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時系列解析の基礎(12/XX)

 以下の書籍

を中心に時系列解析を勉強していきます。

7. 見せかけの回帰と共和分

 今回は、単位根が重要な役割を果たす見せかけの回帰共和分を議論する。
 見せかけの回帰は無関係の単位根過程の間にまるで有意な関係が存在するかのように見える現象であり単位根過程を用いた分析において注意しなければならないもので、共和分は単位根過程を用いて変数間の均衡関係を記述する手段である。

7.1 見せかけの回帰

 2つの独立なランダムウォーク


\begin{aligned}
x_t&=x_{t-1}+\varepsilon_{1t},\ \varepsilon_{1t}\sim i.i.d. (0,\sigma_1^2),\\
y_t&=y_{t-1}+\varepsilon_{2t},\ \varepsilon_{2t}\sim i.i.d. (0,\sigma_2^2)
\end{aligned}

を考える。このとき回帰モデル


\begin{aligned}
y_t=\alpha+\beta x_t+\varepsilon_t
\end{aligned}

は、これらが独立なランダムウォークであることから、真の\beta=0である。したがって\betaの推定値に対して\beta=0に関する仮説検定を行えば、\beta=0が採択される確率が高いはずである。しかし


\begin{aligned}
\begin{bmatrix}
T^{-\frac{1}{2}}\hat{\alpha}\\
\hat{\beta}
\end{bmatrix}\stackrel{L}{\longrightarrow }
\begin{bmatrix}
\sigma_1h_1\\
\displaystyle{\frac{\sigma_1}{\sigma_2}}h_2
\end{bmatrix}
\end{aligned}

となることが知られている。ここでW_1(\cdots),W_2(\cdots)を独立な\mathrm{Brown}運動として


\begin{aligned}
\begin{bmatrix}
h_1\\
h_2
\end{bmatrix}=
\begin{bmatrix}
1&\displaystyle{\int W_2(r) dr}\\
\displaystyle{\int W_2(r) dr}&\displaystyle{\int W_2^2(r) dr}\\
\end{bmatrix}^{-1}
\begin{bmatrix}
\displaystyle{\int W_1(r) dr}\\
\displaystyle{\int W_2(r)W_1(r) dr}
\end{bmatrix}
\end{aligned}

である。これは\hat{\alpha}\sqrt{T}の速度で発散し、\hat{\beta}がある確率変数に収束することを表している。これは\hat{\alpha},\hat{\beta}が一致推定量でないことを意味し、これらに関するt統計量は発散することを意味する。すなわちTが大きければ、帰無仮説H_0:\alpha=0,H_0:\beta=0という仮説検定においてはいずれも帰無仮説を棄却してしまうのである。また回帰の決定係数R^2が漸近的に1に収束することも知られているのである。これらはすなわち、ランダムウォーク(単位根過程)同士を回帰すると、一見説明変数が一定の説明力があるように見えてしまうのである。このような現象を見せかけの回帰という。



見せかけの回帰 単位根過程y_tを定数およびy_tと関係を持たない単位根過程x_tに回帰すると、x_t,y_tに有意な関係があり、回帰の説明力が高いように見える現象は見せかけの回帰と言われる。


このように見せかけの回帰があり得るために、変数が単位根過程にあるかどうかに注意しなければならないのである。
 見せかけの回帰を避けるためには、

  • 説明変数と目的変数のラグ変数を回帰に含める
  • 単位根過程に従う変数の差分を取り定常過程に変換してから解析を行う

という方法がある。
 x_t,y_tの関係性を判断するには、誤差項\varepsilon_tを調べればよい。なぜならば、それが定常過程ならば両者には共和分(後述)の関係、またそれが単位根過程ならば両者は見せかけの回帰になることが知られている。この関係を基に\varepsilon_t(もしくはその推定値\hat{\varepsilon}_t)に単位根検定を行えばよい。この検定を\mathrm{Engle}-\mathrm{Granger}共和分検定という。

7.2 共和分



共和分 単位根過程x_t,y_tについて、ax_t+by_tが定常過程になるようなa,b\in\mathbb{R}が存在するならば、x_t,y_tの間には共和分の関係があるという。
 またベクトル過程\boldsymbol{y}_t\in\mathbb{R}^nについて、\boldsymbol{a}^{\prime}\boldsymbol{y}_tが定常過程となるような\boldsymbol{a}\in\mathbb{R}^nが存在するとき、\boldsymbol{y}_tは共和分の関係があるといい、このときの\boldsymbol{a}を共和分ベクトルという。

 なおここで共和分ベクトルは一意に限っておらず、一般に一意とは限らない。

 一般の系では共和分が1つとは限らず、n個の変数を考えたときには、最大でn-1個共和分関係が存在し得る。ある系における共和分関係の数を共和分ランクという。


 共和分関係を同様に解釈すべきか。まず2つの変数x_t,y_tに共和分関係がある場合、これらはそれぞれ単位根過程であり、いずれも平均回帰性を有さず、長期的な予測の平均二乗誤差は限りなく大きくなっていく。そのためそれぞれの長期的な挙動を予測することは困難である。他方で両者に共和分関係があるということは、z_t=y_t-ax_tが定常過程になるようなaが存在することになる。このときz_tは平均回帰的になり、その長期的な挙動は一定程度の精度で予測できることになる。したがって共和分関係はx_t,y_tの間にy_t=ax_t+bという均衡関係が成立することを表していると解釈できる。

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