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時系列解析の基礎(10/XX)

 以下の書籍

を中心に時系列解析を勉強していきます。

6. 単位根過程

 ここまでの議論は過程が(弱)定常であることを前提としてきたが、一般的には解析したい過程がすべて(弱)定常であるという保証はない。そうしたデータを扱うために有用な概念として単位根過程を導入する。

6.2 単位根過程

 頻用される拡張\mathrm{Dickey}-\mathrm{Fullar}検定および\mathrm{Philips}-\mathrm{Perron}検定を扱う。

6.2.1 Dickey-Fullar検定

 \mathrm{Dickey}-\mathrm{Fullar}検定は、真の過程を\mathrm{AR}(1)過程と仮定し、仮説検定

  • 帰無仮説H_0:過程が単位根\mathrm{AR}(1)過程である。
  • 対立仮説H_1:過程が定常\mathrm{AR}(1)過程である。

を検定する。
 多くの単位根過程は、帰無仮説におけるモデル内に定数項があるか否か、対立仮説のモデルが定数項とトレンド項を含むか否かで検定統計量の漸近分布が異なるため、棄却点が相違し得る。良く用いられるのは以下の3つである:



\begin{aligned}
H_0:\ y_t=y_{t-1}+u_t,\ \ &H_1:\ y_t=\rho y_{t-1}+u_t,|\rho|\lt1,\\
H_0:\ y_t=y_{t-1}+u_t,\ \ &H_1:\ y_t=\alpha+\rho y_{t-1}+u_t,|\rho|\lt1,\\
H_0:\ y_t=\alpha+y_{t-1}+u_t,\ \ &H_1:\ y_t=\alpha+\rho y_{t-1}+\delta t+u_t,|\rho|\lt1
\end{aligned}

場合の選択に際して重要なのは、帰無仮説と対立仮説の双方で適当なモデルを選定することである。以上を整理すると、選択基準は、

  • 場合1:データがトレンドを持たず、過程の期待値が0であるとき
  • 場合2:データがトレンドを持たず、過程の期待値が0でないとき
  • 場合3:データがトレンドを持つとき

どの場合が適当か定かではない場合には場合3を採用する。
 \mathrm{DF}検定は帰無仮説および対立仮説の双方を含むモデル、すなわち対立仮説と同一のモデルを推定し、そのモデルにおいて帰無仮説H_0:\rho=1を対立仮説H_1:\rho\lt1に対して検定することと同一である。t検定を用いればよいように思われるが、過程の非定常性が問題になる。すなわち単位根過程では非定常性から通常の漸近理論が成り立たないのである。そこで単位根過程に対する正しい漸近理論から検定を行うのが\mathrm{DF}検定なのである。
 ここでは場合1を考える。そのときには、回帰モデルとして


\begin{aligned}
y_t=\rho y_{t-1}+u_t,\ u_T\sim i.i.d.(0,\sigma^2)
\end{aligned}

を考える。このときの最小二乗推定量


\begin{aligned}
\hat{\rho}=\displaystyle{\frac{\displaystyle{\sum_{t=1}^{T} y_{t-1}y_t}}{\displaystyle{\sum_{t=1}^{T} y_{t-1}^2}}}=\rho+\displaystyle{\frac{\displaystyle{\sum_{t=1}^{T} y_{t-1}u_t}}{\displaystyle{\sum_{t=1}^{T} y_{t-1}^2}}}
\end{aligned}

で与えられる。
 \rhoに関する検定を行うには、\hat{\rho}の漸近分布が分からなければならない。もし\mathrm{AR}(1)過程が定常ならば、大数の法則および中心極限定理から、


\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{1}{T}\sum_{t=1}^{T}y_{t-1}^2 }&\xrightarrow{\mathrm{p}}\gamma_0=\displaystyle{\frac{\sigma^2}{1-\rho^2}},\\
\displaystyle{\frac{1}{\sqrt{T}}\sum_{t=1}^{T}y_{t-1}u_t}&\xrightarrow{\mathrm{d}}N\left(0,\displaystyle{\frac{\sigma^4}{1-\rho^2}}\right)
\end{aligned}

