統計学に習熟するには線形代数の習得が不可欠である。が、初等的な線形代数ではカバーしきれないような分野も存在する。そこで以下の参考書
を基により高等な線形代数を学ぶ。
5. 一般化逆行列
5.4 分割行列のMoore-Penrose形一般化逆行列
行列がと行列と行列で分割されているものとする。場合によっては部分行列からを表現するのが便利になる。
( と行列および行列で分割すると、である。-型一般化逆行列の定義からであることに注意すれば、
を得る。一番右の連立方程式の1番目の式において両辺を転置し、を左から掛けることで
を得る。またであるから、
を得、
が成立する。これにより
を得る。したがって前に得たの両辺に左からを掛けて
次に、
が成立するから、
よりおよびが対称行列であることが分かる。したがって定理5.10*1より、を得る。また
より、
であり、この両辺の転置を取ることで
を得、この両辺にを左から掛けることで
を得る。
でありを両辺に左から掛けることで
であるから、
である。更に
より、すなわちが得られる。したがって
であり、
よりは対称行列であるから、転置を取ることで
を得、更にをこれに右から掛けることで
である。
より、を得る。またより、
である。
他方で対称性から
を得る。いまおよびの定義から、
である。またより
であるから、
を得る。最後の等式では、
を用いた。最後の等式
において両辺の転置を取り、を用いることで、
で、ここにを代入することで
であり、に関して整理すれば、とおいて
を得る。この等式の両辺にを右から掛けて、
を用いることで
を得る。は単位行列と非負定値行列の和であるから、正定値でなければならず、したがって正則である。すなわちこの式は以下のように変形できる。
ここでとが可換であるから、とが可換であることを用いた。また定義から
に注意すれば、
である。これを代入することで
である。 )
また-型一般化逆行列の定義から、特殊な例として以下が成り立つ。