今日のまとめ
- 一般にノルム空間において収束列は列となる。
- 任意の列が収束列であるとき、そのノルム空間は完備であるという。また完備なノルム空間を空間という
9. 関数列の収束
本節では関数の数列(関数列)に関する収束概念を扱う。
9.9 関数空間C(I)と縮小写像の原理
連続関数空間とその上でのノルムを導入し、関数列の一様収束を整理する。その上で縮小写像の原理と逐次近似法を導入する。
9.9.1 関数空間
一般にノルム空間において収束列は列となる。
ノルム空間における列と収束列 ノルム空間における点列を内の収束列とするとき、は列である。
が成立する。三角不等式から、
が成り立つから、は列である。 )
逆が成り立つとき、すなわち任意の列が収束列であるとき、そのノルム空間は完備であるという。また完備なノルム空間を空間という。関数空間は完備である。
関数空間の完備性 で定義された実数値連続関数の集合内の任意の列は収束列である、すなわちは完備である。
であるから、は収束列である。 )
ノルム空間においても開集合および閉集合を定義できる。
()
をの閉集合とする。の点列がに収束すると仮定する。もしとすればが成り立つ。は開集合であるから、
が成り立つ。
一方で収束性の定義から、
が成立する。であるからが成立するものの、これはに矛盾する。したがってが成り立つ。
) 対偶、すなわちが閉集合でなければの点列でその極限がに属さないものが存在することを示す。がの閉集合でなければ、はの開集合でない。そのため
が成立、すなわちがに対して成立する。特に任意の自然数に対してと取れば、であるようなが存在し、
であるから、が成立する。したがってに収束するの点列が存在することが分かった。 )