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長期投資の理論と実践(16/X)

 投資理論を以下の書籍

をベースに学ぶこととする。

今回のまとめ

  • 異なる状態間における消費の変動性と異なる時点間における消費の変動性を分離すべく、異なる状態間に関するリスク選好を確実性等価を用いて表現する。
  • 1つの方法は、生涯効用を
    \begin{aligned}U_0=E_0\left[U(C_0,\tilde{C}_1)\right]=u_0(C_0)+\delta u_1(v^{-1}(E_0[v(\tilde{C}_1)]))\end{aligned}
    で与える\mathrm{Kreps}=\mathrm{Porteus}効用で表現するものである。
  • 異なる状態に対するリスク回避を効用関数v(\cdot)の凹性で表現され、異なる時点間のリスク回避はu_0,u_1の凹性により表現される。

9. ライフサイクルとパーソナル・ファイナンス

9.6 2種類のリスクの分離

 異なる状態間における消費の変動性と異なる時点間における消費の変動性を分離すべく、異なる状態間に関するリスク選好を確実性等価を用いて表現する。まずは2期間のみのモデルを考える。

9.6.1 異なる状態間のリスク選好と確実性等価

 時点0において現在消費は定数であるものの、第1期の消費は確率変数だとする。第0期および第1期の消費をそれぞれC_0,\tilde{C}_1とする。将来消費の不確実性に関する、異なる状態間のリスク回避について確実性等価を利用して表現し、生涯効用を以下で与える:


\begin{aligned}
U_0=E_0\left[U(C_0,\tilde{C}_1)\right]=u_0(C_0)+\delta u_1(v^{-1}(E_0[v(\tilde{C}_1)]))
\end{aligned}

ここでu_0(\cdot),u_1(\cdot)はそれぞれ現在と将来の異なる2つの時点における消費がもたらす1期間効用を表す効用関数である。またv(\cdot)は将来消費の異なる状態間の選好を表す効用関数で、u_0(\cdot),u_1(\cdot),v(\cdot)はすべて単調増加凹関数である。これは\mathrm{Kreps}=\mathrm{Porteus}効用として知られる。u_1における逆関数v^{-1}(\cdot)は将来消費の効用関数v(\cdot)の下での確実性等価である。
 将来消費の確実等価\mathrm{CE}_0[\tilde{C}_1]は、\mu_C=E_0[\tilde{C}_1]よりも小さな値になるはずで、この差額をリスク・プレミアムという。効用関数v(\cdot)の凹度を強めるほど、確実性等価が小さくなると考えられる。
 この定式化は、異なる状態に対するリスク回避を効用関数v(\cdot)の凹性で表現され、効用関数vの凹性はリスク回避度が大きいほど顕著になり、期待効用水準が低下する結果、それと同じ確実な効用水準をもたらす消費水準、すなわち確実性等価は小さくなる。一方で異なる時点間のリスク回避はu_0,u_1の凹性により表現される。こうして2種類のリスクを独立に表現できる。

9.6.2 再帰的効用関数と期待効用

 上述した再帰的効用関数は期待効用の概念とは基本的に異なる概念である。
 簡単のため、将来の世の中の状態が全部で2つの場合を考え、将来消費の確率分布を


\begin{aligned}
\tilde{C}_1=\begin{cases}
C_{1,1},&p_1,\\
C_{1,2},&p_2=1-p_1
\end{cases}
\end{aligned}

とおく。このとき時点0における第1期の消費\tilde{C}_1の期待値は


\begin{aligned}
E_0[\tilde{C}_1]=p_1 C_{1,1}+p_2 C_{1,2}
\end{aligned}

で与えられる。将来消費に対するリスク・プレミアムを\Pi\gt0とすれば確実性等価は


\begin{aligned}
\mathrm{CE}_0(\tilde{C}_1)=E_0[\tilde{C}_1]-\Pi=p_1 C_{1,1}+p_2 C_{1,2}-\Pi
\end{aligned}

で与えられる。したがって生涯効用は、


\begin{aligned}
E_0\left[U(C_0,\tilde{C}_1)\right]&=u_0(C_0)+\delta u_1(\mathrm{CE}_0[\tilde{C}_1])\\
&=u_0(C_0)+\delta u_1(p_1 C_{1,1}+p_2 C_{1,2}-\Pi)
\end{aligned}

と表現できる。最右辺の第2項を見ることで、生起確率は効用関数u_1の内部で消費の期待値を計算するのに用いられており、この意味で期待効用関数とは異なるものだと言える。こうしてこの\mathrm{Kreps}=\mathrm{Porteus}効用関数は非期待効用モデルと呼ばれる。
 とはいえv=u_1とすれば期待効用に帰着することができ、また関数形を適切に選択することで、一方のリスクのみにたいして中立的な効用関数を表現することもできる。

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