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証券投資論(14/21)

 証券投資(現代ポートフォリオ理論)をコンパクトに学ぶべく、比較的最近に発刊され薄めの本である

を参考に学んでいく。

6. 債券ポートフォリオ

6.1 債券投資

 投資元金に対する債券からの年当たりのリターンは利回り(yield)と呼ばれる。債券には利付債と割引債の他にデリバティブなどを組み込んだ仕組債があり、一概にローリスク・ローリターンとは言い難い。
 債券の額面(償還価格)をF,クーポンをC,満期をT,最終利回りをrとするとき、時点t\lt Tでの債券価格Pは、確定的な世界では


\begin{aligned}
P=\displaystyle{\frac{F+C(T-t)}{1+r(T-t)}}
\end{aligned}

が成り立つ。C=0,すなわち割引債であれば


\begin{aligned}
P=\displaystyle{\frac{F}{1+r(T-t)}}
\end{aligned}

が成り立つ。
 逆に現在の価格Pが分かれば、債券利回りr


\begin{aligned}
r=\displaystyle{\frac{C+\displaystyle{\frac{F-P}{T-t}}}{P}}
\end{aligned}

で与えられる。これらは離散時間での債券価格と利回りである。
 次に連続的な債券価格の変動と利回りの変動について、債券のボラティリティは償還利回りの変動に対する価格感度の尺度である。価格変動と利回りの関係は、①価格変動により生じる資本損得②利子所得に関する個々の債券の特性に依存する。
 債券価格P,償還利回りrに対してボラティリティV


\begin{aligned}
V=-\displaystyle{\frac{1}{P}\frac{dP}{dr}}
\end{aligned}

で与えられる。\displaystyle{\frac{dP}{dr}}\lt0であるからVは正である*1
 これを変形することで


\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{dP}{P}}=-V dr
\end{aligned}

という債券価格リターン\displaystyle{\frac{dP}{P}}と利回りrに関する微分方程式を得る。

6.2 デュレーションボラティリティ

 債券のボラティリティは償還利回りの変動に対する価格感度の尺度であったのに対してデュレーションは利回り曲線の変化に対する債券価格の感度を表す。
 半年ごとに同額のクーポンCが支払われ満期をTとする。満期Tで額面Pが支払われるとする。さらに\beta\equiv\displaystyle{\frac{1}{1+r}}とする。デュレーションD


\begin{aligned}
D&=\displaystyle{\frac{\displaystyle{\frac{C\beta}{2}1}+\displaystyle{\frac{C\beta}{2}2}+\cdots+\displaystyle{\frac{C\beta}{2}T}+P\beta^{T}T}{\displaystyle{\frac{C}{2}\beta}+\displaystyle{\frac{C}{2}\beta^2}+\cdots+\displaystyle{\frac{C}{2}\beta^{T}}+P\beta^{2t}}}\\
&=\displaystyle{\frac{\displaystyle{\sum_{t=1}^{2T}\left(\frac{C\beta^{\frac{t}{2}}}{2}\frac{t}{2}\right)}+P\beta^{T}T}{\displaystyle{\sum_{t=1}^{2T}\left(\frac{C\beta^{\frac{t}{2}}}{2}\right)}+P\beta^{T}}}
\end{aligned}

で定義される。
 分母は


\begin{aligned}
(分母)=\displaystyle{\frac{C\beta+C\beta^2+\cdots+C\beta^{T}+2P\beta^{T}}{2}}=\displaystyle{\frac{P}{2}}
\end{aligned}

に等しいから、


\begin{aligned}
D=\displaystyle{\frac{1}{P}\left\{\left(\sum_{t=1}^{T}tC\beta^{t}\right)+2TP\beta^{T}\right\}}
\end{aligned}

である。
 より一般にi回目のクーポン支払時点およびクーポンを0\lt t_i\lt T,C_i,i=1,2,\cdots,nとしFを額面とすれば


\begin{aligned}
D=\displaystyle{\frac{1}{P}\left(\sum_{i=1}^{n}\beta^{t_i}t_i C_{t_i}+\beta^{t_n}F\right)}
\end{aligned}

