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時系列解析の基礎(11/XX)

 以下の書籍

を中心に時系列解析を勉強していきます。

6. 単位根過程

 ここまでの議論は過程が(弱)定常であることを前提としてきたが、一般的には解析したい過程がすべて(弱)定常であるという保証はない。そうしたデータを扱うために有用な概念として単位根過程を導入する。

6.2 単位根過程

 頻用される拡張\mathrm{Dickey}-\mathrm{Fullar}検定および\mathrm{Philips}-\mathrm{Perron}検定を扱う。

6.2.2 ADF検定

 \mathrm{Dickey}-\mathrm{Fullar}検定では真のモデルを\mathrm{AR}(1)過程だと仮定していた。しかし\mathrm{AR}(1)過程で記述できる事象は非常に限定的であり、現実性に欠けるとの批判もあり得る。そこで拡張\mathrm{Dickey}-\mathrm{Fullar}検定(\mathrm{ADF}検定)および\mathrm{Philips}-\mathrm{Perron}検定(\mathrm{PP}検定)を導入する。
 真のモデルが\mathrm{AR}(p)モデル(p\geq1)であるとした検定が\mathrm{ADF}検定である。対立仮説を変えただけで基本的な考え方は変わらないものの、推定モデルに少し工夫を施す必要がある。ここでは場合1(データがトレンドを持たず過程の期待値が0であるとき)を考える。


\begin{aligned}
y_t=\phi_{}y_{}+\phi_{}y_{}+\cdots+\phi_{}y_{}+\varepsilon_t,\varepsilon_t\sim i.i.d.(0,\sigma^2)
\end{aligned}

に従うことを仮定する。y_tが単位根過程に従うならば、\mathrm{AR}特性方程式z=1を解に持つから、単位根の帰無仮説を検定するには


\begin{aligned}
\phi_{1}+\phi_{2}+\cdots+\phi_{p}=1
\end{aligned}

を検定する必要がある。これはパラメータ数が多いため、検定が複雑になってしまう。そこで\mathrm{AR}(p)過程を素直に検定することはせずに、それを変形した


\begin{aligned}
\begin{cases}
\rho&=\phi_{1}+\phi_{2}+\cdots+\phi_{p}\\
\zeta_{k}&=-(\phi_{k+1}+\phi_{k+2}+\cdots+\phi_{p}),k=1,2,\cdots,p-1
\end{cases}
\end{aligned}

を考え、モデルを


\begin{aligned}
y_t=\rho y_{t-1}+\zeta_{1}\Delta y_{t-1}+\zeta_{2}\Delta y_{t-2}+\cdots+\zeta_{p-1}\Delta y_{t-p+1}+\varepsilon_t
\end{aligned}

と変形したものを推定する。このとき単位根の条件は\rho=1と同値になる。また|\rho|\lt1ならばz\gt1になるから、|\rho|\lt1のとき真の[tex:\mathrm{AR}(p)過程は定常である。以上の下でモデル


\begin{aligned}
y_t=\rho y_{t-1}+\zeta_{1}\Delta y_{t-1}+\zeta_{2}\Delta y_{t-2}+\cdots+\zeta_{p-1}\Delta y_{t-p+1}+\varepsilon_t
\end{aligned}

帰無仮説H_0:\rho=1,および対立仮説H_1:\rho\lt1を考える。こうすると\mathrm{ADF}検定統計量として\tau_{\rho},\tau_tを用いることができる。

6.2.3 PP検定

 \mathrm{Philips}-\mathrm{Perron}検定は、\mathrm{DF}検定をより一般的にしたものである。\mathrm{PP}検定はu_tがより一般的な自己相関や分散不均一性までを許容する点が特徴的である。
 再度トレンドが無く期待値が0であると考えると、


\begin{aligned}
y_t=\rho_{1}y_{t-1}+u_t
\end{aligned}

において


\begin{aligned}
u_t=\displaystyle{\sum_{s=0}^{\infty}\psi_s\varepsilon_{t-s}},\varepsilon_t\sim i.i.d.(0,\sigma^2)
\end{aligned}

と仮定する。u_tの自己相関構造を利用して検定統計量\tau_{\rho},\tau_tを修正する。
 具体的には、1つ目にu_tの自己共分散


\begin{aligned}
\gamma_k=E[u_tu_{t-k}]=\sigma^2\displaystyle{\sum_{s=0}^{\infty}\psi_s\psi_{s+k}},k=0,1,2,\cdots
\end{aligned}

を、2つ目にはu_tの長期分散


\begin{aligned}
\lambda^2=\gamma_0+2\displaystyle{\sum_{k=1}^{\infty}\gamma_k}=\sigma^2\left(\displaystyle{\sum_{k=0}^{\infty}\psi_k}\right)^2
\end{aligned}

を修正する。すなわち


\begin{aligned}
\tilde{\tau}_{\rho}&=\tau_{\rho}-\displaystyle{\frac{1}{2}\cdot\frac{T^2\hat{\sigma}_{\hat{\rho}}^2}{s^2}}(\lambda^2-\gamma_0),\\
\tilde{\tau}_{t}&=\left(\displaystyle{\frac{\gamma_0}{\lambda^2}}\right)^2\tau_t-\displaystyle{\frac{1}{2\lambda}(\lambda^2-\gamma_0)\frac{T\hat{\sigma}_{\hat{\rho}}}{s}}
\end{aligned}

と修正する。ここでs^2,\hat{\sigma}_{\hat{\rho}}


\begin{aligned}
s^2&=\displaystyle{\frac{1}{T-1}\sum_{t=1}^{T}(y_t-\hat{\rho}y_{t-1})^2},\\
\hat{\sigma}_{\hat{\rho}}&=\left\{s^2\left(\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}y_{t-1}^2}\right)^{-1}\right\}^{\frac{1}{2}}
\end{aligned}

とする。このとき\tilde{\tau}_{\rho},\tilde{\tau}_{t}の漸近分布が\mathrm{DF}検定における\tau_{\rho},\tau_tの漸近分布と一致することを示すことができる。
 u_tの自己相関構造が未知ならば、自己共分散\gamma_jや長期分散\lambda^2を推定することになる。自己共分散の推定量には最小二乗標本残差[tez:\hat{u}=y_t-\hat{\rho}y_{t-1}]の標本自己共分散が用いられる。\lambda^2の代表的な推定量には


\begin{aligned}
\hat{\lambda}^2=\hat{\gamma}_0+2\displaystyle{\sum_{j=1}^{q}\left(1-\frac{j}{q+1}\right)}\hat{\gamma}_j
\end{aligned}

で与えられる\mathrm{Newey}-\mathrm{West}定量がある。
 qの選択は非常に難しい問題であるが、一般にu_tが無限次の自己相関を持つ場合、標本数Tが大きくなる際にqTよりも遅い速度で大きくする必要があることが知られている。

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