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やりなおしの数学・線形代数篇(25/26)

 定番書

を基に線形代数を学び直していく。

今日のまとめ

  • 実行列Aが実正則行列PによってJordan標準形Jに変換されるならば、Aの特性解はすべて実数であることが必要十分である。

6. 単因子およびJordan標準形

6.2 Jordan標準形


Jordan標準形の計算 複素線形空間Vの任意の線形変換T:V\rightarrow Vに対し、以下のような性質をもつT-不変部分空間V_1,\cdots,V_sが存在する:
(1) V=V_1\oplus V_2\oplus\cdots\oplus V_s
(2)V_iにおいてTはただ1つの固有値\alpha_iを持ち、V_iの適当な基底\boldsymbol{e}_{i,1},\cdots,\boldsymbol{e}_{i,k_{i}}に対して

\begin{aligned}
(T-\alpha_i I)\boldsymbol{e}_{i,1}=&\boldsymbol{0},\\
(T-\alpha_i I)\boldsymbol{e}_{i,j}=&\boldsymbol{e}_{i,j-1},j=2,3,\cdots,k_i
\end{aligned}
(3)V_1,\cdots,V_sのうち、その上でのT固有値\alphaであるものすべての直和をU_{\alpha}とすれば

\begin{aligned}
U_{\alpha}=\{\boldsymbol{x}|\boldsymbol{x}\in V,(T-\alpha I)^{n}\boldsymbol{x}=\boldsymbol{0}\}
\end{aligned}

 これから、行列AのJordan標準形Jおよび変換行列Pを求める別の方法が得られる。
 \alphaA固有値であるとき、J\alphaに対するJordan細胞が1つあることに斉次一次方程式系


\begin{aligned}
(A-\alpha I)\boldsymbol{x}=\boldsymbol{0}
\end{aligned}

の解がスカラー倍を除いてただ1つ存在するから、\alphaに対する固有空間W_{\alpha}の次元は\alphaに対するJordan細胞の個数に等しい。


 A=\begin{bmatrix}6&-3&-7\\-1&2&1\\5&-3&-6\end{bmatrix}とする。特性方程式\Phi_A(\boldsymbol{x})=0を解くと、


\begin{aligned}
\ &\Phi_A(\boldsymbol{x})=\begin{vmatrix}x-6&3&7\\1&x-2&-1\\-5&3&x+6\end{vmatrix}=0\\
\Leftrightarrow\ &\begin{vmatrix}
x-6&3&7\\-5&3&x+6\\0&5x-7&x+1
\end{vmatrix}=0\\
\Leftrightarrow\ &(x-6)\begin{vmatrix}
3&x+6\\5x-7&x+1
\end{vmatrix}+5\begin{vmatrix}
3&7\\5x-7&x+1
\end{vmatrix}=0\\
\Leftrightarrow\ &(x-6)\{3(x+1)-(x+6)(5x-7)\}+5\{3(x+1)-7(5x-7)\}=0\\
\Leftrightarrow\ &(x-6)\{3(x+1)-(x+6)(5x-7)\}+5\{3(x+1)-7(5x-7)\}=0\\
\Leftrightarrow\ &(x-6)(x^2+4x-9)-4(-8x+13)=0\\
\Leftrightarrow\ &x^3-2x^2-x+2=0\\
\Leftrightarrow\ &(x-1)(x+1)(x-2)=0\\
\therefore\ &x=\pm1,2
\end{aligned}


を得る。したがってAは対角化可能である。


\begin{aligned}
A\boldsymbol{x}=\alpha\boldsymbol{x},\ \alpha=\pm1,2
\end{aligned}

を解くことで固有ベクトル


\begin{aligned}
\boldsymbol{p}_{1}=\begin{bmatrix}2\\1\\1\end{bmatrix}
\boldsymbol{p}_{2}=\begin{bmatrix}1\\-1\\1\end{bmatrix}
\boldsymbol{p}_{3}=\begin{bmatrix}1\\0\\1\end{bmatrix}
\end{aligned}

を得る。したがって


\begin{aligned}
J=\begin{bmatrix}
1&0&0\\
0&2&0\\
0&0&-1
\end{bmatrix},\ P=\begin{bmatrix}2&1&1\\1&-1&0\\1&1&1\end{bmatrix}
\end{aligned}

