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やりなおしの数学・線形代数篇(003/X)

 定番書

を基に線形代数を学び直していく。

今日のまとめ

  • 任意の(m,n)型行列A基本変形を何度か施すことによって次の標準形に変形できる:
    \begin{aligned}F_{m,n}(r)=\begin{bmatrix}I_{r}         &O_{n-r,r}\\O_{m-r,r}&O_{m-r,n-r}\end{bmatrix}=\begin{bmatrix}1&  &           &  &   &          \\  &1&           &  &   &          \\  &  &\ddots&  &   &          \\  &  &           &1&   &          \\  &  &           &  &0 &          \\   &  &           &  &   &\ddots\\\end{bmatrix}\end{aligned}
  • 標準形において1の並んだ数を行列Aの階数(ランク)という。
  • 行列A単位行列Iを並べた[A\ I]基本変形することにより、正則か否かの判断および正則ならば逆行列を求めることが出来る。これを掃き出し法という。

2. 行列と線形写像

2.3 行列の基本変形・階数

2.3.1 基本変形

 行列の持つある性質を保存しつつ、可能な限り簡単な形の行列に変形する「基本変形」を扱う。

(1) n単位行列の第i列と第j列とを交換したP_n(i,j)


\begin{aligned}
\begin{bmatrix}
1         &           &           & \vdots &           &           &           & \vdots &           &           &            \\
           & \ddots&           &\vdots &           &           &           & \vdots &           &           &            \\
           &           & 1        & \vdots &           &           &           & \vdots &           &           &            \\
\cdots & \cdots&\cdots & 0         &\cdots &\cdots &\cdots & 1          &\cdots & \cdots&\cdots \\
           &           &           & \vdots &1         &           &           & \vdots &           &           &            \\
           &           &           & \vdots &           & \ddots&           & \vdots &           &           &            \\
           &           &           & \vdots &           &           &1         & \vdots &           &           &            \\
\cdots & \cdots& \cdots&1          &\cdots & \cdots&\cdots&0           &\cdots & \cdots&\cdots \\
           &           &           & \vdots &           &           &           & \vdots &1         &           &            \\
           &           &           & \vdots &           &           &           & \vdots &           & \ddots&            \\
           &           &           & \vdots &           &           &           & \vdots &           &           &1          
\end{bmatrix}
\end{aligned}

 (m,n)型行列Aに対し、これを左から掛けるとAの第i行と第j行とが交換され、右から掛けるとAの第i列と第j列とが交換される。


(2) 単位行列(i,i)成分をc\neq0に変えたQ_n(i;c)


\begin{aligned}
\begin{bmatrix}
1         &           &           &\vdots &           &            &           \\
           &\ddots&           & \vdots&           &           &           \\
           &           &1         &\vdots &           &            &          \\
\cdots &\cdots &\cdots &c          &\cdots &\cdots &\cdots  \\
           &           &           &\vdots&1          &           &           \\
           &           &           &\vdots&            &\ddots&           \\
           &           &           &\vdots&            &           &1         \\
\end{bmatrix},\ c\neq0
\end{aligned}

 Aの左から掛けるとAの第i行がc倍され、Aの右から掛けるとAの第i列がc倍される。

(3) 単位行列(i,j)成分(i\neq j)をc\in\mathbb{R}に変えたもの


\begin{aligned}
\begin{bmatrix}
1         &           &           &           &\vdots  &           &           \\
           &\ddots &           &           &\vdots &           &           \\
\cdots &\cdots &1         &\cdots &c          &\cdots &\cdots \\
           &           &           &\ddots &\vdots &           &           \\
           &           &           &           &1          &           &           \\
           &           &           &           &\vdots  &\ddots&           \\
           &           &           &           &\vdots  &           &1         \\
\end{bmatrix},\ i\neq j
\end{aligned}