で定義できる。
 デュレーションボラティリティには密接な関係がある。\beta=\displaystyle{\frac{1}{1+r}}であるから\delta=\log{(1+r)}とおけば\beta=e^{-\delta}である。第t_i期のクーポンC_{t_i}の現在価値はC_{t_i}e^{-\delta t_i}である。満期t_nでのキャッシュ・フローC_{t_n}を額面とクーポンの和とすれば


\begin{aligned}
D=\displaystyle{\frac{\displaystyle{\sum_{i=1}^{n}t_i C_{t_i}e^{-\delta t_i}}}{\displaystyle{\sum_{i=1}^{n}C_{t_i}e^{-\delta t_i}}}}=\displaystyle{\frac{\displaystyle{\sum_{i=1}^{n}t_i C_{t_i}e^{-\delta t_i}}}{P}}
\end{aligned}

と書くことができる。P\deltaに関して微分すれば


\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{dP}{d\delta}}=-\displaystyle{\sum_{i=1}^{n}t_i C_{t_i}e^{-\delta t_i}}
\end{aligned}

であるから、直上のDに関する式の両辺にPを掛けることで


\begin{aligned}
PD=\displaystyle{\sum_{i=1}^{n}t_i C_{t_i}e^{-\delta t_i}}=-\displaystyle{\frac{dP}{d\delta}}
\end{aligned}

を得る。以上からデュレーションボラティリティとの関係式は


\begin{aligned}
D=-\displaystyle{\frac{1}{P}\frac{dP}{d\delta}}=-\displaystyle{\frac{1}{P}\frac{dP}{dr}\frac{dr}{d\delta}}=(1+r)\left(-\displaystyle{\frac{dP}{dr}}\right)=(1+r)V
\end{aligned}

を得る。\displaystyle{\frac{dr}{d\delta}}=1+rであり、DVの利回りに関して線形の関係にある。

6.3 イミュナイゼーション

 イミュナイゼーション(immunization)はスポットレートの変動に対して免疫(immunized)されることを意味し、債券ポートフォリオの運用手段の1つである。債券の償還期間と運用期間とを連動させた債券運用が可能になる。
 イミュナイゼーションはデュレーションの概念と密接に関係している。債券価格Pを利子率rの関数と見なし、そのrに関してr=\Delta rの周りで\mathrm{Taylor}展開することで


\begin{aligned}
P(r+\Delta r)=P(r)+\displaystyle{\frac{P^{\prime}(r)}{1!}}\Delta r+\displaystyle{\frac{P^{\prime\prime}(r)}{2!}}{\Delta r}^2+o(\Delta r)
\end{aligned}

を得る。他方で債券価格P(r)


\begin{aligned}
P(r)=\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}\frac{C_t}{(1+r)^t}}
\end{aligned}

であり、これをrに関して微分することで


\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{dP}{dr}}&=\displaystyle{\frac{d}{dr}\sum_{t=1}^{T}\frac{C_t}{(1+r)^t}}\\
P^{\prime}(r)&=\displaystyle{\frac{d}{dr}\sum_{t=1}^{T}(-t)\frac{C_t}{(1+r)^{t+1}}}\\
&=-\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}\frac{tC_t}{(1+r)^t}\cdot\frac{1}{1+r}}
\end{aligned}

を得る。これを更にrに関して微分することで


\begin{aligned}
P^{\prime\prime}(r)&=-\displaystyle{\frac{d}{dr}\left(\sum_{t=1}^{T}\frac{tC_t}{(1+r)^t}\cdot\frac{1}{1+r}\right)}\\
&=\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}\frac{t(t+1)C_t}{(1+r)^t}\cdot\frac{1}{(1+r)^2}}
\end{aligned}

である、C_t\geq0に対してP^{\prime\prime}(r)\geq0でありP(r)rに関して下に凸である。\mathrm{Taylor}展開で得た結果にこれらを代入することで


\begin{aligned}
P(r+\Delta r)&=P(r)+\displaystyle{\frac{P^{\prime}(r)}{1!}}\Delta r+\displaystyle{\frac{P^{\prime\prime}(r)}{2!}}{\Delta r}^2+o(\Delta r)\\
&=P(r)-\displaystyle{\frac{1}{1!}\sum_{t=1}^{T}\frac{tC_t}{(1+r)^t}\cdot\frac{\Delta r}{1+r}}+\displaystyle{\frac{1}{2!}}\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}\frac{t(t+1)C_t}{(1+r)^t}\cdot\frac{{\Delta r}^2}{(1+r)^2}}+o(\Delta r)
\end{aligned}

