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統計学のための線形代数(027/X)

 統計学に習熟するには線形代数の習得が不可欠である。が、初等的な線形代数ではカバーしきれないような分野も存在する。そこで以下の参考書

を基により高等な線形代数を学ぶ。

4. 行列の因数分解と行列ノルム

4.8 行列ノルム

 行列の大きさおよび2つの行列の近さを測りたい場合に行列ノルムを用いる。



行列ノルムの定義 m次正方行列Aに対して定義される関数\|A\|は、すべてのm次正方行列A,Bに対して

  • \|A\|\geq0
  • A=O\Leftrightarrow\|A\|=0
  • {}^{\forall}c\in\mathbb{C}(\|cA\|=|c|\|A\|)
  • \|A+B\|\leq\|A\|+\|B\|
  • \|AB\|\leq\|A\|\|B\|

を満たすとき、行列ノルムという。

例:\mathrm{Euclid}ノルム
 行列A=(a_{ij})_{1\leq i\leq m,1\leq j\leq m}に対して定義される


\begin{aligned}
\|A\|_E:=\left(\displaystyle{\sum_{i=1}^{m}\sum_{j=1}^{m}|a_{ij}|^2 }\right)^{\frac{1}{2}}
\end{aligned}

は行列ノルムである。
 実際、絶対値の二乗が非負であるから明らかに\|A\|\geq0である。A=Oならば明らかに\|A\|=0であり、また絶対値の二乗が非負であるから\|A\|=0ならば任意のi,jに対してa_{ij}=0である。さらに{}^{\forall}c\in\mathbb{C}に対して



\begin{aligned}
\ |ca_{ij}|^2=|c|^2|a_{ij}|^2
\end{aligned}


であるから、


\begin{aligned}
\|cA\|_E&=\left(\displaystyle{\sum_{i=1}^{m}\sum_{j=1}^{m}|ca_{ij}|^2 }\right)^{\frac{1}{2}}\\
&=\left(\displaystyle{\sum_{i=1}^{m}\sum_{j=1}^{m}|c|^2|a_{ij}|^2 }\right)^{\frac{1}{2}}\\
&=|c|\left(\displaystyle{\sum_{i=1}^{m}\sum_{j=1}^{m}|a_{ij}|^2 }\right)^{\frac{1}{2}}\\
&=|c|\|A\|
\end{aligned}

が成り立つ。
 さらに3つ目の不等式は


\begin{aligned}
\sqrt{\displaystyle{\sum_{i=1}^{m}\sum_{j=1}^{m}a_{ij}^2}}+\sqrt{\displaystyle{\sum_{i=1}^{m}\sum_{j=1}^{m}b_{ij}^2}}\geq\sqrt{\displaystyle{\sum_{i=1}^{m}\sum_{j=1}^{m}(a_{ij}+b_{ij})^2}}
\end{aligned}


を示せばよく、\mathrm{Cauchy}-\mathrm{Schwartz}の不等式から



\begin{aligned}
\sqrt{\displaystyle{\sum_{i=1}^{m}\sum_{j=1}^{m}a_{ij}^2}}\sqrt{\displaystyle{\sum_{i=1}^{m}\sum_{j=1}^{m}b_{ij}^2}}\geq\displaystyle{\sum_{i=1}^{m}\sum_{j=1}^{m}a_{ij}b_{ij}}
\end{aligned}


が得られ、示すべき式の右辺の二乗にこれを適用した後に両辺の平方根を取ることで導くことができる。またこれは4つ目の不等式も示したことになる。



対角化の行列ノルム m次正方行列に対して定義された任意の行列ノルム\|\cdot\|に対して、正則なm次正方行列Cを用いて定義される


\begin{aligned}
\|A\|_C=\|C^{-1}AC\|
\end{aligned}

もまた行列ノルムである。

(\because 関数


\begin{aligned}
\|A\|_C=\|C^{-1}AC\|
\end{aligned}

が行列ノルムであることを定義に従って示す。まず\|\cdot\|が行列ノルムであるから、\|A\|_Cも非負である。
 また


\begin{aligned}
\|A\|_C=\|C^{-1}AC\|=0
\end{aligned}

は、\|\cdot\|が行列ノルムであることから、C^{-1}AC=Oと同値であり、Cが正則であることからCを左から掛けた後にC^{-1}を右から掛けることで、A=Oと同値である。
 さらに


\begin{aligned}
\|A+B\|_C&=\|C^{-1}(A+B)C\|\\
&\leq\|C^{-1}AC\|+\|C^{-1}BC\|\\
&=\|A\|_C+\|B\|_C
\end{aligned}

が成り立つ。そして



\begin{aligned}
\|AB\|_C&=\|C^{-1}(AB)C\|=\|(C^{-1}AC)(C^{-1}BC)\|\\
&\leq \|C^{-1}AC\|\|C^{-1}BC\|\\
&=\|A\|_C\|B\|_C
\end{aligned}


が成り立つ。 \blacksquare)



スペクトル半径 m次正方行列A固有値\lambda_1,\cdots,\lambda_mとする。このとき


\begin{aligned}
\rho(A)=\displaystyle{\max_{1\leq i\leq m}|\lambda_i|}
\end{aligned}

Aのスペクトル半径という。

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