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やりなおしの数学・線形代数篇(23/26)

 定番書

を基に線形代数を学び直していく。

今日のまとめ

  • 2つのx-行列
    \begin{aligned}A(x)&=A_0 x^{k}+A_1 x^{k-1}+\cdots+A_{k-1}x+A_k,\\B(x)&=B_0 x^{l}+B_1 x^{l-1}+\cdots+B_{l-1}x+B_k\end{aligned}
    においてB(x)の最高次数係数行列B_0が正則ならば
    \begin{aligned}A(x)=B(x)Q_1(x)+R_1(x)\end{aligned}
    を満たすようなnx-行列Q_1(x),R_1(x)が一意に定まり、R_1(x)Oまたはその冪次数がB(x)の冪次数よりも小さい。

     また
    \begin{aligned}A(x)=Q_2(x)B(x)+R_2(x)\end{aligned}
    を満たすようなnx-行列Q_2(x),R_2(x)が一意に定まり、R_2(x)Oまたはその冪次数がB(x)の冪次数よりも小さい。

6. 単因子およびJordan標準形

6.1 単因子

 1変数xK-変数多項式を成分とするn次正方行列を考える。このような行列を簡便のためにx-行列と呼ぶことにする。2つのx-行列の和差積が数の行列の場合と同様に定義されてx-行列である。行列式x多項式である。
 x-行列A(x)に対して


\begin{aligned}
A(x)T(x)=X(x)A(x)=I
\end{aligned}

となるようなx-行列が存在するとき、A(x)を可逆行列という。

 2つのx-行列A(x),B(x)が有限回の基本変形によって移りあうとき、A(x)B(x)は対等であるといい、A(x)\sim B(x)と書く。
 任意のnx-行列A(x)は以下の標準形に対等である。


\begin{aligned}
\begin{bmatrix}
e_1(x)&         &          &          &  &          &\\
         &e_2(x)&          &          &  &          &\\
         &         &\ddots&         &  &          &\\
         &         &           &e_r(x)&  &          &\\
         &         &           &         &0&          &\\
         &         &           &         &  &\ddots&\\
         &         &           &         &  &           &0
\end{bmatrix}
\end{aligned}

ただしe_1(x),\cdots,e_r(x)は以下の条件を満たす:

  • e_i(x),i=1,2,\cdots,rは最高次係数が1多項式である。
  • e_i(x)e_{i-1}(x)で割り切れる。

さらにこの標準形はA(x)で一意に定まる。

 A(x)により定まるrA(x)の階数といい、r個の多項式e_1(x),\cdots,e_r(x)A(x)の単因子という。



対等性と単因子(1) 2つのx-行列が対等であるためには、それらの階数および単因子が一致することが必要十分である。


対等性と単因子(2) x-行列に関して以下が成り立つ。

(\because 対等な2つのx-行列の行列式は、0でない定数倍しか相違ない。可逆行列行列式0でない定数であるから、疎の標準形の行列式0でない定数である。したがって標準形は単位行列でなければならない。逆は自明である。
 A(x)が可逆行列ならば、上で示した内容から基本行列P_{1}(x),\cdots,P_k(x),Q_1(x),\cdots,Q_l(x)が存在し

\begin{aligned}
P_{1}(x)\cdots P_k(x) Q_1(x)\cdots Q_l(x)=I
\end{aligned}

が成り立つ。したがって


\begin{aligned}
A(x)={P_k(x)}^{-1}{P_{k-1}(x)}^{-1}\cdots {P_{1}(x)}^{-1}{Q_{l}(x)}^{-1}\cdots{Q_{1}(x)}^{-1}
\end{aligned}

である。{P_{i}(x)}^{-1},{Q_{j}(x)}^{-1}は基本行列である。
 3つ目は2つ目で示した命題から明らかである。 \blacksquare)

 また以下は2つ目の命題から明らかである。


対等性と単因子(3) A(x),B(x)が対等であるためには

\begin{aligned}
B(x)=P(x)A(x)Q(x)
\end{aligned}
となるような2つの可逆行列P(x),Q(x)が存在することが必要十分である。

 さてここから単因子論を、必ずしも対角か可能ではない数行列の標準形を求める問題に応用する。

 Kの元を成分とする行列Aに対してx-行列xI-AAの特性x-行列という。
 x-行列は行列を係数とするx多項式と見ることもできる。たとえば


\begin{aligned}
\begin{bmatrix}x^2-2x-1&2x+3\\x+2&2x^2-3x\end{bmatrix}=\begin{bmatrix}1&0\\0&2\end{bmatrix}x^2+\begin{bmatrix}-2&2\\1&-3\end{bmatrix}x+\begin{bmatrix}-1&3\\2&0\end{bmatrix}
\end{aligned}

と表現することができる。これを一般化すると


\begin{aligned}
A(x)=A_0 x^k+A_1 x^{k-1}+\cdots+A_{k-1} x+ A_k,\ A_0\neq O
\end{aligned}

である。Oでない係数行列を持つ最高の次数kx-行列A(x)の冪次数という。



x-行列 2つのx-行列

\begin{aligned}
A(x)&=A_0 x^{k}+A_1 x^{k-1}+\cdots+A_{k-1}x+A_k,\\
B(x)&=B_0 x^{l}+B_1 x^{l-1}+\cdots+B_{l-1}x+B_k
\end{aligned}