であるから、利子率rの変化による債券のリターンR_{\Delta r}(r)=\displaystyle{\frac{P(r+\Delta r)-P(r)}{P(r)}}


\begin{aligned}
R_{\Delta r}(r)=&\displaystyle{\frac{P(r+\Delta r)-P(r)}{P(r)}}\\
=&-\displaystyle{\frac{1}{P(r)}\left\{\sum_{t=1}^{T}\frac{tC_t}{(1+r)^t}\cdot\frac{\Delta r}{1+r}\right\}}+\displaystyle{\frac{1}{2P(r)}}\displaystyle{\left\{\sum_{t=1}^{T}\frac{t(t+1)C_t}{(1+r)^t}\left(\frac{{\Delta r}^2}{(1+r)^2}\right)\right\}}\\
&+\displaystyle{\frac{o(\Delta r)}{P(r)}}\\
\approx&-\displaystyle{\frac{1}{P(r)}\left\{\sum_{t=1}^{T}\frac{tC_t}{(1+r)^t}\right\}\frac{\Delta r}{1+r}}+\displaystyle{\frac{1}{2P(r)}}\displaystyle{\left\{\sum_{t=1}^{T}\frac{t(t+1)C_t}{(1+r)^t}\left(\frac{{\Delta r}^2}{(1+r)^2}\right)\right\}}
\end{aligned}

となる。ここで最後の式展開では\displaystyle{\frac{o(\Delta r)}{P(r)}}\approx0として近似化した。
 {\Delta r}_i=\displaystyle{\frac{\Delta r}{(1+r)^{i}}}, i=1,2,\ C^{\prime}=\displaystyle{\frac{1}{2P(r)}\sum_{t=1}^{T}\frac{t(t+1)C_t}{(1+r)^t}}とおけばデュレーションの式より


\begin{aligned}
R_{\Delta r}(r)\approx -D\Delta_1+C^{\prime}\Delta_2
\end{aligned}

を得る。このときCP(r)rに関する凸性を表す項であり、


\begin{aligned}
C=\displaystyle{\frac{1}{P(r)}\sum_{t=1}^{T}\frac{t(t+1)C_{t}}{(1+r)^t}}
\end{aligned}

コンベクシティという。デュレーションDは債券の満期T、クーポンC_iおよび利子率rに依存して決まる。

6.3.1 イミュナイゼーションの働き

 イミュナイゼーションの働き方を調べる。イミュナイゼーションは資産のデュレーションと負債のデュレーションを一致させることにより利子率の変動からの影響を除去する方法である。もしデュレーションが利子率の変動に対する感応度の適正な尺度ならば、期間構造の変動は資産と負債の現在価値に対してもそれぞれ同じ影響を与える。将来の支払義務を満足するためのデュレーションの効果は資産と負債に対しても同様である。
 イミュナイゼーションは資産のデュレーションに等しい時期に再投資によるリターン変動を債券価格の変動と一致させることで金利変動から防御することを意図する。凸性も考慮すれば利子率の期間構造の変化に対するより精度の高い防御になり得る。しかし凸性とデュレーションの両方を満たす債券ポートフォリオは割高になり得るため、これらはトレード・オフの関係にある。

6.4 イミュナイズド債券ポートフォリオ

 債券ポートフォリオの現在価値をP_B(r)とし、負債の現在価値をP_L(r)=\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}L_t\beta^t}で表す。それぞれをrに関して\mathrm{Taylor}展開し3次以上の項を無視すれば、リターンの変動を\Delta rに対してそれぞれ


\begin{aligned}
P_B(r+\Delta r)&=P_B(r)+P_B^{\prime}(r)\Delta r+\displaystyle{\frac{1}{2}P_B^{\prime\prime}(r){\Delta r}^2},\\
P_L(r+\Delta r)&=P_L(r)+P_L^{\prime}(r)\Delta r+\displaystyle{\frac{1}{2}P_L^{\prime\prime}(r){\Delta r}^2}
\end{aligned}

