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時系列解析の基礎(15/XX)

 以下の書籍

を中心に時系列解析を勉強していきます。

8. GARCHモデル

 ファイナンスでは標準偏差が果たす役割が大きく、また金融市場ではボラティリティが重要な役割を担う。たとえばリターンが大きく変動する時期が集中することが多く、これをボラティリティクラスタリングという。これをモデル化すべく、ボラティリティ変動モデルが導入された。

8.1 ボラティリティのモデル化の重要性

 株式リターンy_tをモデル化することを考える。効率的市場仮説が正しいと仮定すれば、現在の下部あkは現在利用可能な情報を反映して適切に決まっているため、株式リターンの予測は難しい。このとき株式リターンは



\begin{aligned}
y_t=\mu+u_t,\ u_t\sim W.N.(\sigma^2)
\end{aligned}


とモデル化できる。
 実データを解析すると、株式収益率は1次の弱い負の自己相関を持つ以外は目立った自己相関は見受けられない。しかし効率的市場仮説はu_t^2=(y_t-\mu)^2の予測可能性を排除しなく、また実データを見ると長い期間にわたって比較的高い自己相関を持つ。そのため、h_t=E[u_t^2|u_{t-1},u_{t-2},\cdots]をモデル化する必要がある。
 条件付きボラティリティをモデル化する意義には

ことがある。
 ボラティリティ変動モデルは条件付き分散を通じて条件付きボラティリティをモデル化する。一般に



\begin{aligned}
y_t=\mu_t+u_t=\mu_t+\sqrt{h_t}v_t,\ v_t\sim i.i.d.\ N(0,1)
\end{aligned}


とモデル化する。ここで\mu_tは条件付き期待値のモデルであり、このときh_t,v_tが(条件付き)独立であるとすれば、



\begin{aligned}
E\left[(y_t-\mu_t)^2|y_{t-1},y_{t-2},\cdots\right]&=E[u_t^2|y_{t-1},y_{t-2},\cdots]\\
&=E[h_t|y_{t-1},y_{t-2},\cdots]E[v_t^2|y_{t-1},y_{t-2},\cdots]\\
&=E[h_t|y_{t-1},y_{t-2},\cdots]
\end{aligned}


が成り立つから、h_tの条件付き期待値は条件付き分散である。
 そこでh_tをモデル化すればよい。そのモデル化は2種類のタイプに大別できる。

8.2 GARCHモデル

8.2.1 ARCHモデル

 \mathrm{Engle}(1982)が導入したのが\mathrm{ARCH}モデルであり、\mathrm{AR}モデルの考え方を分散のモデルに応用したもので、



\begin{aligned}
h_t=\omega+\alpha_{1}u_{t-1}^2+\cdots+\alpha_{m}u_{t-m}^2
\end{aligned}


とモデル化したものである。これは



\begin{aligned}
w_t=u_t^2=u_t^2-E[u_t^2|u_{t-1},u_{t-2},\cdots]
\end{aligned}


とおけば、



\begin{aligned}
u_t^2=\omega+\alpha_{1}u_{t-1}^2+\cdots+\alpha_{m}u_{t-m}^2+w_t
\end{aligned}


と書き直すことができることから、\mathrm{ARCH}(m)モデルは攪乱項の二乗u_t^2\mathrm{AR}(m)過程でモデル化したものである。h_th_1から逐次的に計算していくが、それにはu^2の初期値が必要になり、y_t-\mu_tの標本分散が用いられることが多い。またh_tは条件付き分散であるから、正でなければならない。そのために\omega\gt0,\alpha_j\geq0との仮定を置くことが多い。
 攪乱項u_tについて、u_t^2=\omega+\alpha_{1}u_{t-1}^2+\cdots+\alpha_{m}u_{t-m}^2+w_t\mathrm{AR}モデルと考えられることから、u_t^2が定常であるためには特性方程式


\begin{aligned}
1-\alpha_{1}z-\alpha_{2}z^2-\cdots-\alpha_{m}z^m=0
\end{aligned}

のすべての解の絶対値が1よりも大きくなければならない。\alpha_j\geq0が条件として課されている場合、この条件は


\begin{aligned}
\alpha_1+\cdots+\alpha_m\lt1
\end{aligned}

と同値になる。このときには


\begin{aligned}
E[u_t^2]=\displaystyle{\frac{\omega}{1-\alpha_{1}z-\alpha_{2}z^2-\cdots-\alpha_{m}z^m}}
\end{aligned}

で与えられる。
 最後に区間予測と分位点の算出を考える。例として


\begin{aligned}
\begin{cases}
y_t&=u_t=\sqrt{h_t}v_t,v_t\sim i.i.d. N(0,1)\\
h_t&=0.5+0.5u_{t-1}^2,|\beta|\lt1
\end{cases}
\end{aligned}

という簡単なモデルを考える。
 まず


\begin{aligned}
E[y_t]&=E[u_t]=E[\sqrt{h_t}v_t]=0,\\
E[y_t^2]&=E[u_t^2]=\displaystyle{\frac{0.5}{1-0.5}}=1
\end{aligned}

であるから、y_tの条件なし分布は標準正規分布であった。そのため何も情報が無ければ、1期間先の95\%予測区間(-1.96,1.96),\ 1\%分位点は-2.33である。
 ではこれがy_t=u_tの値によりどのように変化するかを考える。まずは一般的な結果を考えると、


\begin{aligned}
E[y_{t+1}|\mathit{\Omega}_t]=0
\end{aligned}

である。次に


\begin{aligned}
E[y_{t+1}^2|\mathit{\Omega}_t]=0.5+0.5u_t^2=0.5+0.5y_t^2
\end{aligned}

が成立する。したがって\mathit{\Omega}_tを所与としたときのy_{t+1}の条件付き分布はN(0,0.5+0.5y_t^2)である。そのため条件付き分散は1期先予測の平均二乗誤差と考えることができるから、


\begin{aligned}
\left(-1.96\sqrt{0.5+0.5y_t^2},1.96\sqrt{0.5+0.5y_t^2}\right)
\end{aligned}

で与えられる。同様に1\%分位点は-2.33\sqrt{0.5+0.5y_t^2}で得られる。
 \mathrm{ARCH}構造がモデルに組み込まれると、今期のショック規模が次期のショックの平均的な規模に影響を及ぼし、両者に正の自己相関が生じる。

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