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【ロシア・メモ】スターリンの北海道侵攻

 昨日、興味深いニュースを見た。

www.yomiuri.co.jp

第2次大戦まで北海道根室市北方領土国後島を結んでいた通信用海底ケーブルの中継拠点「根室国後間海底電信線 陸揚りくあげ 施設」で9日、市などによる調査が行われ、ケーブルの一部が地中から発見された。施設は近く国の登録有形文化財となる見通しで、市はケーブルの一般公開を検討している。(・・・中略・・・)ケーブルは、根室市から国後島を経由して択捉島まで延びていたが、旧ソ連が占領後に切断したという。

1. ソ連と北海道

 ロシア・ソ連が永年北海道を狙ってきたのは事実であろう。
 一つの始まりは第二次世界大戦での敗北であった。より具体的に言えば、ヤルタ会談である。産経新聞はこのように表現している*1

(引用者註:1945年)2月8日朝、スターリンは書斎を子供のようにぐるぐる回り、何度も快哉(かいさい)を叫んだ。

 「ハラショー(いいぞ)、オーチン(すごいぞ)、ハラショー!」。握りしめていたのは米大統領フランクリン・ルーズベルトからの手紙だった。「米政府は日本の占領下にある南樺太と千島列島についてソ連の領有権を承認する」と記されていた。

 米ソ両首脳による対日参戦に関する非公式会談でも千島列島の扱いはあっさり了承された。

 しかし、これで終わらなかった。トルーマン米大統領(当時)は1945年8月15日に日本軍の降伏地域を規定した「一般命令第1号」をスターリンソ連首相(当時)に対し送付した。これに対して、スターリンは露骨に北海道の領有を主張した*2

I received your message with “General Order No. 1.” In the main I do not object to the content of the order. With this, one has in mind that Liaodong Peninsula is a constituent part of Manchuria. However, I propose to introduce the following amendments to “General Order No. 1”:

1. Include all of the Kurile Islands, which, according to the decision of the third powers in the Crimea must pass into the possession of the Soviet Union, into the region of surrender by
Japanese armed forces to Soviet forces.

2. Include the northern half of the island of Hokkaido, which adjoins in the North the Laperouse Strait, located between Karafuto and Hokkaido, into the region of surrender by Japanese armed forces to Soviet forces. The demarcation line between the northern and southern halves of the island of Hokkaido is to be drawn along the line, extending from the town of Kushiro on the eastern coast of the island until the town of Rumoe [sic] on the western coast of the island, including the said towns in the northern half of the island.

意訳も含めてまとめると、

  • 「一般命令第1号」には概ね同意する。しかし以下の修正を提案する:
  • (1) クリミアにおける三極間における決議(註:ヤルタ会談のこと)によれば千島列島全島はソ連に明け渡されなければならない。
  • (2) 宗谷海峡の北部を加えた北海道の北半分はソ連に明け渡されなければならない。半分を規定する境界は釧路から留萌までを結んだ線(両都市を含む)である。

これに対してトルーマンは否定の返事を送った*3

TOP SECRET

Dear Mr. Molotov:

I have just received the following message from the President [the word “President” crossed out by Stalin in blue pencil] to Generalissimus Stalin:

“TOP SECRET FOR GENERALISSIMUS STALIN FROM PRESIDENT TRUMAN:

“Replying to your message of August 16, I agree to your request to modify General Order Number 1 to include all the Kurile Islands in the area to be surrendered to the Commander-in-Chief of the Soviet Forces in the Far East. However, I should like it to be understood that the United States Government desires air base rights for land and sea aircraft on some one of the Kurile Islands, preferably in the central group, for military purposes and for commercial use. [underlined by Stalin] I should be glad if you would advise me that you will agree to such an arrangement, the location and other details to be worked out through the appointment of special representatives of our two Governments for this purpose.

“Regarding your suggestion as to the surrender of Japanese forces on the Island Hokkaido [underlined by Stalin] to Soviet forces, it is my intention and arrangements have been made for the surrender of Japanese forces on all the islands of Japan proper, Hokkaido, Honshu, Shikoku and Kyushu, to General MacArthur.

“General MacArthur employs for temporary occupation of Japan proper selected allied armed forces, which, of course, will include Soviet forces, insomuch as he considers it necessary [underlined by Stalin] in order to accomplish our Allied surrender terms.”

Will you please transmit this message to the Generalissimus.

Sincerely Yours, W.A. Harriman

His Excellency

それにもかかわらずスターリンは北海道への侵攻を命令した。これにより生じたのが「占守島の戦い」であった。

2. 北海道を巡る米国とソ連

 これにより北海道を巡り、米国とソ連の水面下での争いが始まる。その例が、関三次郎の亡命事件であった。

www.kawade.co.jp

かいつまんでしまえば以下の通りである*4

北海道生まれの関(註:三次郎)は漁師となり、1922年(大正11年)、19歳の時に乗っていたカニ工船が転覆して行方不明となるが、樺太で生きていた。終戦後はサハリンと稚内などを往復する密航船で荒稼ぎをしていたが、これを見つけたCICに脅され、スパイ協力者になったらしい。

著者は関と6回会った。関は自分の供述調書をねつ造したのは、「アメリカの謀略機関と日本の警察だべ」と証言していた。さらに関は、ソ連船ではなく、日本の船でサハリンから宗谷沿岸に来たと言っている。リュックや金は、経由した礼文島で渡されたという。上陸地点を誤り、捕まった関は途中からCICなどによって、ソ連スパイの脅威をアピールする存在にすりかえられたようだ。激しい謀略戦が展開されていた。

敗戦で樺太に残留となった日本人が無法地帯で生き抜くためには、ソ連の官憲とのつながりを持たざるを得なかった。関は核心部分では口を濁したが、米ソ両国のダブルエージェントだった可能性もある。

改めて、北海道が重要な「国境」であることを思い知らされたのであった。

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