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やりなおしの数学・線形代数篇(22/26)

 定番書

を基に線形代数を学び直していく。

今日のまとめ

  • x多項式を成分とする行列A(x)に対して
    \begin{aligned}A(x)T(x)=X(x)A(x)=I\end{aligned}
    となるようなx-行列が存在するとき、A(x)を可逆行列という。
  • x多項式を成分とする行列A(x)が可逆行列であるためには、行列式|A(x)|K0でない元であることが必要十分である。
  • 2つのx多項式を成分とする行列A(x),B(x)が有限回の基本変形によって移りあうとき、A(x)B(x)は対等であるといい、A(x)\sim B(x)と書く。
  • 任意のxn多項式を成分とする行列A(x)は以下の標準形に対等である: 
    \begin{aligned}\begin{bmatrix}e_1(x)&         &          &          &  &          &\\         &e_2(x)&          &          &  &          &\\         &         &\ddots&         &  &          &\\         &         &           &e_r(x)&  &          &\\         &         &           &         &0&          &\\         &         &           &         &  &\ddots&\\         &         &           &         &  &           &0\end{bmatrix}\end{aligned}
    ただしe_1(x),\cdots,e_r(x)は以下の条件を満たす:

    - e_i(x),i=1,2,\cdots,rは最高次係数が1多項式である。

    - e_i(x)e_{i-1}(x)で割り切れる。

    さらにこの標準形はA(x)で一意に定まる。

5. 固有値固有ベクトル

5.4 二次曲線および二次曲面

 二次曲線および二次曲面を既存の知識を用いて分類する。
 空間の座標系は1点Oおよび幾何ベクトル空間V^3の1つの基底E=(\boldsymbol{e}_1,\boldsymbol{e}_2,\boldsymbol{e}_3)との組(O;E)を指す。とくにEが正規直交基底である場合が直交座標系である。
 座標系を取り換えたときに点の位置ベクトルがどのように変わるかを考察する。2つの座標系(O;E),(O^{\prime};E^{\prime})があるとき、V^3の基底の取り換えE\rightarrow E^{\prime}の行列をT(t_{ij})とし、点O^{\prime}の座標系(O;E)に関する位置ベクトルを


\begin{aligned}
\boldsymbol{t}_0=\begin{bmatrix}t_1\\t_2\\t_3\end{bmatrix}
\end{aligned}
とする。
 点Pの座標系(O;E),(O^{\prime};E^{\prime})における位置ベクトルをそれぞれ

\begin{aligned}
\boldsymbol{x}=\begin{bmatrix}x_1\\x_2\\x_3\end{bmatrix},\boldsymbol{y}=\begin{bmatrix}y_1\\y_2\\y_3\end{bmatrix}
\end{aligned}

とすれば、\vec{OP}=\vec{OO^{\prime}}+\vec{O^{\prime}P}であるから


\begin{aligned}
\displaystyle{\sum_{i=1}^{3}x_i\boldsymbol{e}_i}&=\displaystyle{\sum_{i=1}^{3}t_i\boldsymbol{e}_i}+\displaystyle{\sum_{i=1}^{3}t_i{\boldsymbol{e}_i}^{\prime}}\\
&=\displaystyle{\sum_{i=1}^{3}t_i\boldsymbol{e}_i}+\displaystyle{\sum_{i=1}^{3}y_i t_{ji}{\boldsymbol{e}_j}}
\end{aligned}

であるから、


\begin{aligned}
\boldsymbol{x}=T\boldsymbol{y}+\boldsymbol{t}_0
\end{aligned}

が成り立ち、これが座標変換の公式である。
 さらに


\begin{aligned}
\tilde{x}=\begin{bmatrix}\boldsymbol{x}\\1\end{bmatrix},
\tilde{y}=\begin{bmatrix}\boldsymbol{y}\\1\end{bmatrix},
\tilde{T}=\begin{bmatrix}T&\boldsymbol{t}_0\\{}^{t}\boldsymbol{0}&1\end{bmatrix}
\end{aligned}

とおけば


\begin{aligned}
\tilde{x}=\tilde{T}\tilde{y}
\end{aligned}

とも表される。特に(O;E),(O^{\prime};E^{\prime})がともに直交座標系ならばTは直交行列である。
 空間における二次曲面(二次曲線)とは、ある座標系に関する座標の二次式の零点からなる集合である。二次曲面(二次曲線)は座標系に無関係な概念である。

6. 単因子およびJordan標準形

6.1 単因子

 1変数xK-変数多項式を成分とするn次正方行列を考える。このような行列を簡便のためにx-行列と呼ぶことにする。2つのx-行列の和差積が数の行列の場合と同様に定義されてx-行列である。行列式x多項式である。
 x-行列A(x)に対して


\begin{aligned}
A(x)T(x)=X(x)A(x)=I
\end{aligned}

となるようなx-行列が存在するとき、A(x)を可逆行列という。
 A(x)が可逆行列であるとき、上式を満たすようなX(x)はただ1つしか存在しないことが知られている。X(x)A(x)逆行列と呼び、A(x)^{-1}で表す。