を得る。 

 K=\mathbb{R}の場合をまとめる。


実行列のJordan標準形 実行列Aが実正則行列PによってJordan標準形Jに変換されるならば、Aの特性解はすべて実数であることが必要十分である。

6.3 最小多項式

 nK-行列Aに対し、I,A,A^2,\cdots,A^k,k\in\mathbb{N}の線形結合を行列A多項式と呼ぶ。
 変数x多項式


\begin{aligned}
f(x)=a_0x^k+\cdots+a_{k-1}x+a_k
\end{aligned}

x=Aを代入して得られる行列


\begin{aligned}
f(A)=a_0 A^k+\cdots+a_{k-1}A+a_k
\end{aligned}

多項式f(x)Aでの値と呼ぶ。このとき定数項はa_k A^{0}=a_k Iとする。


行列の多項式の性質
(1)\ Aを行列とする。2つの多項式f(x),g(x)に対して

\begin{aligned}
(f+g)(A)=f(A)+g(A),\ (fg)(A)=f(A)g(A)
\end{aligned}

(2)\ Aを行列、PAと同じ次数の正則行列ならば


\begin{aligned}
f\left(P^{-1}AP\right)=P^{-1}f(A)P
\end{aligned}

(3)\ A,Bが必ずしも次数が等しくない正方行列だとするとき


\begin{aligned}
f(A\oplus B)=f(A)\oplus f(B)
\end{aligned}
(\because (1)は行列の加法に対する性質から明らかである。(2)は(P^{-1}AP)^{i}=P^{-1}A^{i}Pから明らかである。(3)は(A\oplus B)^{i}=A^{i}\oplus{B}^{i}から明らかである。 \blacksquare)


 任意のn次正方行列Aに対しf(A)=Oとなるような多項式f(x)が存在する。実際、行列空間M_n(K)n^2次元であるから、n^2+1個の行列I,A,A^2,\cdots,A^{n^2}の間には自明でない線形関係


\begin{aligned}
a_0 A^{n^2}+a_1 A^{n^2-1}+\cdots+a_{k-1}A+a_0 I=O
\end{aligned}

が存在する。
 f(A)=Oを満たすような多項式f(x)のうち、冪次数が最低で、最高次係数が1であるものをAの最小多項式と呼び、\varphi_A(x)で表す。


最小多項式多項式 f(A)=Oならばf(x)は最小多項式\varphi_A(x)で割り切れる。
(\because f(x)=q(x)\varphi_A(x)+r(x)を満たすような多項式g(x)および冪次数が\varphi_A(x)のそれよりも小さい多項式r(x)(もしくはr(x)=0)が存在する。
 r(A)=f(A)=Oとなるから、\varphi_A(x)の定義により、r(x)=0でなければならない。 \blacksquare)



最小多項式と単因子 行列Aの最小多項式Aの特性行列xI-Aの最後の単因子e_n(x)に等しい。
(\because A(x)=xI-Aとおき、そのn-1行列式因子をd_{n-1}(x)とする。|A(x)|=d_{n-1}(x)e_n(x)であるから、A(x)の余因子行列を\tilde{A}(x)とすれば

\begin{aligned}
A(x)\tilde{A}(x)=d_{n-1}(x)e_n(x)I
\end{aligned}

である。
 一方で行列式因子の定義から


\begin{aligned}
\tilde{A}(x)=d_{n-1}(x)B(x)
\end{aligned}

と表され、B(x)の成分は共通因数を持たない。上式から


\begin{aligned}
A(x){B}(x)=e_n(x)I
\end{aligned}

を得る。この式はx-行列e_n(x)IA(x)=xI-Aで左から割り切れることを意味する。したがって


\begin{aligned}
e_n(A)I=e_n(A)=O
\end{aligned}

である。したがってe_n(x)\varphi(x)で割り切れる。


\begin{aligned}
e_n(x)=q(x)\varphi_A(x)
\end{aligned}

とする。
 \varphi_A(A)=Oであるから、x-行列\varphi_A(x)IA(x)=xI-Aで左から割り切れる、すなわち


\begin{aligned}
\varphi_A(x)I=A(x)Q(x)
\end{aligned}

である。以上から


\begin{aligned}
A(x)B(x)=q(x)A(x)Q(x)
\end{aligned}

である。A(x)=xI-Aの最高次係数行列はIであるから、


\begin{aligned}
B(x)=q(x)Q(x)
\end{aligned}

である。B(x)の成分は共通因数を持たないから、q(x)=1でなければならない。したがって\varphi_A(x)=e_n(x)を得る。 \blacksquare)


Hamilton-Cayleyの定理 任意の行列Aは、その特性多項式\Phi_A(x)=|xI-A|の零点である。

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