統計学に習熟するには線形代数の習得が不可欠である。が、初等的な線形代数ではカバーしきれないような分野も存在する。そこで以下の参考書
を基により高等な線形代数を学ぶ。
3. 固有値と固有ベクトル
3.4 対称行列の固有値に関する付加的定理
これよりもさらに一般化した、の定理の一般形を扱う。
( 次対称行列の固有値に対応する正規直交固有ベクトルの集合をとする。また次対称行列の固有値に対応する正規直交固有ベクトルの集合をとする。もしならば、明らかにが成り立つ。そしてである。したがってとしての定理の一般形①の結果を用いることで
である。またの定理から
が成り立つ。ここで
であるから、
が成り立つ。
これらをまとめることで
を得る。以上で1つ目の不等式を得た。2つ目の不等式はをそれぞれに置き換えればよい。 )
各種定理の結果から、固有値の和の限界を求める際に利用することができる。たとえばの定理から
を得る。
さらにより厳しい限界を与える以下の定理が成り立つ:
の定理 次対称行列に対してをを満たす整数だとする。このときについて
が成り立つ。
を満たすような行列が存在することに注意する。この行列は行列であり、
を満たす。
次にをについておよび
を満たすような行単位ベクトルとする。
このとき最初の式より
を得、最初と同じ不等式
を得る。
次にを単位ベクトルとする。
ただしを正規直交ベクトルの集合とする。またについてサイズの行列を定義する。このとき
が成り立ち、これまでと同様にして
を得る。以上により求めたかった上限を得る。下限も同様にすることで得られる。 )