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一流の大人(ビジネスマン、政治家、リーダー…)として知っておきたい、教養・社会動向を意外なところから取り上げ学ぶことで“気付く力”を伸ばすブログです。目下、データ分析・語学に力点を置いています。今月(2022年10月)からは多忙につき、日々の投稿数を減らします。

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統計学のための線形代数(022/X)

 統計学に習熟するには線形代数の習得が不可欠である。が、初等的な線形代数ではカバーしきれないような分野も存在する。そこで以下の参考書

を基により高等な線形代数を学ぶ。

4. 行列の因数分解と行列ノルム

4.4 正方行列の対角化

 スペクトル分解の定理を応用すると、適切に選ばれた直交行列を用いることですべての対称行列が対角行列に変換することができることが導かれる。これを一般的な正方行列に拡張することを考えたい。



行列の相似 m次正方行列A,Bは、A=CBC^{-1}を満たすような正則行列Cが存在するとき、A,Bは相似であるという。


固有値の基本性質から、相似な行列A,B固有値は等しい。しかし逆、すなわち固有値の等しい行列同士が相似だとは限らない。

 既述のとおり、スペクトル分解の定理よりすべての対称行列は対角行列に変換できる。しかしこれと同じことがすべての正方行列に言えるわけではない。対角行列\Lambdaの対角成分がA固有値でそれに対応する固有ベクトルXの列であるならば、AX=X\Lambda恒等式X^{-1}AX=\Lambdaを導く。これが成り立つのはXが正則である場合である。これはすなわちm次正方行列の対角かはm個の固有ベクトルが存在するかに依存する。したがって以下が得られる。



\mathrm{rank}が次数に等しい行列の対角化 m次正方行列Aがそれぞれ異なる固有値\lambda_1,\cdots,\lambda_mを持つと仮定する。また\lambda_1,\cdots,\lambda_mそれぞれに対応する固有ベクトル\boldsymbol{x}_1,\cdots,\boldsymbol{x}_mとおく。このとき、\Lambda=\mathrm{diag}(\lambda_1,\cdots,\lambda_m)およびX=(\boldsymbol{x}_1,\cdots,\boldsymbol{x}_m)として、



\begin{aligned}
X^{-1}AX=\Lambda
\end{aligned}


が成り立つ。


ただしこれは必要条件ではない。すなわち重複する固有度を持つ非対称行列には対角行列に相似なものもある。そこで行列が対角か可能であるための必要十分条件を考える。



対角化可能条件 h個の異なる\mu_1,\cdots,\mu_hを含む固有値\lambda_1,\cdots,\lambda_m(h\leq m)を満たし、それぞれの重複度r_1+r_2+\cdots+r_h=mを持つようなm次正方行列について、



\begin{aligned}
\mathrm{rank}(A-\mu_iI)=m-r_i,i=1,2,\cdots,h
\end{aligned}


が成り立つことはAが対角化可能であることの必要十分条件である。

(\because Aが対角化可能であると仮定する。このときX^{-1}AX=\Lambdaが成り立つ。ここで\Lambda=\mathrm{diag}(\lambda_1,\cdots,\lambda_m)およびこれらの固有値に対応する固有ベクトル\boldsymbol{x}_1,\cdots,\boldsymbol{x}_mとすれば、X=(\boldsymbol{x}_1,\cdots,\boldsymbol{x}_m)である。このとき



\begin{aligned}
\mathrm{A-\mu_i I}&=\mathrm{X\Lambda X^{-1}-\mu_i I}\\
&=\mathrm{X(\Lambda-\mu_i I)X^{-1}}\\
&=\mathrm{\Lambda-\mu_i I}
\end{aligned}