Aの左から掛けるとAの第i行に第j行のc倍が加わり、Aの右から掛けるとAの第j列に第i列のc倍が加わる。

以上の3種類を基本行列といい、これらを行列Aに掛けることを基本変形という。基本変形はすべて正則である。

(左 1) 2つの行を入れ替える。
(右 1) ある行に0でない数を掛ける。
(左 2) ある行に他のある行の定数倍を加える。
(右 2) 2つの列を入れ替える。
(左 3) ある列に0でない数を掛ける。
(右 3) ある列に他のある列の定数倍を加える。

 (m,n)型行列Aについてその(p,q)成分が0でないとき、

  1. まず第p行を(p,q)成分で割ることで(p,q)成分を1にする。
  2. 次にすべてのi\neq pに対して第i行から第p行の(i,q)成分倍を引く。

以上により第q列は第p行以外すべて0である。
これを(p,q)を要として左から第q列を掃き出すという。
 更に

  1. すべてのj\neq qに対して第j列から第q列の(p,j)成分倍を引く。

以上により第p行および第q列は(p,q)成分は1でそれ以外すべて0となる。

2.3.2 掃き出し法

 n次正方行列Aに対してXA=IまたはAX=Iとなるようなn次行列Xが存在するならばAは正則である。

\because nに関する数学的帰納法により証明する。
 まずn=1の場合は、A=a,\ a\neq0に対してA=a^{-1}とおけばXは確かにA逆行列(逆数)である。
 次にn=k\gt1において仮定が成り立つとする。A\neq Oであるから掃き出しにより


\begin{aligned}
B=\begin{bmatrix}
1                       &{}^{t}\boldsymbol{o}\\
\boldsymbol{o}&A_1
\end{bmatrix}
\end{aligned}

と変形できる。基本変形が正則であったことに注意すれば、これはある正則行列P,Qを用いて


\begin{aligned}
PAQ=B=\begin{bmatrix}
1                       &{}^{t}\boldsymbol{o}\\
\boldsymbol{o}&A_1
\end{bmatrix}
\end{aligned}

となることを意味する。
 P,Qは正則であるから、


\begin{aligned}
Q^{-1}XP^{-1}=\begin{bmatrix}
u                       &{}^{t}\boldsymbol{z}\\
\boldsymbol{y}&X_1
\end{bmatrix}
\end{aligned}

を考えることが出来る。ここでu\in\mathbb{R}{}^{t}\boldsymbol{z}{}^{t}\boldsymbol{o}\boldsymbol{y}\boldsymbol{o}、そしてX_1A_1に行および列の数が一致するものとする。
 仮定から


\begin{aligned}
\begin{bmatrix}
1                       &{}^{t}\boldsymbol{o}\\
\boldsymbol{o}&I_{n-1}
\end{bmatrix}
=\begin{bmatrix}
u                       &{}^{t}\boldsymbol{z}\\
\boldsymbol{y}&X_1
\end{bmatrix}\begin{bmatrix}
1                       &{}^{t}\boldsymbol{o}\\
\boldsymbol{o}&A_{1}
\end{bmatrix}=\begin{bmatrix}
u                       &{}^{t}\boldsymbol{z}A_1\\
\boldsymbol{y}&X_1A_1
\end{bmatrix}
\end{aligned}

が成り立つから、


\begin{aligned}
X_1A_1=I_{n-1}
\end{aligned}

である。帰納法の仮定からA_1は正則である。したがって


\begin{aligned}
B=\begin{bmatrix}
1                       &{}^{t}\boldsymbol{o}\\
\boldsymbol{o}&A_1
\end{bmatrix}
\end{aligned}