可逆性の必要十分条件 x-行列A(x)が可逆行列であるためには、行列式|A(x)|K0でない元であることが必要十分である。
(\because A(x)が可逆ならば

\begin{aligned}
\left|A(x)\right||A(x)^{-1}|=|A(x)A(x)^{-1}|=1
\end{aligned}

が成り立つ。|A(x)|および|A(x)^{-1}|x多項式であるから、|A(x)|\in K|A(x)|\neq0である。
 逆に|A(x)|K0でない元だとする。A(x)の余因子行列を\tilde{X}(x)とすれば、


\begin{aligned}
\tilde{A}(x)A(x)=A(x)\tilde{A}(x)=|A(x)|\cdot I
\end{aligned}

が成り立つ。したがって\displaystyle{\frac{1}{|A(x)|}\tilde{A}(x)}A(x)逆行列である。 \blacksquare)


 ここで基本行列

  • P_n(i,j)(i,i),(i+1,i+1),\cdots,(j,j)成分が0でそれ以外の対角成分および(i,j),(j,i)成分が1であるような行列
  • Q_n(i;c)(i,i)成分のみcでそれ以外の対角成分が1であるような行列
  • R_n(i,j;c)(i,j)成分がcであるような行列

を思い起こそう。このc\in\mathbb{C}の代わりに多項式c(x)を入れたR_n(i,j;c(x))で表し、これも基本行列と呼ぶことにする。
 R_n(i,j;c(x))\cdot R_n(i,j;-c(x))=Iであるから可逆で、逆行列もまた基本行列である。x-行列の成分に対する基本変形の効果は数行列の場合と同様である。


対等性 2つのx-行列A(x),B(x)が有限回の基本変形によって移りあうとき、A(x)B(x)は対等であるといい、A(x)\sim B(x)と書く。



x-行列と標準形 任意のnx-行列A(x)は以下の標準形に対等である。

\begin{aligned}
\begin{bmatrix}
e_1(x)&         &          &          &  &          &\\
         &e_2(x)&          &          &  &          &\\
         &         &\ddots&         &  &          &\\
         &         &           &e_r(x)&  &          &\\
         &         &           &         &0&          &\\
         &         &           &         &  &\ddots&\\
         &         &           &         &  &           &0
\end{bmatrix}
\end{aligned}

ただしe_1(x),\cdots,e_r(x)は以下の条件を満たす:

  • e_i(x),i=1,2,\cdots,rは最高次係数が1多項式である。
  • e_i(x)e_{i-1}(x)で割り切れる。

さらにこの標準形はA(x)で一意に定まる。

(\because まず前半について、n=1のときは明らかに成り立つ。n\gt1としてn-1x-行列はすべて標準形に対等であると仮定する。
 A(x)=Oならばそれ自身が標準形であるから、A(x)\neq Oとする。A(x)と対等な行列で、(1,1)成分が0でないものが少なくとも1つ存在する。このような行列全体を考え、そのうちx多項式である(1,1)成分の次数が最低なものの1つを取る。この行列の第1行を(1,1)成分の最高次係数で割ることで、A(x)と対等な行列

\begin{aligned}
B(x)=\begin{bmatrix}
e_1(x)    &b_{12}(x)&\cdots&b_{1n}(x)\\
b_{21}(x)&b_{22}(x)&\cdots&b_{2n}(x)\\
\vdots   &\vdots    &          &\cdots\\
b_{n1}(x)&b_{n2}(x)&\cdots&b_{nn}(x)
\end{bmatrix}
\end{aligned}

が得られ、e_1(x)の次数は1である。
 B(x)の第1行および第1列の成分はすべてe_1(x)で割り切れる。実際、b_{1j}(x),j\neq1e_1(x)で割り切れないならば、


\begin{aligned}
b_{1j}(x)=e_1(x)q(x)+r(x)
\end{aligned}

が成り立つような多項式q(x),e_1(x)よりも次数の低い多項式r(x)が存在する。B(x)の第j列から第1列のq(x)倍を引き、さらに第1列と第j列とを交換すれば、得られる行列はA(x)と対等で(1,1)成分はr(x)である。しかしB(x)の選び方に反する。
 b_{i1}(x),i\neq1に関しても同様である。
 そこでb_{1j}(x),b_{i1}(x)=e_1(x){q_i}^{\prime}(x)とし、第j列から第1列のq_j(x)倍を引き、第i行から第1行の{q_i}^{\prime}倍を引けば


\begin{aligned}
C(x)=\begin{bmatrix}
e_1(x)&0        &\cdots&0\\
0     &c_{22}(x)&\cdots&c_{2n}(x)\\
\vdots&\vdots   &      &\vdots\\
0     &c_{n2}(x)&\cdots&c_{nn}(x)
\end{bmatrix}
\end{aligned}
が得られる。

