業務でC#を用いることになったので、最近勉強していなくて朧気になってきた知識をReviseする意味でも、以下の書籍を読みながらC#で実装してみる。今回はP.232-235まで。
最後となる本章では、デリバティブの価格付け理論を取り扱う。価格付け理論の根本原理は「同一のキャッシュフローを生成する金融資産の現在価値は等しい」という一物一価の法則である。これを正当化するために、更に
コスト無しに無リスクで利益を上げられる投資機会を裁定機会という。
という概念を定義した上で、無裁定であることを仮定する。
8.8 有限差分法
偏微分方程式の数値的解法の1つとして有限差分法を述べる。名前の通り、偏微分方程式を差分方程式に近似する方法である。
偏微分の定義から
であるから、
が成り立つ。また前方差分、後方差分、中心差分
を適宜使い分ける。更に2次偏微分は対称性がより望ましいことから
時間間隔を等分して
証券価格も同様に、ただし本来であればであるものを計算上、を考え、これを等分して
と定義する。このように
と状態空間を個のグリッドからなる空間に離散化・近似する。以上が有限差分法という差分化法である。
8.8.1 陽的有限差分法
これまでの考え方を具体的に応用することを考えて、に関する1次偏微分、に関する2次偏微分は中心差分、に関する1次偏微分は後方差分を用いることで
である。これらを
に代入することで
が得られる。なお初期条件は
で与えられる。これを基に、初期条件からを計算した後、順次に関して後方からを求める。このように未知の変数が既知の値
で陽に定まることから陽的有限差分法という。