今日のまとめ
- 陰関数定理を示す。
11. 陰関数定理と逆写像定理
11.3 陰関数定理
開集合および級関数に対して、において
が成立すると仮定する。このとき陰関数定理を証明する。
陰関数定理 を空でない開集合、またを級関数とする。が
を満たすならば、が存在して以下が成り立つ。
- 。このときと書くと、を満たすようなはの中でグラフの形にかけ、特にが成り立つ。
- は級であり、が成り立つ。
- がならばも級である。
実際、との連続性から、はの小さな近傍において正であるから、その近傍に]が含まれるようにを十分に小さく選べば
が成り立つ。次にによりはにおいて狭義単調増加であるから、を踏まえると
を得る。の連続性から、ないしの近傍では正ないし負であるから、を小さく取れば
が得られる。したがってをに置き換えればよい。
次に各に対してを満たすようなが一意に存在することを示す。前段におけるの選び方から、各に対して関数は狭義単調増加であり、においてこの関数は正で、では負である。したがって中間値の定理から、を満たすようなが一意に存在する。
前段で存在を示したをとするとき、は連続であることを示す。これを示すには、
を示せばよい。を
を満たすように取る。このときにより
が成り立つことに注意する。最初の議論を繰り返すことで
を満たすようなを選ぶことができる。したがって各に対してを満たすようなが存在し、このはに他ならないから示すべき命題は正しく、は連続である。
更に写像が級であることを示す。とし、
とおく。であるから平均値の定理を用いることで
が成り立つ。ここで
に注意すると
を得る。であることおよび前段で示した連続性より、が従うことに注意すれば、
が成立することが分かる。これはがで微分可能であり
が成立することを意味する。は任意でありの連続性から上式の右辺の連続性も得られるからも連続である。したがっては級である。
最後にを級とすればも級であることを示す。まずを級だと仮定する。前段で示した命題から、は級であるから
の右辺は級である。したがっては級である。がのときも同様の議論を繰り返せばよい。
以上より、陰関数定理は示された。 )