においてB(x)の最高次数係数行列B_0が正則ならば


\begin{aligned}
A(x)=B(x)Q_1(x)+R_1(x)
\end{aligned}

を満たすようなnx-行列Q_1(x),R_1(x)が一意に定まり、R_1(x)Oまたはその冪次数がB(x)の冪次数よりも小さい。
 また


\begin{aligned}
A(x)=Q_2(x)B(x)+R_2(x)
\end{aligned}

を満たすようなnx-行列Q_2(x),R_2(x)が一意に定まり、R_2(x)Oまたはその冪次数がB(x)の冪次数よりも小さい。

(\because A(x)の冪次数kに関する数学的帰納法を考える。
 k=0のときl\gt0ならば、Q_1(x)=O,R_1(x)=A(x)とおけばよい。l=0ならばB(x)=B_0(x)であるから、

\begin{aligned}
Q_1(x)={B_0}^{-1}A(x),R_1(x)=O
\end{aligned}

とおけばよい。
 冪次数がk\geq1より小さいx-行列に関して主張が成り立つと仮定する。
 k\lt lならばQ_(x)=O,R_1(x)=A(x)とおけばよい。
 k\geq lならば


\begin{aligned}
A^{\prime}(x)=A(x)-B(x){B_0}^{-1}A_0 x^{k-l}
\end{aligned}

とおけばA^{\prime}(x)の冪次数はk-1以下である。したがって


\begin{aligned}
A^{\prime}(x)=B(x)Q^{\prime}(x)+R_1(x)
\end{aligned}

が成り立つようなQ^{\prime}(x)および冪次数がlよりも小さい、もしくは零行列に等しいR_1(x)が存在する。


\begin{aligned}
Q_1(x)={B_0}^{-1}A_0 x^{k-l}+Q^{\prime}(x)
\end{aligned}

とおけば


\begin{aligned}
A(x)=B(x)Q_1(x)+R_1(x)
\end{aligned}

が成り立つ。したがってすべての\in\mathbb{N}に関して命題は正しい。
 もう一組の{Q_1}^{\prime}(x),{R_1}^{\prime}(x)が条件を満たすならば


\begin{aligned}
B(x)\{Q_1(x)-{Q_1}^{-1}(x)\}={R_1}^{\prime}(x)-R_1(x)
\end{aligned}

が成り立つから、冪次数に関する条件から、Q_1(x)={Q_1}^{\prime}(x),R_1(x)={R_1}^{\prime}(x)でなければならない。
 Q_2(x),R_2(x)も同様に示すことができる。 \blacksquare)


相似性と対等性 2つのK-行列が相似、すなわち

\begin{aligned}
B=P^{-1}AP
\end{aligned}

を満たすような正則K-行列Pが存在するためには、それらの特性x-行列xI-A,xI-Bが対等であることが必要十分である。

(\because B=P^{-1}APならば、xI-B=P^{-1}(xI-A)Pが成り立ち、Pは可逆行列であるから、xI-AおよびxI-Bは対等である。
 逆にxI-AおよびxI-Bが対等であるならば、

\begin{aligned}
(xI-A)P(x)=Q(x)(xI-B)
\end{aligned}

となるような可逆行列P(x),Q(x)が存在する。このとき


\begin{aligned}
P(x)&=P_1(xI-B)+P,\\
Q(x)&=(xI-A)Q_1(x)+Q
\end{aligned}

を満たすようなx-行列P_1(x),Q_1(x)およびK-行列P,Qが存在する。


\begin{aligned}
(xI-A)\{P_1(x)-Q_1(x)\}(xI-B)&=(xI-A)P_1(x)(xI-B)-(xI-A)Q_1(x)(xI-B)\\
&=(xI-A)(P(x)-P)-(Q(x)-Q)(xI-B)\\
&=\{(xI-A)P(x)-Q(x)(xI-A)\}+\{Q(xI-B)-(xI-A)P\}
\end{aligned}

である。最後の右辺式の第1項はOであるから、


\begin{aligned}
(xI-A)\{P_1(x)-Q_1(x)\}(xI-B)=Q(xI-B)-(xI-A)P
\end{aligned}

が成り立つ。P_1(x)\neq Q_1(x)ならば、上式の左辺はその冪次数が2以上で、右辺の冪次数は1以下ないし零行列であるから、


\begin{aligned}
P_1(x)=Q_1(x),\ Q(xI-A)=(xI-A)P
\end{aligned}

でなければならない。


\begin{aligned}
Q(xI-A)=(xI-A)P\Leftrightarrow (P-Q)x=AP-QB
\end{aligned}

と書け、両辺の冪次数の関係から、


\begin{aligned}
P=Q,\ AP=QB=PB
\end{aligned}

でなければならない。
 Pが正則であることが示されれば、B=P^{-1}APとなり、定理は示される。
 P(x)は可逆行列であるから


\begin{aligned}
P^{-1}(x)=R(x)(xI-A)+R
\end{aligned}

を満たすようなR(x)およびK-行列Rが存在する。


\begin{aligned}
I&=\{R(x)(xI-A)+R\}\{P_1(x)(xI-B)+P\}\\
&=\{R(x)(xI-A)+R\}P_1(x)(xI-B)+R(x)(xI-A)P+RP\\
&=\{R(x)(xI-A)+R\}P_1(x)(xI-B)+R(x)Q(xI-B)+RP\\
&=S(x)(xI-B)+RP
\end{aligned}

ただし


\begin{aligned}
S(x)=\{R(x)(xI-A)+R\}P_1(x)+R(x)Q
\end{aligned}

である。上式の右辺はS(x)が零行列でなければ。冪次数は1以上である。左辺は冪次数が0であるから、S(x)=O,RP=Iでなければならない。したがってPは正則である。 \blacksquare)

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