を得る。債券ポートフォリオの現在価値と負債の現在価値が等しいと仮定すると、P_B(r)=P_L(r),\beta=\displaystyle{\frac{1}{1+r}}であり、


\begin{aligned}
\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}t C_t\beta^t}=P(r)D
\end{aligned}

であるから、


\begin{aligned}
P_B^{\prime}(r)&=\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}t C_t\beta^{t-1}}=\beta\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}t C_t\beta^{t}}=\beta P_B(r)D_B,\\
P_L^{\prime}(r)&=\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}t L_t\beta^{t-1}}=\beta P_L(r)D_L
\end{aligned}

を得る。ここでD_B,D_Lはそれぞれ債券ポートフォリオおよび負債のデュレーションである。P_B=P_LであるからもしD_B=D_LならばP_B^{\prime}(r)=P_L^{\prime}(r)である。P_B^{\prime}(r)rに関して微分すれば


\begin{aligned}
P_B^{\prime\prime}(r)&=\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}t(t-1)C_t\beta^{t-2}}\\
&=\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}t^2C_t\beta^{t-2}}-\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}t C_t\beta^{t-2}}\\
&=\beta^2\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}t^2C_t\beta^{t}}-\beta^2\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}t C_t\beta^{t}}\\
&=\beta^2\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}t^2C_t\beta^{t}}-\beta^2 P_B(r)D_B
\end{aligned}

を得る。同様に


\begin{aligned}
P_L^{\prime\prime}(r)&=\beta^2\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}t^2 L_t\beta^{t}}-\beta^2 P_L(r)D_L
\end{aligned}

である。
 ここで


\begin{aligned}
P_B^{\prime\prime}(r)&=\beta^2\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}t^2 C_t\beta^{t}}-\beta^2 P_B(r)D_B,\\
P_L^{\prime\prime}(r)&=\beta^2\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}t^2 L_t\beta^{t}}-\beta^2 P_L(r)D_L
\end{aligned}

について、保有期間tを確率変数と見なせば、V[D]=E[D^2]-(E[D])^2が上式に対応するから、P_B^{\prime\prime}(r),P_L^{\prime\prime}(r)はそれぞれ割引された平均保有期間をE[D]とすれば、その保有期間のバラつきを表す。
 もしD_B=D_Lで更に\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}t^2 C_t\beta^t}\gt\displaystyle{\sum_{t=1}^{T}t^2 L_t\beta^t}ならばP^{\prime\prime}_B(r)\gt P^{\prime\prime}_L(r)である。当初考えた\mathrm{Taylor}展開式において、この条件下で


\begin{aligned}
P_B(r+\Delta r)\gt P_L(r+\Delta r)
\end{aligned}

が成立する。すなわち

が成り立つならば、リターンの小さな変動\Delta rに対して債券ポートフォリオの現在価値は負債の現在価値を常に上回る。こえrを債券ポートフォリオは利子率の変動に対してイミュナイズされたという。
 この考えは債券運用に応用されている。利子率変化にイミュナイズドされた債券ポートフォリオの構築を考える。債券ポートフォリオデュレーションDは個々の債権のデュレーションの加重平均である。債券の数をN,債券iへの投資ウェイトを\omega_i,債券iデュレーションD_iとし、債券ポートフォリオデュレーションD_Bとすれば


\begin{aligned}
D_B=\displaystyle{\sum_{i=1}^{N}\omega_i D_i}
\end{aligned}

である。

6.4.1 イミュナイゼーションの問題
   (1) デュレーションは特定の利回り曲線に対して計算される。利子率の変動が大きいと債券ポートフォリオを再構成し、デュレーションも再構成される必要がある。債券と負債のキャッシュフローのパターンがそれぞれ別の方向に変われば、債券と負債のそれぞれのデュレーションも乖離する。
   (2) 時間の経過または利回り曲線の変化によって当初の債券ポートフォリオが免疫されなくなる。イミュナイズするために再投資しなければならず、取引価格が増大する。

*1:そうなるように右辺にマイナスを掛けている。

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