が得られる。更に\mathrm{Sluzky}の定理から、


\begin{aligned}
\sqrt{T}(\hat{\rho}-\rho)\xrightarrow{L}N(0,1-\rho^2)
\end{aligned}

が成立する。
 また\rho=0の検定にはt統計量を用いることが多い。ここでt統計量\tau_t


\begin{aligned}
s^2&=\displaystyle{\frac{1}{T-1}\sum_{t=1}^T(y_t-\hat{\rho}y_{t-1})^2},\\
\hat{\sigma}_{\hat{\rho}}&=\left\{s^2\left(\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}y_{t-1}^2}\right)^{-1}\right\}^{\frac{1}{2}},\\
\tau_t&=\displaystyle{\frac{\hat{\rho}-\rho}{\hat{\sigma}_{\hat{\rho}}}}
\end{aligned}

で定義される。この統計量は漸近的に標準正規分布に従うことが知られている。
 他方でもし\rho=1であるならば、自己共分散がいつまで経っても減衰しないから、大数の法則中心極限定理が成立しない。このとき、\tau_{\rho},\tau_tの漸近分布は\mathrm{Brown}運動の汎関数になることが知られている。



\mathrm{Brown}運動 以下の3つの性質を満たすような[0,1]で定義された連続確率過程W(t)を標準\mathrm{Brown}運動という:

  • W(0)=0
  • 時点0\leq{}^{\forall}t_1\lt{}^{\forall}t_2\lt\cdots\lt{}^{\forall}t_k\leq1においてW(t_2)-W(t_1),W(t_3)-W(t_2),\cdots,W(t_k)-W(t_{k-1})は互いに独立に正規分布に従い、W(s)-W(t)\sim N(0,s-t)である。
  • W(t)は確率1tに関して連続である。


 ランダムウォーク[0,1]に縮小し、そこで定義された確率過程として見たものに対して連続時間極限を考えると、それは\mathrm{Brown}運動に収束するのである。そのために\tau_{\rho},\tau_tに関係してくる。この結果を汎関数中心極限定理といい。更に連続写像定理から、\mathrm{Brown}運動に収束する確率過程を連続汎関数写像したものは\mathrm{Brown}運動を同じ連続汎関数写像したものに収束する。これにより、



\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{1}{T}\sum_{t=1}^{T}y_{t-1}y_t }&\xrightarrow{d}\displaystyle{\frac{\sigma^2}{2}}\left\{(W(1) )^2-1\right\},\\
\displaystyle{\frac{1}{T^2}\sum_{t=1}^{T}y_{t-1}^2 }&\xrightarrow{d}\sigma^2 \displaystyle{\int_0^1[W(r)]^2 dr}
\end{aligned}


が得られるから、



\begin{aligned}
\tau_{\rho}=T(\hat{\rho}-1)&\xrightarrow{d}\displaystyle{\frac{\displaystyle{\frac{1}{2}}\left\{(W(1) )^2-1\right\}}{\displaystyle{\int_0^1[W(r)]^2 dr}}},\\
\tau_t=\displaystyle{\frac{\hat{\rho}-1}{\hat{\sigma}_{\hat{\rho}}}}&\xrightarrow{d}\displaystyle{\frac{\displaystyle{\frac{1}{2}}\left\{(W(1) )^2-1\right\}}{\sqrt{\displaystyle{\int_0^1[W(r)]^2 dr}}}}
\end{aligned}


が成立する。

\boldsymbol{\mathrm{DF}}検定の手段

  • データの性質を考慮して、帰無仮説のモデルと対立仮説のモデルを選択する。
  • 対立仮説のモデルを最小二乗法で推定する。
  • 検定統計量\tau_{\rho},\tau_tの値を計算する・
  • 各統計量を対応する\mathrm{DF}分布の棄却点と比較し、統計量の方が小さければ、単位根の帰無仮説を棄却する。
  • 帰無仮説が棄却されなければ、差分系列を用いて再度単位根検定を行う。
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