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証券投資論(10/21)

 証券投資(現代ポートフォリオ理論)をコンパクトに学ぶべく、比較的最近に発刊され薄めの本である

を参考に学んでいく。

  • 前回:

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4. 資本資産評価モデル

 効率的フロンティア上のポートフォリオAと同一のリスクを持つ資本市場線上のポートフォリオBとを比較する。
 ポートフォリオBは効率的ポートフォリオMと無リスク証券の一次結合で表される。明らかに同じリスクに対してポートフォリオBのリターンはポートフォリオAのリターンよりも大きい。仮定から投資家はリスク回避的であるから、ポートフォリオAよりもポートフォリオBを選好する。資本市場線のすべてのポートフォリオは接点ポートフォリオM以外の効率的フロンティア上のポートフォリオに優越する。このように無リスク証券がある場合には、効率的フロンティア上の接点ポートフォリオMと無リスク証券とを組み合わせた資本市場線上のポートフォリオを選択することとなる。


無差別曲線の下での資本市場線と効率的フロンティア
f:id:suguru_125:20220306040516p:plain

 投資家が選択する資本市場線上の効率ポートフォリオのうちどれを選択するかは、投資家のリスク選好=効用関数に依存する。
 上図では最も効用の大きい無差別曲線U_1との接点を選択する。もし無リスク証券が無ければ、投資家は無差別曲線と効率的フロンティアとの接点P^{*}(接点ポートフォリオ)を選択する。
 もし無リスク証券がある場合、無リスク証券と効率的フロンティア上の接点ポートフォリオMとを組み合わせた資本市場線上のポートフォリオP_{CML}を選択する。
 効率的市場においてはすべての投資家は期待リターンとそのリスクについて同一の情報をもつため、すべての投資家は無リスク証券に\omega_0、市場ポートフォリオ\omega_{M}だけ投資する効率的ポートフォリオは投資ウェイトとして[tex:\boldsymbol{\omega}={}^{t}(\omega_0,\omega_{M})を持つ。
 このポートフォリオPの期待リターンは


\begin{aligned}
E[r_P]&=\omega_0 r_0+\omega_M E[r_M]\\
&=(1-\omega_M)r_0+\omega_M E[r_M]\\
&=r_0+\omega_M(E[r_M]-r_0)
\end{aligned}

である。またこのポートフォリオの分散は


\begin{aligned}
V[r_P]&=V[\omega_0 r_0+\omega_M r_M]\\
&={\omega_M}^2V[r_M]
\end{aligned}

である。
 ここから


\begin{aligned}
\omega_M=\displaystyle{\frac{\sqrt{V[r_P]}}{\sqrt{V[r_M]}}}
\end{aligned}

を得る。期待リターンにこれを代入することで


\begin{aligned}
E[r_P]&=r_0+\displaystyle{\frac{\sqrt{V[r_P]}}{\sqrt{V[r_M]}}}(E[r_M]-r_0)\\
&=r_0+\omega_M(E[r_M]-r_0)
\end{aligned}

と書け、これは資本市場線に他ならない。
 資本市場線を書き換えることで


\begin{aligned}
\displaystyle{\frac{E[r_P]-r_0}{\sqrt{V[r_P]}}}=\displaystyle{\frac{E[r_M]-r_0}{\sqrt{V[r_M]}}}
\end{aligned}

を得る。これはポートフォリオPのリスク1単位当たりの超過リターンが市場ポートフォリオのそれに等しいことを意味する。

4.2 CAPMの拡張

 この節では無リスク資産をリスクフリーレートで借り入れるには限界が存在すると仮定する。
 このとき、リスクフリーレートでの借り入れを全投資家ができるわけではない場合、資本市場線上のあらゆるポートフォリオが達成可能ではないから、すべての投資家が期待リターンおよびリスクについて同一の予想を持っていても効率的フロンティアへの接線ポートフォリオ上の市場ポートフォリオは全投資家にとって平均=分散モデルにおける最適ポートフォリオではない。

 この場合のCAPMはBlack(1972)で提唱された。BlackのCAPMでは以下の性質で支えられている。

性質2で言及したポートフォリオは、効率的ポートフォリオと無相関であるから、ゼロベータ・ポートフォリオと呼ぶ。


効率的ポートフォリオとゼロベータ・ポートフォリオ
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 BlackのCAPMにおいて任意の証券iの期待リターンE[r_i]


\begin{aligned}
E[r_i]=E[r_Q]+(E[r_P]-E[r_Q])\displaystyle{\frac{\mathrm{Cov}[r_i,r_P]-\mathrm{Cov}[r_P,r_Q]}{V[r_P]-\mathrm{Cov}[r_P,r_Q]}}
\end{aligned}

で与えられる。
 リスクフリーレートでの借入が不可能だと仮定すると、市場ポートフォリオでない2つのポートフォリオP, Qには


\begin{aligned}
E[r_P]=r_0+\displaystyle{\frac{\sqrt{V[\r_P}}{\sqrt{V\[\r_Q]}}}(E\[r_Q\]-r_0)
\end{aligned}
]

が成り立つ。これを資本配分線という。


借入が無い場合の資本配分線と資本市場線
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 いま2人の投資家を想定し、リスク回避的な投資家はリスクフリーレートで資金を貸すことでポートフォリオPを組成し、もう一方のリスク許容的な投資家はポートフォリオQを組成したとする。ポートフォリオPはリスクフリーレートr_0から効率的フロンティアへの接点ポートフォリオである。QPよりもリスクおよび期待リターンが大きい効率的ポートフォリオである。これらを一次結合したポートフォリオMはリスクフリーレートでの借入ができないから、P, Qのロングポートフォリオであるから、P,Qの内分点である。
 資本市場線がP,Qから成り立つならば、ポートフォリオMは市場ポートフォリオである。P,Qは効率的ポートフォリオであるから、性質1からポートフォリオMは効率的市場ポートフォリオである。市場ポートフォリオMは非効率的フロンティア上にゼロベータ・ポートフォリオZ(M)をもち、性質2から\mathrm{Cov}[r_M,r_{Z(M)}]=0が成立する。成立3より任意の証券iの期待リターンは


\begin{aligned}
E[r_i]=E[r_{Z(M)}]+E[r_M-r_{Z(M)}]\displaystyle{\frac{\mathrm{Cov}[r_i,r_M]}{V[r_M]}}
\end{aligned}

に退化する。
 上式はr_0の代わりにE[r_{Z(M)}]に置き換えられたものである。BlackのCAPMでは無リスク証券の存在を仮定しない。市場ポートフォリオ[tex:Mが効率的フロンティアに存在する限り、点Mを接点とする資本市場線の縦軸E[r_M]に等しい期待リターンをもつゼロベータ・ポートフォリオZ(M)の期待リターンE[r_{Z(M)}]によってすべての証券の期待リターン[tex:E[r_i]が上式で表現できることを示した。このとき市場ポートフォリオMとゼロベータ・ポートフォリオZ(M)との相関係数0である。

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