古典的名著
を基に「コンピュテーショナル・ファイナンス」を学んでいきます。
2. ツリーモデルによるオプションの評価
ツリーモデルを用いたデリバティブ評価の理論的背景と具体的なアルゴリズムを紹介する。
2.5 確率微分方程式を直接近似する方法
満期時点のペイオフをリスク中立確率を用いることで期待値を取り、リスクフリーレートで現在価値に割り引いて計算する。すなわち
を機械的に多項モデルで近似することを考える。
2.5.1 2項モデルの近似
確率微分方程式
を対数変換した後に2項モデルで近似することを考える。
であり、とおくと、であり、伊藤の公式から、
が成り立つ。
の上昇と下落について、その大きさが同じでそれをだとする。すなわち上昇幅は,下落幅はとする。これらについて上述のに関する確率微分方程式に整合的なようにを決める。まず平均が整合的になるようにすることを考えると
である。また分散も同様に考え
が成り立つ。したがって
(a)より
(b)より
である。
ここで二項モデルの安定性を考えると、まず分散における整合性から、
であり
が成り立つから、が成り立つ。
2.5.2 三項モデル
3状態への変動幅およびその状態の生起する確率をリスク中立な世界における対数変換した連続過程
に整合的になるように決定する。すなわち
を課す。4つ目の条件は2期間においてノードが再結合するための条件である、