に補題を用いることで、
を満たすような級写像
が存在する。
ここでとおく。この写像は
級であり、更に
を満たす。
したがってに注意すれば
は、
を満たす。したがってとおけば、
は、
を満たすような級関数である。
一方で、既に示した命題はこのような級写像は存在しないことを主張している。したがって当初仮定した
および
を満たすようなは存在しない。以上から背理法により本定理は示された。
)