が得られる。いま\mu_iは重複度r_iを持つため、対角行列\Lambda-\mu_i Iはちょうどm-r_i個の非零対角成分を持つ。これは\mathrm{A-\mu_iI}=m-r_iと同値である。
 逆にi=1,\cdots,hに対して\mathrm{rank}(A-\mu_iI)=m-r_iだと仮定する。このとき行列A-\mu_iIの核の次元がm-(m-r_i)=r_iであることを意味するため、



\begin{aligned}
(A-\mu_iI)\boldsymbol{x}=\boldsymbol{0}
\end{aligned}


を満たすようなr_i個の線形独立なベクトル\boldsymbol{x}が得られる。このような\boldsymbol{x}固有値\mu_iに対応するA固有ベクトルに他ならない。したがって固有値\mu_iに対応するr_i個の線形独立な固有ベクトルの集合が得られる。このような異なる固有値に対応する固有ベクトルは線形独立であるから、Aの任意のm個の固有ベクトルの集合もまた、各iに対して\mu_iに対応するr_i個の線形独立な固有ベクトルを持ち、それらは線形独立である。したがってAは対角化可能である。以上で題意は示された。 \blacksquare)




より一般的な対角化可能条件 m次正方行列Aについて、Aが対角化可能ならば、Aの階数はAの零でない固有値の数に等しい。


 A,B,Cをそれぞれ以下で与えられる2次正方行列だとする。



\begin{aligned}
A=\begin{bmatrix}1&1\\4&1\end{bmatrix},\ B=\begin{bmatrix}0&1\\0&0\end{bmatrix},\ C=\begin{bmatrix}1&1\\0&1\end{bmatrix}
\end{aligned}


 A特性方程式(\lambda-1)^2-4=\lambda^2-2\lambda-3=(\lambda-3)(\lambda+1)=0であるから、固有値\lambda=3,-1であり、したがってAは対角化可能である。これら2つの固有値に対応する固有ベクトル\boldsymbol{x}_1=(1,2)^{\prime},\boldsymbol{x}_2=(1,-2)^{\prime}である。以上からAを対角化したものは



\begin{aligned}
\begin{bmatrix}\frac{1}{2}&\frac{1}{4}\\\frac{1}{2}&-\frac{1}{4}\end{bmatrix}
\begin{bmatrix}1&1\\4&1\end{bmatrix}
\begin{bmatrix}1&1\\2&-2\end{bmatrix}=
\begin{bmatrix}3&0\\0&-1\end{bmatrix}
\end{aligned}


で与えられる。Aの階数は2で、これはAの非零固有値の数と等しい。
 次にBの固有方程式は\lambda^2=0で重複度2固有値\lambda=0を持つ。\mathrm{rank}(B-\lambda I)=\mathrm{rank}(B)=1=m-rであるから、Bは2つの線形独立な固有ベクトルを持たない。方程式B\boldsymbol{x}=\lambda\boldsymbol{x}\boldsymbol{x}に対してただ1つの線形独立な解を持つ。したがってBは対角化可能ではない。またBの階数は1である。
 最後にCの固有方程式は(1-\lambda)^2=0であるから、重複度2固有値\lambda=1を持つ。この行列は\mathrm{rank}(C-\lambda I)=\mathrm{rank}(C-I)=1=m-rであるため、対角化可能ではない。しかしCは対角化可能でないもののその階数は2である。



階数の階数と核の次元 m次正方行列Aについて、A固有値0のときにそれに対応する固有空間の次元をkとする(A固有値0でない場合、k=0とする)。このとき



\begin{aligned}
\mathrm{rank}(A)=m-k
\end{aligned}


が成り立つ。

(\because 過去に示した定理より、



\begin{aligned}
\mathrm{rank}(A)=m-\dim(N(A))
\end{aligned}


が成り立つ。ここでN(A)は]Aの核である。定義から、Aの核はA\boldsymbol{x}=\boldsymbol{0}を満たすような\boldsymbol{x}のことで、これは固有値0に対応する固有ベクトル全体の集合に他ならないから、題意が得られた。 \blacksquare)

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