「大人の教養・知識・気付き」を伸ばすブログ

一流の大人(ビジネスマン、政治家、リーダー…)として知っておきたい、教養・社会動向を意外なところから取り上げ学ぶことで“気付く力”を伸ばすブログです。データ分析・語学に力点を置いています。 →現在、コンサルタントの雛になるべく、少しずつ勉強中です(※2024年1月21日改訂)。

MENU

年金資産運用(その08/11)

 中長期における資産運用の考え方を学ぶべく、

を整理していく*1

5. 各資産クラスの運用手法

5.5 オルタナティブ投資

5.5.1 オルタナティブ投資の特徴

 伝統的資産には無い高いリターンを追求する目的に加え、分散投資が図れるという理由で、オルタナティブ投資を行なう年金基金が増えている。ただし様々な留意点も存在する。
 オルタナティブ資産は、①ヘッジファンド、②プライベート・エクイティ、③不動産証券化商品の3つに大別できる。


ヘッジ

ファンド
グローバル・

マクロ
・大きな市場リスクを取り、高収益を狙う

・世界各国の為替、債券、株式へ投資
  マネージド・

フューチャー
・商品先物や金融先物等による短期売買
  マーケット・

ニュートラ
・類似商品の内、割安を買い、割高を売却

・市場リスクを取らずに適正価格の歪みを利用
  エマージング 新興市場の資産に投資
  イベント・

ドリブン
・成功が予想される企業買収について、被買収企業を買い、買収企業を売ることで両者株価の収斂を利用

・破産した会社に長期投資(ディストレスト証券)

・リストラ、子会社や事業部門の独立など企業の重要イベントに注目
  エクイティ・

ヘッジ
・特定の業種に集中投資

・割安銘柄を買い、割高銘柄を売る

・過大評価された銘柄を空売り
プライベート

エクイティ
ベンチャー・キャピタル 潜在的高成長が見込めるベンチャー企業に投資
  企業買収 ・成熟企業を買収し、経営参画することで企業価値を向上させた後で売却して収益を上げる
不動産

投資
現物投資 ・現物の物件に投資し、値上がり益と賃料収入を狙う
  証券化商品 REITMBS、CMBS等への投資
天然

資源
石油・天然ガス ・油田やガス田の開発事業や採掘検討への投資
  森林資源 森林伐採によるインカム・ゲインと、土地の値上がり益を狙う長期投資。

・温暖化ガス排出権の売買


 年金基金オルタナティブ投資を行う利点は、

  • 新たな収益機会を追求できること
  • 分散投資効果によるリスク現象が期待できること

である。
 一方で伝統的資産と比較した際の問題点は、

  • 通常、流動性の低い資産へ投資するため、解約が制限される
  • 未公開企業など正確な時価評価が困難な資産へ投資したり、運用戦略上、情報を公表したくなかったりする者が多いため、ディスクロージャーは限定的である。
  • 多くの投資でファンド・マネージャーの運用スキルのみが収益の源泉になるため、投資家にファンド・マネージャーの投資哲学や運用手法を理解して、判断し得るだけのスキルが必要になる。
5.5.2 ヘッジファンド

 ヘッジファンドの投資は、伝統資産のリターンが低収益であるために組み入れを増やす年金基金が増えてきている。しかしその投資方法はヘッジファンドの種類や業者によって極めて多種多様であるため、事前の周到な準備無しに投資を開始すると巨額損失を被るリスクがある。

  • 既存のファンド投資

     ヘッジファンドはどこの国に所在するかなどによって投資形態が異なる。
  • ファンド・オブ・ファンズ投資

     複数のヘッジファンドを組み合わせたポートフォリオの運用がファンド・オブ・ファンズで、ゲート・キーパーに運用の大部分を任せることができるために手間が省け、少額で購入できるメリットがある一方で、ゲート・キーパーへの報酬支払いが追加的に必要になる。
  • ファンドの特別勘定を作る

     投資家が自ら の資産を法律上、投資家個人の資産と見なされる特別勘定に入れて、ヘッジファンド・マネージャーに自由裁量で運用してもらう。投資家は自身のコミットメントを高めることができ運用の透明性を向上させられる一方で、ファンド・マネージャーには手間が掛かるために手数料が高く、また最低投資金額が巨額でないといけないというデメリットがある。
  • ヘッジファンドの新型証券に投資

     ファンドの分散効果が期待でき、小口投資が可能であり発行者にとっても資金調達の幅が広がるメリットがある一方で、仕組みが複雑で各ファンドの状況が分かりにくい。
5.5.3 プライベート・エクイティ

 未公開企業を対象とした投資の総称である。プライベート・エクイティの市場規模は株式や債券市場に比べれば小さく流動性が低く非効率ではあるものの、ハイリターンを望めるという利点がある。

5.6 コーポレート・ガバナンス

 機関投資家による議決権行使は本格化している。


機関投資家の行動モデル

 議決権を効率的・効果的な形で行使するための具体的方策は確立されていない。議決権行使の問題を整理すると、

  • 情報収集・分析コストが大きい。何らかの方法で対象銘柄を絞り込み限定せざるを得ない。
  • コストを掛けてもそれに見合う便益を期待できない。そのため発言行使に掛けるコストには上限を設けた方が良い。
  • ガバナンスの状態を評価する際の整合性の確保や恣意性の排除が難しい。

 1次スクリーニングでは、不祥事の有無や業績動向、配当性向などを用いることが多い様子である*2

*1:どうも最近の書籍でこれくらいしっかりと書いてある本が見当たらなかったので…

*2:執筆当時

プライバシーポリシー お問い合わせ