「大人の教養・知識・気付き」を伸ばすブログ

一流の大人(ビジネスマン、政治家、リーダー…)として知っておきたい、教養・社会動向を意外なところから取り上げ学ぶことで“気付く力”を伸ばすブログです。目下、データ分析・語学に力点を置いています。今月(2022年10月)からは多忙につき、日々の投稿数を減らします。

MENU

時系列解析の基礎(21/XX)

 以下の書籍

を中心に時系列解析を勉強していきます。

12. 線形・Gauss型状態空間モデルの一括解法

12.1 Wienerフィルタ

 線形・\mathrm{Gauss}型状態空間モデルにおいて、データの真の値と点推定値との平均二乗誤差を最小にするという意味で一括推定法は\mathrm{Wiener}フィルタと呼ばれる。\mathrm{Wiener}フィルタは定常な時系列を前提としている。参考として\mathrm{Wiener}フィルタの概要を述べる。

12.1.1 z変換

 まず離散データに対する一般的な周波数領域変換として\mathrm{z}変換を


\begin{aligned}
\mathcal{Z}\left[x_t\right]=\displaystyle{\sum_{t=-\infty}^{\infty}x_t z^{-t}},\ z\in\mathbb{C}
\end{aligned}

で定義する。
 定義より


\begin{aligned}
\mathcal{Z}\left[x_{t-k}\right]=z^k\mathcal{Z}\left[x_{t}\right]
\end{aligned}

が成り立つ。
 任意の周期的な時系列データy_t\mathrm{Fourier}変換を\mathcal{F}\left[y_t\right]


\begin{aligned}
\mathcal{F}(\omega)=\displaystyle{\frac{1}{2\pi}\int_{-\infty}^{\infty}y(t)e^{-\omega t}dt}
\end{aligned}

とするとき、周波数スペクトルのエネルギーである\left|\mathcal{F}\left[y_t\right]\right|^2を時間で割って規格化しその極限を取ったパワースペクトルS(t)について、R(k)を定常過程の相関関数として


\begin{aligned}
S(z)=\mathcal{Z}\left[R(k)\right]
\end{aligned}

が成り立つという\mathrm{Wiener}-\mathrm{Khinchin}の定理が知られている。
 入力をx_t、そのインパルス応答をh_t、そして出力をy_tとするとき、入出力の関係が線形で、入力を時間シフトさせると同じ間隔だけ出力も時間シフトする場合、そのようなシステムを線形時不変システムと呼ぶ。線形時不変システムの出力は、その定義から畳み込み和


\begin{aligned}
y_t=\displaystyle{\sum_{t=-\infty}^{\infty}x_kh_{t-k}}=x_t*h_t
\end{aligned}

で定義できる。ここで*は畳み込み和の演算子を表す。
 時間領域における畳み込みは、z変換の定義から周波数領域では積で表すことができる、すなわち


\begin{aligned}
\mathcal{Z}\left[y_t\right]&=\mathcal{Z}\left[x_t*h_t\right]\\
&=\mathcal{Z}\left[\displaystyle{\sum_{k=-\infty}^{\infty}x_{k}h_{t-k}}\right]\\
&=\displaystyle{\sum_{t=-\infty}^{\infty}\left(\sum_{k=-\infty}^{\infty}x_{k}h_{t-k}\right)z^{-t}}\\
&=\displaystyle{\sum_{k=-\infty}^{\infty}x_{k}\left(\sum_{t=-\infty}^{\infty}h_{t-k}z^{-t}\right)}\\
&=\displaystyle{\sum_{k=-\infty}^{\infty}x_{k}\left(\sum_{t=-\infty}^{\infty}h_{t-k}z^{-t}\right)}\\
&=\displaystyle{\sum_{k=-\infty}^{\infty}x_{k}z^{-k}\left(\mathcal{Z}\left[h_t\right]\right)}\\
&=\left(\mathcal{Z}\left[h_t\right]\right)\left(\displaystyle{\sum_{k=-\infty}^{\infty}x_{k}z^{-k}}\right)\\
&=\mathcal{Z}\left[h_t\right]\mathcal{Z}\left[x_{k}\right]
\end{aligned}

が成り立つ。ここで\mathrm{z}変換がzの関数でもあることから、\mathcal{Z}\left[h_t\right]zの関数と見てH(z)とおけば


\begin{aligned}
\mathcal{Z}\left[y_t\right]=H(z)\mathcal{Z}\left[x_{k}\right]
\end{aligned}

と書ける。このH(z)伝達関数と呼ぶ。

12.1.2 Wiener平滑化

 入力値x_tにホワイトノイズv_tが付加されてy_tとして観測されるような状況を考える。またこの観測値y_t\mathrm{Wiener}フィルタh_tを透過させると元データx_tの点推定値である所望信号d_t*1を得るものする。


\begin{aligned}
y_t&=x_t+v_t\\
d_t&=h_t * y_t
\end{aligned}

 このとき\mathrm{Wiener}フィルタの伝達関数H(z)=\mathcal{Z}[h_t]


\begin{aligned}
H(z)&=\displaystyle{\frac{S_{xx}(z)}{S_{xx}(z)+S_{vv}(z)}}\\
&=\displaystyle{\frac{1}{1+\displaystyle{\frac{S_{vv}(z)}{S_{xx}(z)}}}}
\end{aligned}

で表される。ここでS_{xx}(z)は入力のパワースペクトルS_{vv}(z)はホワイトノイズのパワースペクトルである。この伝達関数は、S_{vv}(z)\geq0が大きくなればなるほど、雑音と元データのパワー比に応じてH(z)を小さくするから、観測値を抑圧するようなフィルターと言える。
 元データx_t\mathrm{AR}(1)モデルに従う場合を考える。この場合、


\begin{aligned}
x_t=\phi x_{t-1}+w_t,&w_t\sim N(0,W),\\
y_t=x_t+v_t,&v_t\sim N(0,V)
\end{aligned}

という線形・\mathrm{Gauss}型状態空間モデルを考えていることになる。ここで定常性を確保すべく|\phi|\lt1と仮定する。
 このとき


\begin{aligned}
d_t&=\displaystyle{\frac{(\phi^{-1}-\beta)(\phi-\beta)}{1-\beta^2}\sum_{k=-\infty}^{\infty}\beta^{|k|}y_{t+k}},\\
\beta&=\displaystyle{\frac{1}{2}\left\{\left(\displaystyle{\frac{1}{r\phi}}+\phi^{-1}+\phi\right)-\sqrt{\left(\displaystyle{\frac{1}{r\phi}}+\phi^{-1}+\phi\right)^2-4}\right\}},\\
r&=\displaystyle{\frac{V}{W}}
\end{aligned}

とおいた。

*1:知りたい信号をこの分野では所望信号というらしい。

プライバシーポリシー お問い合わせ