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やりなおしの数学・微分積分篇(52/X)

 以下の書籍を参考に、改めて微分積分を復習していく。

今日のまとめ

  • 収束半径r\gt0を持ち、|x|\lt rで無限回微分可能な関数f(x)
    \begin{aligned}f(x)=\displaystyle{\sum_{n=0}^{\infty}\frac{f^{(n)(0)}}{n!} x^n },\ |x|\lt r\end{aligned}
    と展開されるとき、関数f(x)解析的関数と呼ぶ。
  • 線形空間Xにおいて実数値関数\|\cdot\|:X\rightarrow[0,\infty)が3つの条件:①{}^{\forall}x\in X\|x\|\geq0,\|x\|=0\Leftrightarrow x=0*1、②{}^{\forall}x\in X,{}^{\forall}\alpha\in\mathbb{R}\left(\|\alpha x\|=|\alpha|\|x\|\right)、③{}^{\forall}x,{}^{\forall}y\in X\left(\|x+y\|\leq\|x\|+\|y\|\right)を満たすとき、\|\cdot\|X上のノルムといいXをノルム空間という。

9. 関数列の収束

 本節では関数の数列(関数列)に関する収束概念を扱う。

9.8 整数級

9.8.1 具体的な展開

 具体的な関数を展開してみる、すなわち|x|\lt rで無限回微分可能な関数f(x)について



\begin{aligned}
f(x)=\displaystyle{\sum_{n=0}^{\infty}a_n x^n },\ |x|\lt r
\end{aligned}


と展開することを考える。ここでrf(x)の収束半径である。
 前回示した定理から、f(x)が上記の形で書けるとき、a_n=\displaystyle{\frac{f^{(n)(0)}}{n!}}が成り立つ。こうして



\begin{aligned}
f(x)=\displaystyle{\sum_{n=0}^{\infty}\frac{f^{(n)(0)}}{n!} x^n },\ |x|\lt r
\end{aligned}


が成り立つ。このように展開される関数f(x)解析的関数と呼ぶ。すべての無限回微分可能な関数がすべて解析関数というわけではない。
 \mathrm{Maclaurin}展開と比較することで



\begin{aligned}
f(x)=f(0)+f^{\prime}(0)x+\displaystyle{\frac{f^{(2)}(0)}{2!}}+\cdots+\displaystyle{\frac{f^{(n-1)}(0)}{(n-1)!}}+R_n(x)
\end{aligned}


を得る。ここで



\begin{aligned}
R_n(x)=\displaystyle{\frac{x^n}{(n-1)!}\int_0^1(1-\theta)^{n-1}f^{(n)}(\theta x)d\theta}
\end{aligned}


と書かれる剰余項である。もし|x|\lt r\displaystyle{\lim_{n\rightarrow\infty}}R_n(x)=0が成り立てば、f(x)は解析関数であると言える。

例:
 等比級数1+x+x^2+\cdots+x^{n}=\displaystyle{\frac{1-x^{n+1}}{1-x}}より、|x|\lt1ならば\displaystyle{\frac{1-x^{n+1}}{1-x}}\rightarrow\displaystyle{\frac{1}{1-x}}(n\rightarrow\infty)であるから、



\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{1}{1-x}}=\displaystyle{\sum_{n=1}^{\infty}x^n},\ |x|\lt1
\end{aligned}


が成り立つ。いま右辺の係数はa_n=1であるから\displaystyle{\frac{a_{n+1}}{a_n}}=1より右辺の収束半径は1である。したがって両辺をk微分することで



\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{k!}{(1-x)^{k+1}}}=\displaystyle{\sum_{n=1}^{\infty}n(n-1)\cdots(n-k+1)x^{n-k}}=\displaystyle{\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(n+k)!}{n!}}x^n,\ |x|\lt1
\end{aligned}


を得、



\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{1}{(1-x)^{k+1}}}=\displaystyle{\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(n+k)!}{n!k!}}x^n,\ |x|\lt1
\end{aligned}


である。
 またx=-xと置き換えることで



\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{1}{1+x}}=\displaystyle{\sum_{n=1}^{\infty}(-1)^nx^n},\ |x|\lt1
\end{aligned}


である。両辺を積分することで



\begin{aligned}
\displaystyle{\log(1+x)}=\displaystyle{\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^n}{n+1}x^{n+1}},\ |x|\lt1
\end{aligned}


が得られる。特にx=1のとき\displaystyle{\sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^{n-1}}{n}}は交項級数の定理から収束する。\mathrm{Abel}の連続性定理から0\leq x\leq1で右辺が連続であることが分かる。一方で\log(1+x)0\leq x\leq1で連続であるからx=1でも成立する。以上から、



\begin{aligned}
\log2=\displaystyle{\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^n}{n+1}}
\end{aligned}