も正則である。A=P^{-1}BQ^{-1}であるからAも正則である。 \blacksquare

2.3.3 階数の導入

 前節を応用すると、以下が成り立つことを示すことができる。

 任意の(m,n)型行列A基本変形を何度か施すことによって次の標準形に変形できる:


\begin{aligned}
F_{m,n}(r)=\begin{bmatrix}
I_{r}         &O_{n-r,r}\\
O_{m-r,r}&O_{m-r,n-r}
\end{bmatrix}=\begin{bmatrix}
1&  &           &  &   &          \\
  &1&           &  &   &          \\
  &  &\ddots&  &   &          \\
  &  &           &1&   &          \\
  &  &           &  &0 &          \\ 
  &  &           &  &   &\ddots\\
\end{bmatrix}
\end{aligned}

ここでrは最後の対角成分上に並ぶ1の数であり、これは基本変形の仕方に依らずAによってのみ決まる。

\because A=Oならばr=0と考えればA自身がF_{m,n}(0)である。
 次にA\neq Oを考える。基本変形により任意の成分の位置は任意の位置に移動できるから、(1,1)成分が0でない場合を考えても一般性を失わない。そこで(1,1)成分を要に左右から第1列および第1行を掃き出すことで


\begin{aligned}
F_{m,n}(r)=\begin{bmatrix}
I_{r}         &O_{n-r,r}\\
O_{m-r,r}&O_{m-r,n-r}
\end{bmatrix}=\begin{bmatrix}
1         &0&\cdots&0\\
0         &  &           & \\
\vdots&   &*         & \\
0         &  &           & 
\end{bmatrix}
\end{aligned}

という形態に変形できる。
 もし第1行および第1列以外のすべての成分が0であれば、これは標準形F_{m,n}(1)に他ならない。そうでなければ、それを(2,2)成分に移動させ、同様に(2,2)成分を要に左右から第2列および第2行を掃き出す。
 同様の操作を高々\max(m-1,n-1)回繰り返すことで


\begin{aligned}
F_{m,n}(r)=\begin{bmatrix}
I_{r}         &O_{n-r,r}\\
O_{m-r,r}&O_{m-r,n-r}
\end{bmatrix}=\begin{bmatrix}
1&  &           &  &   &          \\
  &1&           &  &   &          \\
  &  &\ddots&  &   &          \\
  &  &           &1&   &          \\
  &  &           &  &0 &          \\ 
  &  &           &  &   &\ddots\\
\end{bmatrix}
\end{aligned}

を得ることが出来る。
 次にAが2通りの標準形F(r)=F_{m,n}(r), F(s)=F_{m,n}(s)と書かれるとする。このとき一般性を失うことなくr\leq sとしてよい。
 基本変形の可逆性から、m次正方行列Pおよびn次正方行列Qを用いて


\begin{aligned}
F(s)=PF(r)Q
\end{aligned}

と表される。このP,Qの行および列r番目で区切り4つに対称に区分けして


\begin{aligned}
P=\begin{bmatrix}
P_{11} &P_{12}\\
P_{21} &P_{22}
\end{bmatrix},\ Q=\begin{bmatrix}
Q_{11} &Q_{12}\\
Q_{21} &Q_{22}
\end{bmatrix}
\end{aligned}

とおく。このとき


\begin{aligned}
&\ F(s)=PF(r)Q
\Leftrightarrow\ F(s)=\begin{bmatrix}
P_{11} &P_{12}\\
P_{21} &P_{22}
\end{bmatrix}\begin{bmatrix}
I_{r} &O\\
O    &O
\end{bmatrix}\begin{bmatrix}
Q_{11} &Q_{12}\\
Q_{21} &Q_{22}
\end{bmatrix}=\begin{bmatrix}
P_{11}Q_{11} &P_{12}Q_{12}\\
P_{21}Q_{11} &P_{22}Q_{12}
\end{bmatrix}
\end{aligned}
である。r\leq sの仮定から

\begin{aligned}
P_{11}Q_{11}&=I_{r},\\
P_{11}Q_{12}&=O_{r,n-r},\\
P_{21}Q_{11}&=O_{m-r,r}
\end{aligned}
が得られる。P_{11},Q_{11}は共に正則であるから、

