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時系列解析の基礎(16/XX)

 以下の書籍

を中心に時系列解析を勉強していきます。

8. GARCHモデル

8.2 GARCHモデル

8.2.2 GARCHモデル

 金融データのボラティリティは長期に渡って比較的大きな制の自己相関を持つことが多いため、\mathrm{ARCH}モデルを当てはめると次数が大きくなる傾向があり、各母数の解釈が困難になる上、推定精度などに問題が生じる恐れがある。したがってより少ないパラメータ数で可能な限り柔軟に記述できるモデルとして\mathrm{GARCH}モデルを\mathrm{Bollerslev(1986)}が提案した。\mathrm{GARCH}(r,m)モデルは


\begin{aligned}
h_t=\omega+\beta_{1}h_{t-1}+\cdots+\beta_{r}h_{t-r}+\alpha_{1}u_{t-1}^2+\cdots++\alpha_{m}u_{t-m}^2
\end{aligned}

で定義される。\mathrm{GARCH}モデルは、前期のショックの大きさのみならず、前期の条件付き分散も今期の条件付き分散に影響を与える点が特徴的である。これにより、より少ないパラメータ数で条件付き分散の長期に渡る自己相関を記述することが可能になる。
 \mathrm{GARCH}モデルにおいても、\mathrm{ARCH}モデルと同様にh_th_1から逐次的に計算する。\mathrm{GARCH}モデルの場合、hおよびu^2の双方の初期値が必要となるが、いずれもy_t-\mu_tの標本分散を用いる。またh_t\gt0を保証するためには、\mathrm{GARCH}モデルにパラメータ制約を課す必要があり、\omega\gt0,\alpha_j\geq0,\beta_j\geq0が仮定される。
 \mathrm{GARCH}モデルはu_t^2\sim\mathrm{ARMA}(p,r),\ p=\max(r,m)とモデル化したものである点に注意されたい。


\begin{aligned}
w_t=u_t^2-h_t=u_t^2-E[u_t^2|u_{t-1},u_{t-2},\cdots]
\end{aligned}

とおけば、


\begin{aligned}
u_t^2=&\omega+(\alpha_1+\beta_1)u_{t-1}^2+(\alpha_2+\beta_2)u_{t-2}^2+\cdots+(\alpha_p+\beta_p)u_{t-p}^2\\
&+w_t-\beta_{1}w_{t-1}-\cdots-\beta_{r}w_{t-r}
\end{aligned}

が成り立つことからも明らかである。またこの結果から、\mathrm{AR}係数は\alpha_j+\beta_jに等しく、\mathrm{MA}係数は-\beta_jに等しい。
 実証研究では、\mathrm{GARCH}(1,1)が用いられることが多い。解釈がより容易なのと、u_t^2の予測精度が最も良いモデルが\mathrm{GARCH}(1,1)になることが多いためである。そこで以降、\mathrm{GARCH}(1,1)モデル


\begin{aligned}
h_t=\omega+\beta h_{t-1}+\alpha u_{t-1}^2
\end{aligned}

に関して議論する。
 まず本モデルの定常条件は、


\begin{aligned}
u_t^2=\omega+(\alpha+\beta)u_{t-1}^2+w_t-\beta w_{t-1}
\end{aligned}

であることを踏まえると、\mathrm{GARCH}(1,1)モデルの\mathrm{AR}係数は\alpha+\betaであるから、したがって


\begin{aligned}
\alpha+\beta\lt1
\end{aligned}

が定常条件である。特殊な場合として、\alpha+\beta=1とすることもでき、このようなモデルを\mathrm{IGARCH}モデルという。
 u_t^2が定常な\mathrm{GARCH}(1,1)モデルの場合、


\begin{aligned}
E\left[u_t^2\right]=\displaystyle{\frac{\omega}{1-\alpha-\beta}}
\end{aligned}

で与えられる。
 一般に多くの市場に関する研究では、負のショックの方がより大きな影響を持つことが多く、このようなときをレバレッジ効果と呼ぶ。こうしたレバレッジ効果をより上手く捉えるべく、\mathrm{Glosten,et\ al.(1993)}は新たなモデル


\begin{aligned}
h_t=\omega+\beta h_{t-1}+\alpha u_{t-1}^2+\gamma u_{t-1}^2\cdot I_{t-1}
\end{aligned}

を提案した。これを\mathrm{GJR}モデルという。ここで


\begin{aligned}
I_{t-1}=\begin{cases}
1,&u_{t-1}\lt0\\
0,&u_{t-1}\geq0
\end{cases}
\end{aligned}

は確率的なダミー変数と呼べるような変数である。この結果、条件付き分散h_tに対する正のショックの影響は\alphaで、負のショックの影響は\alpha+\gammaとなる。したがって\gamma\gt0おとき、負のショックは性のショックよりも条件付き分散に対して大きな影響を持つことになる。\omega\gt0,\alpha\geq0,\beta\geq0,\alpha+\gamma\geq0である。
 他には以下のような派生モデルが良く用いられる。まず\mathrm{EGARCH}モデルは


\begin{aligned}
\log h_t=\omega+\beta\log h_{t-1}+\gamma v_{t-1}+\delta(|v_{t-1}|-E[v_{t-1}])
\end{aligned}

で与えられるもので、h_tの対数をモデル化することでパラメータに制約を課さずとも、h_T\gt0が保障される。
またショックとしてv_{t-1}が用いられており、絶対値の形で与えられている。\gammaレバレッジ効果を捉えるパラメータであり、\gamma\lt0であるとき、負のショックは性のショックよりも条件付き分散に大きな影響力を持つ。
 もう1つは\mathrm{GARCH}-\mathrm{M}モデルで、たとえば\mathrm{GARCH}(1,1)-\mathrm{M}モデルは


\begin{aligned}
\begin{cases}
y_t&={}^{t}\boldsymbol{x}_t\boldsymbol{\beta}+\delta h_t+u_t\\
u_t&=\sqrt{h_t}v_t\\
h_t&=\omega+\beta h_{t-1}+\alpha u_{t-1}^2
\end{cases}
\end{aligned}

で定義される。ここで\boldsymbol{x}_tは条件付き期待値を説明する変数からなるベクトルである。条件付き期待値に含まれるh_t\sqrt{h_t}\log h_tに置き換えられる場合もある。

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