 さらに数学的帰納法の仮定からn-1次行列


\begin{aligned}
\begin{bmatrix}
c_{22}(x)&\cdots&c_{2n}(x)\\
\vdots   &      &\vdots   \\
c_{n2}(x)&\cdots&c_{nn}(x)
\end{bmatrix}
\end{aligned}
は有限回の基本変形により標準形


\begin{aligned}
\begin{bmatrix}
e_2(x)&      &      & &     & \\
      &\ddots&      & &     & \\
      &      &e_r(x)& &     & \\
      &      &      &0&     & \\
      &      &      &&\ddots& \\
      &      &      &&      &0
\end{bmatrix}
\end{aligned}

に移る。これと同様な変形をC(x)に施せば、A(x)と対等な行列


\begin{aligned}
\begin{bmatrix}
e_1(x)&      &      &      & &     & \\
      &e_2(x)&      &      & &     & \\
      &      &\ddots&      & &     & \\
      &      &      &e_r(x)& &     & \\
      &      &      &      &0&     & \\
      &      &      &      &&\ddots& \\
      &      &      &      &&      &0
\end{bmatrix}
\end{aligned}

が得られる。
 e_2(x)e_1(x)で割り切れる。実際、e_1(x)よりも低次な多項式r(x)を用いて


\begin{aligned}
e_2(x)=e_1(x)q(x)+r(x)
\end{aligned}

と書けるとする。D(x)の第2列に第1列のq(x)倍を加え、次に第2行から第1行を引けば、(2,2)成分はr(x)となる。行および列の交換でr(x)(1,1)成分に移すことができるが、これはe_1(x)の選び方に反する。したがってD(x)は標準形である。
 次に標準性の一意性を示す。そのために別の定理を先に示す。まず以下の概念を導入する。


行列式因子 n次のx-行列A(x)のすべてのk次小行列式の最大公約数をA(k)k行列式因子と呼び、d_k(x)で表す。k次小行列式がすべて0のときはd_k(x)=0とおく。


対等なx-行列の行列式因子 互いに対等なnx-行列のn個の行列式因子は一致する。

(\because nx-行列A(x)基本変形を施したとき、行列式因子が変わらないことを言えばよい。
 行または列の交換およびある行または列にK0でない元を掛けることによって行列式因子が変わらないことは明らかである。
 A(x)の第i行に第j行(j\neq i)のc(x)倍を加えて得られる行列をA^{\prime}(x)とし、A^{\prime}(x)k行列式因子をd_k^{\prime}(x)とする。
 A(x)の様々なk行列式のうち、第i行を含まない者は不変である。また第i行、第j行を共に含むものも不変である。k次小行列式\Delta(x)が第i行を含み、第j行を含まないものとする。行列A^{\prime}(x)の対応する位置にある小行列式\Delta^{\prime}(x)とおく。\Delta^{\prime}(x)\Delta(x)とそれに含まれているA(x)の第i行を第j行で置き換えた\Delta_1(x)c(x)バイトの和に等しい、すなわち


\begin{aligned}
\Delta^{\prime}(x)=\Delta(x)+c(x)\Delta_1(x)
\end{aligned}

である。\\Delta(x),\Delta_1(x)d_k(x)で割り切れるから\Delta^{\prime}(x)も割り切れる。
 以上からA^{\prime}(x)のすべてのk次小行列式d_k(x)で割り切れることが分かった。したがってその最大公約数d_k^{\prime}(x)d_k(x)で割り切れる。基本変形は可逆であるから、d_k(x)で割り切れる。共に最高次係数は1であるから、d_k(x)=d_k^{\prime}(x)である。 \blacksquare)

 これを用いて本来示すべき定理の後半を示す。

 標準形


\begin{aligned}
\begin{bmatrix}
e_1(x)&      &      &      & &     & \\
      &e_2(x)&      &      & &     & \\
      &      &\ddots&      & &     & \\
      &      &      &e_r(x)& &     & \\
      &      &      &      &0&     & \\
      &      &      &      &&\ddots& \\
      &      &      &      &&      &0
\end{bmatrix}
\end{aligned}

行列式因子をd_1(x),\cdots,d_n(x)とすれば、


\begin{aligned}
d_k(x)&=\displaystyle{\prod_{i=1}^{k}e_i(x),\ k\leq r}\\
d_k(x)&=0,\ k\gt r
\end{aligned}

が成り立つ。したがって


\begin{aligned}
e_k(x)=\displaystyle{\frac{d_{k}(x)}{d_{k-1}(x)}},k\leq r
\end{aligned}

が成り立ち、これによりe_1(x),\cdots,e_r(x)A(x)によって一意に決まる。数rもまた、A(x)0でない小行列式の最大次数としてA(x)により一意に定まる。 \blacksquare)

 A(x)により定まるrA(x)の階数といい、r個の多項式e_1(x),\cdots,e_r(x)A(x)の単因子という。

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