\begin{aligned}
Q_{12}&=O_{r,n-r},\\
P_{21}&=O_{m-r,r}
\end{aligned}

である。したがってP_{21}Q_{12}=O_{m-r,n-r}であり、これはr=sを意味する。 \blacksquare


以上の操作により得られたrを階数(rank)という。

2.3.4 階数の重要な性質

n次正方行列Aが正則であるためにはその階数がnに等しいことが必要十分である。

\because 正則な正方行列P,Qに対してPAQ=F(r)と仮定する。このとき、Aが正則ならばPAQも正則であるから、r=nである。
 逆にr=nならばF(r)=Iであるから、A=P^{-1}Q^{-1}が成り立つ。したがってAが正則である。 \blacksquare

n次正方行列Aが正則ならば、基本変形のみによってA単位行列に変形することが出来る。また逆も成り立つ。

\because Aが正則ならば、前に示した定理から、PAQ=Iが成り立つ。ここでP,Qは基本行列の積である。同式において左からQ, 右からQ^{-1}を掛けることでQPA=Iが成り立ち、QPも基本行列の積であることから、Aは正則である。 \blacksquare

2.3.5 掃き出し法の実例

 行列


\begin{aligned}
\ A=\begin{bmatrix}
\ 1&  3&  2\\
\ 2&  6&  3\\
\ -2&-5&-2
\end{bmatrix}
\end{aligned}

逆行列があれば、それを求めよ。

 第1行の(-2)倍を第2行に、第1行の2倍を第3行に加えることで


\begin{aligned}
\left[A E\right]=\begin{bmatrix}
\  1&  3&  2 &1&0&0\\
\  2&  6&  3 &0&1&0\\
\ -2&-5&-2 &0 &0&1
\end{bmatrix}\rightarrow\begin{bmatrix}
 1&  3&  2&  1&0&0\\
 0&  0& -1&-2&1&0\\
 0&  1&  2&  2&0&1 
\end{bmatrix}\cdots(*)
\end{aligned}

さらに第2行を(-1)倍した後に第3行と入れ替えることで


\begin{aligned}
(*)\rightarrow\begin{bmatrix}
 1&  3&  2&  1&0&0\\
 0&  0& -1&-2&1&0\\
 0&  1&  2&  2&0&1 
\end{bmatrix}\rightarrow
\begin{bmatrix}
 1&  3&  2&  1&0&0\\
 0&  1&  2&  2&0&1\\ 
 0&  0&  1&2&-1&0
\end{bmatrix}\cdots(**)
\end{aligned}

となり、第3行の(-2)倍を第1行および第2行に加えることで


\begin{aligned}
(**)\rightarrow\begin{bmatrix}
 1&  3&  2&1&0&0\\
 0&  1&  2&2&0&1\\ 
 0&  0&  1&2&-1&0
\end{bmatrix}\rightarrow\begin{bmatrix}
 1&  3&  0& -3&2&0\\
 0&  1&  0& -2&2&1\\ 
 0&  0&  1&  2&-1&0
\end{bmatrix}\cdots (***)
\end{aligned}

となる。最後に第2行の(-3)倍を第1行に加えることで


\begin{aligned}
(***)\rightarrow\begin{bmatrix}
 1&  3&  0& -3&2&0\\
 0&  1&  0& -2&2&1\\ 
 0&  0&  1&  2&-1&0
\end{bmatrix}\rightarrow\begin{bmatrix}
 1&  0&  0&  3&-4&-3\\
 0&  1&  0& -2& 2& 1\\ 
 0&  0&  1&  2&-1& 0
\end{bmatrix}
\end{aligned}

以上から、Aは正則であり、


\begin{aligned}
A^{-1}=\begin{bmatrix}
\ -3& 2&0\\
\ -2& 2&1\\ 
\  2&-1&0
\end{bmatrix}
\end{aligned}

である。

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