投資理論を以下の書籍
をベースに学ぶこととする。
今回のまとめ
- 将来の無限期間まで先の消費流列に対して定義された-効用を考える。
- 前提として、現在時点をおよびその後の消費系列をとし、投資家は無限に生存すると仮定する。そのため消費系列も無限に続くと考えられ、それらが現在もたらす効用水準をとおく。
- また異なる状態間に対する選好を表す効用関数を冪型のとしてと仮定する。
- このとき生涯効用を現在の消費と将来の消費がもたらす効用水準の確実性等価の関数(集計関数)で表すとき、生涯効用は集計関数のパラメータおよび相対リスク回避度を間接的に表すパラメータ[\alpha]の値に応じて4つのパターンが生じ得る。
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9. ライフサイクルとパーソナル・ファイナンス
9.7 Epstein-Zinの効用関数
が提案した再帰的効用関数は、-効用と呼ばれている。
9.7.2 無限期間の場合
将来の無限期間まで先の消費流列に対して定義された-効用を扱う。現在時点をとして、現在およびその後の消費系列をとし、投資家は無限に生存すると仮定する。そのため消費系列も無限に続くと考えられ、それらが現在もたらす効用水準を
とおく。将来の消費系列が確率変数であるため、(基本的に)効用水準は確率変数である。または時点までの情報を用いた条件付き期待値である。なお効用関数には加法性を仮定していない。
次に時点における効用水準はと書ける。この効用を1時点前の時点における確実性等価をとおく。ここでは時点に利用可能な情報を用いて翌期将来の効用水準を確実性等価に対応させる演算子とする。
さらに現時点で計算される生涯効用が、現在消費とすべての将来消費がもたらす効用の確実性等価とを変数とするある関数で表現できるとして
と与えることとする。関数は集計関数と呼ぶ。
が導入した集計関数の具体形は
として導入している。しかし同論文においての場合を
としている。しかしこれではが不連続点になると共に-効用が対数型期待効用関数を包含しなくなる。恐らくこれは誤植だと考えられる。
代わりに
の極限という形での場合の集計関数を導出する。まず
と変形して、指数関数の内部の極限を考えると、'の定理から
である。したがって
であり、まとめて集計関数は
であるべきだと考え、以下これを前提として議論を進める。
次に確実性等価を考える。異なる状態間に対する選好を表す効用関数を冪型のとして
と仮定する。このとき相対リスク回避度は
で与えられる。とおけば、でであるからを満たす。
将来効用の確実性等価は、その定義から
の解であるから、これを解くと、
を得る。
ここでの場合を考える。'の定理を効用関数に適用すると、
が得られる。このときの確実性等価は
で得られる。
以上から、集計関数は
で、確実性等価は
で与えられる。そしての値に応じて4つのパターンが生じ得る。
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