が得られた。

9.9 関数空間C(I)と縮小写像の原理

 連続関数空間C(I)とその上でのノルムを導入し、関数列の一様収束を整理する。その上で縮小写像の原理と逐次近似法を導入する。

9.9.1 関数空間

 I=[a,b]\subset\mathbb{R}について、I上で定義された実数値連続関数の全体をC(I)と表す。f(x),g(x)\in C(I)と実数\alpha,\beta\in\mathbb{R}に対して関数\alpha f+\beta gを、x\in Iに対して



\begin{aligned}
(\alpha f+\beta g)(x)=\alpha f(x)+\beta g(x)
\end{aligned}


で定義する。この演算によりC(I)\mathbb{R}上の線型空間となる。f(x)\in C(I)に対してそのノルム\|f\|



\begin{aligned}
\|f\|=\displaystyle{\sup_{x\in I}|f(x)|}
\end{aligned}


で定義する。このノルム\|\|について

  • {}^{\forall}f\in C(I)\left( \|f\|\geq0\right),\|f\|=0\Leftrightarrow {}^{\forall}x\in I\left(f(x)=0\right)
  • {}^{\forall}\alpha\in I\land {}^{\forall}f\in C(I)\left(\|\alpha f\|=|\alpha|\|f\|\right)
  • {}^{\forall}f,g\in C(I)\left(\|f+g\|\leq\|f\|+\|g\|\right)


が成り立つ。
 更に以下の2つの命題が成り立つ:

  • {}^{\forall}f_1,\cdots,{}^{\forall}f_n\in C(I)\left(\|f_1+\cdots+f_n\|\leq\|f_1\|+\cdots+\|f_n\|\right)
  • {}^{\forall}f,{}^{\forall}g\in C(I)\left(\left|\|f\|-\|g\|\right|\leq\|f-g\|\right)


 より一般的に線形空間Xにおいて実数値関数\|\cdot\|:X\rightarrow[0,\infty)が3つの条件


を満たすとき、\|\cdot\|X上のノルムといいXをノルム空間という。

 ノルム空間Xにおいても点列の収束などを定義できる。


ノルム空間における収束 ノルム空間Xの点列\{u_n\}_{n=1,2,\cdots}について



\begin{aligned}
\displaystyle{\lim_{n\rightarrow\infty}\left\|u_n-u\right\|}=0
\end{aligned}


が成り立つとき、\{u_n\}_{n=1,2,\cdots}u\in Xに収束するという。
 より厳密には、 ノルム空間Xの点列\{u_n\}_{n=1,2,\cdots}について、



\begin{aligned}
{}^{\forall}\varepsilon\in\mathbb{R}\land\varepsilon\gt0\left({}^{\exists}N\in\mathbb{N}\left(n\geq N\Longrightarrow\|u_n-u\|\lt\varepsilon\right)\right)
\end{aligned}


が成立するとき、\{u_n\}_{n=1,2,\cdots}u\in Xに収束するという。

 また\mathrm{Cauchy}列も定義することができる。



ノルム空間における\mathrm{Cauchy} ノルム空間Xの点列\{u_n\}_{n=1,2,\cdots}



\begin{aligned}
\displaystyle{\lim_{n\rightarrow\infty,m\rightarrow\infty}\|u_n-u_m\|}=0
\end{aligned}


が成立するとき、点列\{u_n\}_{n=1,2,\cdots}\mathrm{Cauchy}列という。
 より厳密には、ノルム空間Xの点列\{u_n\}_{n=1,2,\cdots}



\begin{aligned}
{}^{\forall}\varepsilon\in\mathbb{R}\land\varepsilon\gt0\left({}^{\exists}N\in\mathbb{N}\left(m,n\geq N\Longrightarrow\|u_n-u_m\|\lt\varepsilon\right)\right)
\end{aligned}


を満たすとき、\{u_n\}_{n=1,2,\cdots}\mathrm{Cauchy}列であるという。


 ノルム空間Xについて、u\in X\varepsilon\gt0に対してu\varepsilon-近傍を



\begin{aligned}
U_{\varepsilon}(u)=\left\{v\in X|\|v-u\|\lt\varepsilon\right\}
\end{aligned}


と定義する。これを用いることで点列の収束をよりコンパクトに表現できる。



点列の収束(\varepsilon-近傍) ノルム空間X上の点列\{u_n\}_{n=1,2,\cdots}u\in Xに収束するとは、



\begin{aligned}
{}^{\forall}\varepsilon\gt0\left({}^{\exists}N\in\mathbb{N}\left(n\geq N\Longrightarrow u_n\in U_{\varepsilon}(u)\right)\right)
\end{aligned}


が成立することをいう。


 もしノルム空間Xが連続関数空間C(I)の場合には、

  1. \{f_n\}_{n=1,2,\cdots}\subset C(I)f\in C(I)に収束することの必要十分条件\{f_n\}_{n=1,2,\cdots}fに一様収束することである。
  2. \{f_n\}_{n=1,2,\cdots}\subset C(I)C(I)における\mathrm{Cauchy}列であるための必要十分条件\mathrm{Cauchy}の判定法、すなわち
    \begin{aligned}{}^{\forall}\varepsilon\gt0\left({}^{\exists}N\in\mathbb{N}\left({}^{\forall}x\in C(I),{}^{\forall}n,m\geq N\left(\|f_n-f_m\|\lt\varepsilon\right)\right)\right)\end{aligned}
    が成り立つことである。


が成立する。

*1:ここで0\in XXにおける零元を表す。

*2:ここで0\in XXにおける零元を表す。

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