国際金融を
を基に学んでいく。
前回
4. 為替レートと外国為替市場
複数の開放経済を議論すべく、外国為替の存在を許容し、為替レートや外国為替市場について議論する。
4.1 貨幣と名目為替レート
異なる通貨単位で測られた価格を同一通貨表示に換算すべく、通貨間の相対的な価値関係を測るのが名目為替レートを導入する。名目為替レートはある通貨単位で測った別の通貨の価格(交換比率)である。
4.1.1 増価と減価
1つの通貨が別の通貨に対して相対的に価値を増やすことを増価、価値を減らすことを減価という。
例:米ドルと日本円の増価・減価
米ドルと日本円の関係を考え、現在、1ドル100円だとする。これが1ドル120円になった場合、米ドル1ドルで交換できる日本円が増えていることから、米ドルは日本円に対して増価している。これに対して日本円1単位で購入できる米ドルは減っているから、日本円は米ドルに対して減価した。
4.1.2 名目為替レートと国際金融
自国通貨建資金が一旦外国通貨に交換されて投資されると、名目為替レートの変化は外国通貨建資産の自国通貨換算での価値の変化を意味する。
例:米ドル建資産と円建資産
米ドルが円に対して減価すれば円換算での米ドル建資産の価値は減少し、逆に米ドルが円に対して増価すれば円換算での米ドル建資産の価値は増大する。
外国へ投資した場合、そのキャピタル・ゲインやインカム・ゲインも外国通貨建てある。そのため得たリターンを自国通貨建に戻すことになる。このとき投資時点では投資で得たリターンに適用する名目為替レートは未知であるため、投資に当たっては名目為替レートの予想値に基づいて行うことになる。このため名目為替レートの水準やその変動、あるいは将来の予想値が国際金融取引に大きな影響を及ぼす。
4.2 相対価格と実質為替レート
4.2.1 財の国際相対価格
異なる通貨を法定通貨とする国と国において同一商品の価格を一方の通貨で表示すれば、その商品の価値の差異を分析できる。
すなわちある商品がででであるとし、またの通貨1単位あたりのの通貨がだとするとき、の価値に統一したとき
をので測った相対価格と呼ぶ。
4.2.2 実質為替レート
相対価格を一般化し物価水準を用いれば、
と二国間の相対物価が得られる。これを実質為替レートという。
4.3 実効為替レート
特定の外貨だけでなく湯用取引相手国の通貨全般に対する自国通貨の総合的な価値を把握すべく、自国通貨と主要取引相手国の各通貨との二通貨間の為替レートを指数化し、それらの加重平均として算出される実効為替レートを扱う。
種類の外国通貨に対する時点における自国通貨の名目為替レートを外国通貨に与えられた第期の比重をとおくと、第1期を基準とした幾何加重平均による自国通貨の名目実効為替レート()は
で与えられる。
まったく同様に実質実効為替レートも
で定義できる。
4.4 スポットレートとフォワードレート
名目為替レートのうち、2つの通貨がその場で直ちに交換される場合*1のレートをスポットレート(ないし直物(じきもの)レート)という。
これに対して将来の指定された期日に受け渡されるように予め契約を結ぶものを先渡取引(フォワード取引)といい、フォワード取引に適用される名目通貨レートをフォワードレートという。
時点において時点における外国為替取引を考えることにする。時点におけるスポットレートをとし、期に契約した期に実行予定であるフォワードレートをとする。このときスポットレートとフォワードレートの差を直先スプレッドという。
直先スプレッドが正のときをフォワード・ディスカウントが存在するといい、負のときフォワード・プレミアムが存在するという。
*1:実務上は決済までに若干のラグがある。